デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

西城秀樹の「至上の愛」を聴いたことがあるか

2018-07-01 09:20:08 | Weblog
 記憶が曖昧なので調べてみるとリリースは1975年8月25日というから43年前になる。レコード店で新譜の入荷箱をチェックしているとセーラー服を着た可愛い子が、「至上の愛、入ってますか?」と店員に聞いた。えっ!ジャズを聴く女子中学生は珍しい。コルトレーンならここにありますよ、と声を掛けようと思ったら店員が出したのは歌謡曲のシングル盤だ。この時、5月16日に63歳で亡くなった西城秀樹の名前を知った。

 アイドルといえばルックスだけでろくに歌えないものと決めつけていただけに、その歌唱力に驚いたものだ。「愛」とか「恋」の付くタイトルは山ほどあって、曲名に本や映画のタイトルを並べると同じものがあっても不思議はないが、アイドル音痴の小生でもコルトレーンの代表作と同じとなれば記憶に残る。4部構成の組曲のカバーは考えられなかったが、エルヴィン・ジョーンズがこの神への讃歌をテーマにした曲に挑戦した。「Tribute to John Coltrane : A Love Supreme」は、1992年に新宿ピットインでライブ録音されたものだ。注目すべきはウィントン・マルサリスで、腹心のマーカス・ロバーツとレジナルド・ヴィールが脇を固めている。

 97年にマーカスからマッコイ・タイナーに変わったメンバーで生を聴く機会があった。エルヴィンやマッコイは何度も聴いているがウィントンは初めてだ。ケイコ・ジョーンズの強烈な香水とやたらと長いトークには閉口したが、演奏内容は申し分ない。ピットインの時はコトレーン色が強かったが、この時はウィントンのアイデアが全面に出ている。確かに批判の通りテクニックが目立ち、ジャズロボット感は歪めないが、アンコールで吹いた「I Remember Clifford」は感涙ものだ。初演のジジ・グライスのアレンジを拝借するでもない、モーガンのソロを引用するでもない。目を閉じるとブラウニーが見えた。

 プロ野球の試合中、5回裏終了後に審判の休憩に合わせてグラウンド整備が行われる。札幌ドームでは、このインターバルに西城秀樹の大ヒット曲「ヤングマン」が流れ、ファイターズガールがYMCAダンスを踊る。それに合わせて踊る観客の様子が微笑ましい。今日は黒岩静枝さんを中心に「DAY BY DAY」のメンバーと仲間が、日本ハムを応援するイベントが組まれている。参加者は年々増え、今年は18名だ。皆でYMCAダンスを踊ってみようか。
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5 コメント

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管理人敬白 (duke)
2018-07-01 09:26:18
久しぶりの更新です。更新出来ないなか、毎日多くのアクセスをいただき恐縮です。
ベスト3企画はありませんが、西城秀樹、至上の愛、エルヴィン・ジョーンズ、ウィントン・マルサリス等、広くご意見ご感想をお待ちしております。
次回の更新は未定ですが、できるだけ早くと思っております。

西城秀樹 至上の愛 1975
https://www.youtube.com/watch?v=wuggEBymieY

西城秀樹 YMCA(札幌ドーム2008/5/2)
https://www.youtube.com/watch?v=k9v-W7HscZg

10年前はこんなにお元気でした。ご冥福をお祈りいたします。
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何とも嬉しいdukeさんの更新 (芝刈りオヤジ)
2018-07-03 20:46:19
dukeさん  こんばんわ~

一寸覗いて見たら、アラ!まあ!dukeさんの書き込みが・・・

西城秀樹さんの悲報、そしてこの所の周りの同世代の方々の悲報、参加する会合の冒頭に「まず○○さんの御冥福をお祈り」から始まります。 一寸湿っぽい話でした。

そして何とも嬉しいdukeさんの更新。 無理せずに時々の記事更新お願いします・・・



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永遠のヤングマン (duke)
2018-07-04 15:40:38
芝刈りオヤジさん、コメントありがとうございます。

久しぶりの更新が訃報記事になりましたが、ジャズマンに限らず記憶にある人の悲報は寂しいですね。西城秀樹さんは記事で紹介した「至上の愛」や、札幌ドームの「ヤングマン」で身近なシンガーでしたので残念です。

次の更新も訃報になるかも知れませんが、時折ご覧いただければ幸いです。
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エルヴィン好きの友人 (azumino)
2018-07-05 23:49:49
dukeさん こんばんは

dukeさんの記事を読んで、学生時代の友人で、学者として活躍したH君のことが想い出され、しんみりとした気持ちになったところです。

もう何年も前に亡くなってしまったのですが、H君は僕を初めてジャズ喫茶のカウントに連れて行ってくれたり、エルヴィン・ジョーンズのレコードをもって、僕の下宿に遊びにきてくれたりと、仙台出身でジャズ好きな彼とは仲良くつきあいました。

彼も僕も西城秀樹と同じ年の生まれですが、いい人ばかりが早く逝ってしまった気がします。せいぜいよいジャズを聴いて、元気をだそうと改めて思っているところです。
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初めてのジャズ喫茶 (duke)
2018-07-06 08:28:58
azumino さん、こんにちは。

西城秀樹と同じ年の生まれでしたか。私も経験がありますが、同世代の友人や知人を亡くすのは寂しいものです。「カウント」に行ったことはありませんが、仙台の老舗として店名は知っています。初めて入ったジャズ喫茶は思い出深いですね。本格的ジャズ喫茶となれば敷居が高いので一人で入るには勇気がいりますが、友人と一緒でしたら心強かったでしょう。高校生の時は田舎でしたので、ジャズ喫茶もどきしかありませんでした。初めて入った本格的ジャズ喫茶は、修学旅行で行った京都の「ビッグボーイ」でした。友達と二人で行きましたが、それでもドアを開けるのは恐る恐るでした。懐かしい想い出です。

エルヴィン・ジョーンズは何度か生で聴きましたが、レコードで聴くのと違い、今流行りの「半端ない」ドラムでした。全身がバネというのが筋肉の動きから伝わってきました。
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