デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

ジョニー・スミスのウォーク・ドント・ランを聴いてみよう

2007-11-11 07:13:46 | Weblog
 最近、エレキギターの売れ行きが好調だという。モズライトのベンチャーズ・モデルや、100万円を超えるヴィンテージ物が人気で、購入者は一億総エレキブームを迎えた60年代、中高生だった団塊世代のようだ。当時は手の届かなかった憧れの人気モデルを買う余裕と、自由な時間を持てる年齢になったのだろう。

 オリジナルよりカバー曲がヒットする例は多い。「ウォーク・ドント・ラン」もその一つで、ミスター・ギターの愛称で親しまれたカントリー・ギターの重鎮、チェット・アトキンスがカバーし、次いでベンチャーズがカバーしたことにより大ヒットしている。ほとんどの方は、ベンチャーズの曲と思われているようだが、オリジナルはジョニー・スミスである。エレキの洗礼を受けた小生も作者を知ったのは随分後のことであり、初めてスミスのオリジナルを聴いたときに、「あっ、ベンチャーズの曲だ」と言い、周りのジャズ猛者にゲラゲラ笑われた。「キャラヴァン」もベンチャーズの曲だと信じていた頃もあったのだから無理もない話である。

 ジョニー・スミスはスタン・ゲッツと共演した「ヴァーモントの月」でも知られるギタリストだ。ウェス・モンゴメリーのような派手さはなく、どちらかというと静のギターで、華やかさはないが、紡ぎだされる音は格別に美しい。楽器により音色は大きく変わると思われるが、ギターに詳しい方にお聞きしたところ、スミスの愛器はギブソンで、カントリー&ウェスタン出身の人が好むギターだという。名手なら誰でもが同じように当然、個人向けカスタム・モデルである。ギターを知り尽くした者が納得できる音を出すためには、最大限に手に合った楽器が必要であり、それが洗練されたギター・ハーモニーを生み出し、深みのある弦の魔術を聴かせてくれるのだろう。

 当地にもいわゆるオジサンバンドがあり、若い頃のように指は動かないけれど、テケテケテケテケ・・・と憧れのギターを手にし、満足そうな笑顔があふれる。青春からの道のりは時に回り道だったかも知れない。回り道でも余裕をもつ方が確実であり、時には好い運をつかむことがあるという。「急がば廻れ」である。
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18 コメント

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何でもベスト3 (duke)
2007-11-11 07:20:39
皆さん、いつもご覧頂きありがとうございます。
さて、今週のベスト3は弱りました。ジョニー・スミスの数あるルースト盤は聴いているものが少ないうえ、手持ちは僅か3枚です。
お薦めのアルバム等お寄せください。

管理人 Johnny Smith 無理矢理 Best 3

Moonlight In Vermont (Roost)
 スタン・ゲッツとの共演盤
Kaleidoscope (Verve)
 Walk Don't Run オリジナル収録盤
Johnny Smith (Verve V6-8692)
 Memories of You 収録盤

何なら Walk Don't Run Best 3

Ventures
Johnny Smith
Chet Atkins

ついでに Ventures Best 3

Diamond Head
Caravan
Walk Don't Run

さあ、何でもベスト3です。
今週もたくさんのコメントをお待ちしております。

尚、スミスの愛用のギターについては、miyuki さんのHP「jazz fan」BBS のご常連、乳の虎さんにお聞きしました。情報ありがとうございました。
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何故、ジョニー・スミス? (25-25)
2007-11-11 19:52:16
なんと、ジョニー・スミスですか?
こりゃ、簡単!
だって、リーダー作3枚しか持ってないもん。

1)「The Sound of The Johnny Smith Guitar」(Roulette)

Hank Jones(p), George Duvivier(b), Ed Shaughnessy(ds)
とのカルテットで、61年録音。
僕は、これが一番ぐっと来ますね。

2)「Moonlight In Vermont」(Roost)

内容はいいんですけど、録音が、ねえ・・・。

3)「Moods」(Roost)

あと、Roost には歌伴セッションが2枚。
(Ruth Price とBeverly Kenney)
どちらもお薦めというほどでも、ありませんが、
強いて挙げれば、ケニーのほうがいい。

ルース・プライスは、いかにも硬くて青臭くて、
後年のシェリーマン・ホールでのライブ盤のような
のりのよさは、まだ見られませんね。

返信する
歌伴 (miyuki)
2007-11-11 20:30:16
ジョニー・スミスは、何を隠そう「ヴァーモントの月」しか知らないのであります。
あまり、リーダー作ないのかしら?

リーダー作ではないのですが、印象に残っているのは、ビヴァリー・ケニーの「ビヴァリー・ケニー・シングス・フォー・ジョニー・スミス 」です。
ビヴァリー・ケニーの甘いヴォーカルに、ジョニー・スミスのギターが、意外とよく合っています。

ベスト3でなくてすみません。
返信する
そうか、何でもありか!!! (KAMI)
2007-11-11 21:39:00
duke様、皆様、こんばんは。
何でもありとは、乱暴狼藉ありかと思い・・・木刀片手に乗り込んでみると、何でもベスト3だったのですね。(笑)
困ったな・・・そうだ、キャラバンベスト3にしよう。

「マネー・ジャングル」エリントン
キャラバンで安心させた後タイトル曲でガツーンとやるエリントン・・さすが!!!

「プレイズ・デューク・エリントン」モンク
モンク自ら企画を出したと言われているエリントンに捧げた作品。モンクとエリントンのピアノって似ていますね。

「ソロ・ライヴ」ミシェル・ペトルチアーニ
独自の解釈で取り組んだ、キャラバン。凄い!!!

番外はベンチャーズでしょうか。(笑)
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なんと、知らないアルバム? (duke)
2007-11-11 22:27:20
25-25 さん、なんとジョニー・スミスです。

「The Sound of The Johnny Smith Guitar」は、ルーストだと思っておりましたが、ルーレットでしたか。アマゾンでジャケを確認しました。20曲入りのCDが出ていますが、2in1なのでしょうかね。ジャズ喫茶で片面聴いただけですので良く覚えておりません。
Come Rain or Come Shine 以下、選曲はいいですね。

ルーストは元々あまり音は良くありませんが、ゲッツとのコラボは音色が同調して素晴らしいです。

「Moods」は残念ながら知りません。勉強不足ですいません。
内容はタイトル通りでしょうね。(笑)
甘い中にもキレがあり駄作はないと思います。

おっと、歌伴セッションがありましたね。確か持っているとは思うのですが・・・印象ウスです。
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メインテーマ (duke)
2007-11-11 22:40:20
miyuki さん、こんばんは。

私がトップに挙げた「ヴァーモントの月」だけ、とは嬉しいですね。知名度が低いプレイヤーは、なかなか聴く機会がないものです。私もゲッツとの共演で名を知りました。その後、記事にありますように「ウォーク・ドント・ラン」ではショックを受けましたね。知らないことは恥ではありませんが、思い込むのは恥であると・・・最近は忘れていて恥をかきます。(笑)

ビヴァリー・ケニーは 25-25 さんも挙げておられましたが、忘れていた1枚です。

>ベスト3でなくてすみません。

ベスト1でも、何でもかまいませんよ。
ベスト3企画はどなたかに唆されてはじめたものです。(シ刑)
今ではコメント欄のメインテーマですので、管理人の私が一番気に入っております。(笑)
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拡大ベスト3 (duke)
2007-11-11 22:53:38
KAMI さん、こんばんは。

これは大変だぁ。キャラバンベスト3は来年の企画です。(笑)

挙げて頂いた3枚はベストアイテムですね。エリントンだけでも相当数の録音がありますので喧々諤々でしょうが、何れにしてもトップはエリントンでしょう。この企画の時は、トップがエリントン以外の場合、自動削除です。(笑)

>番外はベンチャーズでしょうか。

番外、トップです。
返信する
Unknown (25-25)
2007-11-11 23:47:21
>「The Sound of The Johnny Smith Guitar」は、ルーストだと思っておりましたが、ルーレットでしたか。

私が所有する「Johnny Smith Plus The Trio」との
2コ1CDはRoulette から出ているものですが、
原盤はRoost のようですね。

>Come Rain or Come Shine 以下、選曲はいいですね。

「Misty」と「Round Midnight」が、特に出色でした。

>「Moods」は残念ながら知りません。

53年録音で、Walk Dont Run の初演のようですよ。
なかなかいい内容ですから、是非ゲットなさることを
お薦めいたします。
ギター・トリオの演奏ですが、残念ながらクレジットには
メンバーの記載がありません。

ジョニー・スミスは、ウェスやタルのようなハイテクの
持ち主ではないようですが、フレーズが親しみやすくて
とてもいいですね。

>ついでに Ventures Best 3

私にとって、ベンチャーズといえばまず思い浮かぶのが、
「十番街の殺人」と「京都の恋」。

前者は日本ではブルーコメッツがリメイクしてました。
三原綱木が微笑みながらエレキ弾いていたのを、子供心に
よく覚えております。

「京都の恋」といえば、渚夕子。
あの、美人なのかそうでもないのか、よく解らない
クシャ顔が、なんとも印象的(笑)。


返信する
ウヲーク・ドント・ラン・・・ (4438miles)
2007-11-12 16:31:20
・・がジョニー・スミスと知ったのは大分後のことだった。
最初はやはりヴェンチャーズと・・。

当時ジャズかぶれとしては、エレキなんて、グループサウンズなんて・・・と小ばかにして生意気ぶっていた。
そう4個の巡回コードで事足りる音楽を単純として、ジャズを高度なるものとして位置づけていた。

しかし、1966年、大学に入ると世の中の空気がジャズよりグループサウンズに勢いがあり、それをやらないともてないという致命的な状況が発生した。

それで、自己満足のジャズユニットとモテル用のセルメン66コピーを結成し、かつ人気のエレキバンドと組んで仕事をした。

このエレキバンド、テクが凄く、当時学生では一番のバンドでプロも一目おいていた。
特にリードギターの彼は傑出した存在だった。
ウヲーク・ドント・ランをベンチャーズのアレンジではなく、もっと高度なテクを使ったアレンジを施し、独り悦に入っていた。

大富豪の御曹司だった彼は高校時代から長者番付にのる存在で、大学を出ても就職することなく日々ギターを弾いていた。
プロとしての仕事も目立ったわけではない。
自宅の庭には世界で一つのスタジオを建設し篭る日々だった。
ジャンボジェットのエンジン音を出しても大丈夫というスタジオには世界中の大物ロックギターリストがお忍びでやってきた。ヴェンチャーズも来た。

そんな彼も本年5月に他界した。
新聞の片隅に死亡の記事が出た、ギターリスト成毛滋氏逝去、享年60歳。

彼のギターを聴いたときから僕はエレキギターをバカにしなくなった。
返信する
フツーのオバサン (duke)
2007-11-12 19:53:40
25-25 さん、早速に情報ありがとうございます。

「The Sound of The Johnny Smith Guitar」は、Roost でしたか。あちらでは人気があったようですので、ルーストからかなり出ているようですね。以前、シュワンのカタログで見ました。

Walk Dont Run の初演は、「Moods」ですか。紹介したアルバムは、ベンチャーズのヒットと前後しますので、初演が気になっていたところです。ありがとうございました。

渚夕子は以前、当地の夏祭りで歌いましたよ。少し話をしましたが、スター然としていなくて、気さくなオバサンという感じで好感が持てましたね。金子晴美さんとも打ち上げで一緒に飲みましたが、あの方もフツーのオバサンで益々好きになりました。

>子供心によく覚えております。

世代の差を感じます。もっと感じるのはあのお方でしょうね。(笑)
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