コタツ評論

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瀬戸選手のお母さんにおめでとう

2013-08-10 11:33:00 | スポーツ
バロセロナで開催された世界水泳選手権の400メートル個人メドレーで、この種目では初めて金メダルを獲得した瀬戸大也選手(19)。小学生の頃から、萩野公介選手をライバルとして、その背中を追い続けてきたという。

先のロンドン五輪で銅メダリストとなった萩野公介選手は、4月の日本選手権でも史上初の「五冠」を達成するなど「天才」の呼び声も高いが、まだ若く可愛い瀬戸選手のお母さんによれば、「ジュニアの頃から、萩野くんはもう雲の上の存在」だったそうだ。

瀬戸大也選手はロンドン五輪の選考にも残れず、一時はやる気を失くしていたが、萩野選手の銀メダル獲得に奮起して練習に励んだことが、今回の金メダルにつながったようだ。長年のライバルにようやく追いついた、爽やかな笑顔が印象的だった。


応援し続けた瀬戸選手のお母さんの笑顔もすてきだった。
ニュースにはちゃんと名前を出すべきだろう。お父さんも大変だったはず。


瀬戸、萩野選手の活躍に沸いたバロセロナ世界水泳で、中国の孫楊選手が400メートル、800メートル、1500メートルの自由形で金メダルを獲得し、男子の最優秀選手となったことを報じたメディアは知る限りなかった。メダル獲得数でいえば、中国がアジアのナンバー1である。

にもかかわらず、瀬戸選手が金メダルを獲得する前の段階でさえ、人民網は「復活した日本競泳、強固な実力ピラミッド」とする記事を掲載している。日本は「科学的トレーニングと厳しい選抜体制」や「ライバルに関する情報収集も非常に重視」していて、「中国競泳陣が学ぶべきものは無数にある」と最大限の敬意を寄せている。

韓国や中国では官民ともに反日活動が盛んだが、その一方、日本をライバル視して、日本から学ぼうという意欲は相変わらず高い。日本競泳陣は、中国からも学び、今日の「復活」を果たしたようだが、日本一般には、ライバルから学び競い合う、瀬戸選手のような率直な若さが、失われて久しいように思う。

日本には、敬意を払い、学ぶべきライバルはいないのか。いないとすれば、やがて、どこの国からも、敬意を払われず、学ぶべきものがない、空虚でちっぽけなアジアの片隅の国として遇されるだろう。

(敬称略)
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好エッセイ発見

2013-08-10 02:55:00 | 詩文
いわゆる、ヘタウマではない。たぶん、なに気なく書きはじめて、なんとなく書き終えているのだろう。楽譜も読めないのに、音だけ聴いてすぐにピアノが弾ける人のように、最初から訓練しなくても書ける人がいる。ご本人は必死こいているつもりかもしれないが、そんな人ではないかと思う。心に小さな風が立った。俺が編集なら、すぐに駆けつけるな。

ユーミンと伝説
http://luvlife.hatenablog.com/entry/2013/08/05/015356
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ジャンゴ 繋がれざる者

2013-08-10 02:32:00 | ノンジャンル


観ました。クリストフ・ヴァルツ主演映画でした。年老いたアンソニー・ホプキンスに代わり、これからは彼が彼の役柄を攫っていくだろう。ソニー・ホップ(通はこう呼ぶ ウソ)がいま50代なら、このシュルツ医師ははまり役だったはず。クリストファー・ヴァルツがレクター博士を演ずる「羊たちの沈黙」のリメイクを観たいくらい、ヴァルツは素晴らしい。オーストリアの國村隼と呼びたい。

黒人奴隷を虐待する人種差別主義者をぶち殺すだけの映画でした。ほとんど魅力的なほど、レイシストたちの個性豊かな風貌を描くのには成功しているが、ブルース・ダーンドン・ジョンソンレオナルド・ディカプリオ!などに比べ、主演のはずのジェイミー・フォックスをはじめ黒人たちの影の薄いこと。黒人とはいえ、白人以上に悪辣な奴隷頭のサミュエル・L・ジャクソンは、どうみてもレイシスト側。

レイシストの白人が改心したり、白人に忠実だったはずが最後は黒人側に寝返る奴隷頭を描くようなご都合主義だけは、けっしてやりません。そこがタランティーノの良識。クライマックスに黒人たちの決起や蜂起をもってくるのが、左翼プロパガンダ映画の下衆なところ。スティーヴンスを隷属が骨がらみの屋敷奴隷としてではなく、それ以上に主人を操れるほどの悪の主体と描くところが非凡。

レイシストたちが次々にぶち殺されるのは痛快です。だが、日本にとってきわめてまずい点も。タランテーィノが映画公開のキャンペーンで来日した歳のインタビューを受けた際、「どこの国にも隠したい過去はある」と云った。これはもちろん、第一義的には、アメリカの黒人奴隷制と人種差別の歴史を指すわけだが、同時に日本の南京大虐殺や従軍慰安婦など「戦争犯罪」の「隠蔽」の歴史を重ねた、ほのめかしだなとすぐに思った。

それを裏づけるような場面があります。鞭打たれて背中に傷があり、顔に逃亡歴の焼き印をつけられたために、美人なのに屋敷奴隷にはなれない女奴隷のブルームヒルダ。彼女の行く末を案じるなかで、下層白人カウボーイや黒人奴隷の性処理用の「たぶん、comfort girl にされるだろう」というジャンゴの台詞がある。たしか字幕では、「慰安婦」と訳していたはず。従軍慰安婦について、日本側は comfort woman という訳語を使っているに対し、韓国やアメリカの人権団体が sex slave と訳しているのは周知のこと。

comfort girl が実際に当時のアメリカで使われていた言葉なのか、従軍慰安婦の comfort woman へのひとつのメッセージなのかは不明です。いずれにしろ、「タラちゃん、サイコー!」「黒人差別、サイテー!」とだけ楽しむことはできない相談会場に間違いはない。タラちゃんは性奴隷 sex slave へのシンパシーを前提としているのだから。そして、今日では、性奴隷 sex slave の最前線とは、ほかならぬ従軍慰安婦問題であることを教えているのだ。

従軍慰安婦問題とは、強制連行の有無といった過去の問題ではありません。黒人性奴隷と同等の戦場の性奴隷 sex slave を利用したことを否定や隠蔽するか、無関心でいる現在の日本と日本人を糾弾するもの。責められているのは、私たちの父や祖父というより、歴史を知らない私たち自身。そうした「常識」がアメリカで定着しつつあるからこそ、「隠したい過去」という前記のタラちゃんの発言があり、先日の広島原水禁大会に参加したオリバー・ストーンでさえ、「日本人はみんな優しいのに、なぜそれほどに残酷になれたのか。日本人の気性が分からない」と首を傾げるのだ。

従軍慰安婦問題は「歴史を忘れた民族に未来はない」と日本と日本人の現在を恥辱とする問題となりました。その責任は、先の麻生発言が「ナチスと並ぶ日本の悪行」という韓国の主張に言質を与えてしまったように、あげて戦後の政府と役所の不明と不作為にある。日本人の戦争責任については、いろいろな考え方があろうが、中韓の日本非難が拡大先鋭化して、ほとんど汚辱の域に達した責任は、第一義的には政府自民党にある。戦後のほとんどを自民党政権にゆだねた日本国民の責任は、その次だ。グレンデールの日系市民にはまったく責任がない

(敬称略)


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