コタツ評論

あなたが観ない映画 あなたが読まない本 あなたが聴かない音楽 あなたの知らないダイアローグ

エルヴィスの他に神はなし @深沢七郎

2013-08-11 00:11:00 | 音楽
エルヴィス・プレスリー、昭和10年(1935年)、ミシシッピ州イースト・トゥペロ生まれ。同年生まれには、タレント・映画評論家の浜村淳、小説家の大江健三郎、俳優の成田三喜夫など。後に黒人ブルースの本場テネシー州メンフィスへ転居。貧乏白人のエルヴィスの家は黒人街に隣接し、おかげで幼少の頃からR&Bなど黒人音楽に親しむ。黒人専門のライブハウスに飛び入りでR&Bを歌い、拍手喝采を浴びたほど。

歌いながら下半身を揺らすその歌唱スタイルは、「Elvis the Pelvis(骨盤のエルヴィス)」と保守的な層から眉をひそめられたが、一躍ティーンエイジャーのアイドルに。また、厳しい抑圧下のゲイたちにとっては、その理想的なほどセクシャルな容姿にくわえ、デビュー前はトラック運転手と肉体労働者だったことや、パツンパツンのパンツの股間を突き出しヒップ振るわせ歌う姿は、大きな衝撃を与えた。

つまり、少女たちにとっては、キリスト教の抑圧的な性道徳から、黒人にとっては黒人だけのマイノリティ音楽から、ゲイのとってはクローゼットから、「解放の化身」のようにエルヴィスは登場した。後の性革命、ブラック・リボリューション、ゲイ・ムーブメントを予感させる先駆けだった。エルヴィスの思想や意識とは関係なく。

最初のバンド名は「The Hillbilly Cat(田舎者の猫)」。ヒルビリーとは、アパラチア山脈周辺から生まれた初期のカントリー&ウエスタン。ギターやバンジョー、フィドル(バイオリン)などの楽器構成と鼻にかかった歌声が特徴。晩年のエルヴィス・プレスリーは、南部育ちの白人らしく、政治的には保守的で、黒人への人種差別的発言を隠さなかった。

以下、1950~1960年代のオリジナルとエルヴィスのCoverを聴きくらべてください。エルヴィスのほうがスリリングにキマッていて、オリジナルは退屈に聴こえました、私には。

Ray Charles - I got a woman


Elvis Presley - I Got A Woman


Little Richard/Tutti Frutti (1955)


Elvis Presley - Tutti Frutti TUTTI FRUTTI LIVE 1956 ELVIS PRESLEY


Chuck Berry - Johnny B. Goode live


ELVIS PRESLEY. JOHNNY B. GOODE (1957).


(敬称略)