レスラー
http://www.wrestler.jp/
落ち目になって消えかかったミッキー・ロークが「シンシティ」で返り咲き、かつてはスターだったプロレスラーの惨めな日常を演じている。
俺はボロボロのクズだが、娘には嫌われたくない。
ようやく娘と和解のきっかけをつかんだのに、コカインでラりッてビッチとお楽しみに励み、娘との約束をすっぽかす。好きになったストリッパーが寝てくれないのにキレて、「金払えばいいのか」と暴言を吐く。スーパーで惣菜を売っていたら、ファンに正体を見破られ、恥ずかしさに大暴れしてスーパーを辞める。
クズというより、いつまでたっても大人になれないガキ。たしかにミッキー・ロークの役どころ。醜い顔に無垢な笑顔、瞳が切なげに潤む。しかし、娘やストリッパーやスーパーのマネージャーの立場に立ってみると、未熟で甘ったれなガキに過ぎない。とても感情移入できない。
ボロボロのクズという自嘲には、ピカピカ金メッキのチャンピオンベルトの栄光の思い出があるのだ。ならば、そうした「奇形」的人物を生み出した、リングを観客をレスラーを描かなければ、落ち目のプロレスラー・ラムにリアリティを与えられない。
プロレスリングの世界がまったく描かれていない。「HACHI」とは違った意味で、「なんで、こんな映画つくっちゃったのか」と観客が首をひねる映画だ。ミッキー・ロークの本当の返り咲きはまだ遠い。
(敬称略)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます