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新左翼とは何だったのか

2008-02-12 00:31:01 | 新刊本
『新左翼とは何だったのか』(荒 岱介 幻冬舎新書)

『未完のレーニン』を読んだせいか、つい手が出てしまった。ブント戦旗派のイデオローグだった荒岱介の新左翼解説本。大変わかりやすくまとめてある。ただし、三里塚闘争について述べるなかで、「報復として東峰十字路で機動隊3人を殲滅してしまいます」(92p)の「殲滅」にはひっかかった。荒岱介は戦旗派が空港反対派の主力を担っていたことを書いているのだから、「死亡した」と第三者的に書くわけにはいかず、ましてや、「殺された」と「権力」側の視点で書くわけにもいかなかったのだろう。しかし、「殲滅」が適切な表現だとはとうてい思えない。

『占領と改革』-シリーズ日本近現代史⑦(雨宮 昭一 岩波新書)

未読。帯文にちょっと驚いた。
「占領がなくても戦後改革は行われた その原点は総力戦体制にある」
戦時の総力戦体制が戦後日本に継続されたという「定説」からみれば、戦後改革とリンクさせる「意外性」も予想がつくような気もするが。

『新宿鮫Ⅵ 氷舞』(大沢 在昌 光文社文庫)

新宿鮫シリーズを読破しているわけではないが、シリーズ中屈指の傑作ではないか。多くの登場人物が過不足なく捌かれる練達のストーリーテリング。横山秀夫の警察小説にかなり刺激を受けたのではないかと推測したほど、男の冷や汗と熱が伝わってくる。とくに公安の裏仕事に携わる立花元警部の造型が迫真的だ。比べて、杉田江見里の設定や動機にかなり無理がある。晶は相変わらず子どもっぽいし、女がいまひとつなのが惜しい。


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