コタツ評論

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スパイはイギリスにかぎる

2013-04-09 01:48:00 | 新刊本
007の新作「スカイフォール(Skyfall)」を例によってTUTAYAレンタルDVDにて観た。主演のダニエル・クレイグより格上の俳優であるレイフ・ファインズが嫌みな上司で登場してきたから、ははあ、こいつが悪者の黒幕だぞと馬脚をあらわすのを心待ちにしていたら、なんとそういうわけだったのか。

ようやく、昨年末に買い込んだまま放置していたル・カレの新作『われらが背きし者(OUR KIND Of TRAITOR)』(岩波書店)を読みはじめる。007の原作はイアン・フレミングと誤解されているが、ジョン・ル・カレも原作者のひとりである。その証拠に、マロリー(レイフ・ファインズ)が口にしそうなことを、MI6上級職員ヘクター・メレディスは云う。

問題は、現場で仕事をしているのはわれわれだけ、ということだ。政府は腐っているし、文官の半分は頭がイカれている。外務省は夢精程度の役にしか立たないし、国は破産し、銀行屋はわれわれから金を巻き上げておいて、だまされるそっちが悪い、という態度を取る。で、われわれはどうすべきか? ママに泣きつくか、それともうまく処理するか。(150p)

(敬称略)

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