コタツ評論

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新聞には載らないニュース

2011-04-18 21:55:00 | 3・11大震災


城南信金というのは、その名の通り、東京の南部に店舗を展開する信用金庫だ。私の知人が就職活動をした30数年前も、小粒ながら優良な金融機関として知られていた。あれからいくつもの、大手金融機関が潰れたり吸収合併された。両手の指では足りないくらいだが、城南信金は元気に生き残り、いまも超優良経営を誇っている。「運よく」という言葉は当てはまらないだろう。独自の経営哲学(たとえば、「貸すも親切、貸さぬも親切」)から、「カードは麻薬」と消費者向けカードローンを一切やらないなど、他金融機関とは一線を画した経営方針を貫いてきたからだ。その城南信金が、原子力反対を表明した。

城南信金
http://www.jsbank.co.jp/index.html
原発に頼らない安心できる社会へ
http://www.jsbank.co.jp/topic/pdf/genpatu.pdf

 東京電力福島第一原子力発電所の事故は、我が国の未来に重大な影響を与えています。今回の事故を通じて、原子力エネルギーは、私達に明るい未来を与えてくれるものではなく、一歩間違えば取り返しのつかない危険性を持っていること、さらに、残念ながらそれを管理する政府機関も企業体も、万全の体制をとっていなかったことが明確になりつつあります。
 
 こうした中で、私達は、原子力エネルギーに依存することはあまりにも危険性が大き過ぎるということを学びました。私達が地域金融機関として、今できることはささやかではありますが、省電力、省エネルギー、そして代替エネルギーの開発利用に少しでも貢献することではないかと考えます。

 そのため、今後、私達は以下のような省電力と省エネルギーのための様々な取組みに努めるとともに、金融を通じて地域の皆様の省電力、省エネルギーのための設備投資を積極的に支援、推進してまいります。

① 徹底した節電運動の実施
② 冷暖房の設定温度の見直し
③ 省電力型設備の導入
④ 断熱工事の施工
⑤ 緑化工事の推進
⑥ ソーラーパネルの設置
⑦ LED照明への切り替え
⑧ 燃料電池の導入
⑨ 家庭用蓄電池の購入
⑩ 自家発電装置の購入
⑪ その他

以 上


第一パラグラフが痛烈です。

3.11からこっち、福島第1原発事故の総括として、これほど明晰な文章を読んだ覚えがない。ただ、残念なことは、城南信金に続く金融機関はおそらくないだろうと容易に予測できることだ。

城南信金の経営には、経営理念とリーダーシップがある。国家や産業界には、これといった経営理念はなく、経済成長以外の目的はなく、したがって人々を動かすリーダーシップはない。いや、むしろ、リーダーシップは邪魔となる。

城南信金は、自主独立の道を歩んできたが、国家や産業界は、自主独立の道を避け、グローバリズムに追従してきたからだ。自主独立の道は狭く危険であり、グローバリズムは大道で安全だと思ってきた。

私の知人が就職活動をしていた30数年前、綺羅星の如くひしめいていた、大手都銀、地銀、政府系金融機関の多くが姿を消し名前を失い、あるいは政府(国民)から救済を受けようやく破綻を免れたが、城南信金はいまも健全経営を続けているというのに。


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FOCUS 大災害緊急復刊

2011-04-15 00:50:00 | 3・11大震災


記者会見場で、質問もせずノートパソコン叩いているだけの記者もいれば、被災直後の現場に勇躍赴くカメラマンもいる。どちらも家へ帰れば、「ああ疲れた」とビールを飲み、子どもから、「パパ、お仕事がんばって」といわれるのだろう。

英デイリーメール紙が報じた、津波に呑まれながらもカメラを離さず、奇跡的に助かった岩手東海新聞の千葉東也記者
http://www.dailymail.co.uk/news/article-1376914/A-floody-miracle-The-brave-reporter-caught-force-tsunami--SURVIVED.html
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疎開と疎外

2011-04-14 23:52:00 | 3・11大震災

学童疎開

戦争中、空襲を逃れて東京から地方へ疎開した。いまの70代には疎開経験者が少なくない。戦争指導者である、政治家や官僚、軍人の家族も多く疎開した。

戦火を免れるための当時の疎開と、放射能被害を免れようとする今の「疎開」とは、どこが違っているか。かつては政策として採用されたほど、米軍の空襲は繰り返し東京を火の海にして、国民の生命と財産は確実な危険に晒されていた。

今回は、「ただちに健康に影響はない」という政府見解の下で、危険性を自主的に判断した「疎開」である。政策ではないから、「疎開」より避難というべきだろうが、どうして「疎開」という戦中用語が甦ってきたか、何か因縁を感じる。

さて、公人の家族の場合、いつから避難したのか、いつまで避難するのか、公開されるべき情報だと思う。レベル7という認識が政府部内で共有された3月23日以前に、家族を「疎開」させていた場合は、当然、その齟齬と矛盾が指摘されるだろう。

ところで、本来の意味で、「避難」「疎開」した福島の子どもたちへの差別と偏見、この疎外する心は、いったいどこから生み落とされたのだろうか。瓦礫ゴミの受け入れに反対して、川崎市に苦情した2千人をどう考えたらよいのだろう。

東日本大震災:「放射能怖い」福島からの避難児童に偏見
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110414k0000m040137000c.html

福島ごみ「受け入れるな」 川崎市に市民ら苦情2千件超
http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011041301001033.html

「がんばれ日本!」と「東電潰せ」「管のアホ」は、実はほとんど同じことを言いたがっているように思える。「私は関係ない」と。



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じゃ、俺もひとつ流言飛語を

2011-04-13 00:05:00 | 3・11大震災

焼き場に立つ少年
(1945年長崎)

東大は逃げ足が早いね。今夜(11日)の報道ステーションには、東工大と長崎大の先生が出ていた。長崎大の先生は、広島長崎チェルノブイリの被曝医療の専門家だそうだ。以前にも書いたが、この人も、「チェルノブイリではじめて、子どもの甲状腺に放射性ヨウ素が溜まるということを知りました」といっていた。

相変わらず、わからない。どうして、広島長崎ではわからなかったのか。当時はそういう研究データがなかった? かもしれない。あるいは、そもそも甲状腺の放射性ヨウ素という研究手法がなかった。放射性ヨウ素は半減期が短いから消えてしまうからか? そうなら、半分は納得できる。もう半分が納得できないのは、チェルノブイリから広島長崎に遡ってどうして研究しなかったか、と思うから。

もうひとつは、そんな研究はしなかった。広島市周辺地域や県外の被曝や、農作物や魚貝類など食物由来の影響については。そんなことをすれば、原発推進の足枷になるから。

俺のこの疑惑は、周辺リサーチに基づく。広島に縁があるのだが、異常にガンが多い。どのくらい多いかといえば、国立ガンセンターがガン病棟だとか、ガン告知をすべきかどうかとか、手記やドラマになって大騒ぎの頃、数十年前、広島じゃ町の病院でガン手術していた。ガン患者だらけだから、ガン告知もへったくれもない。「ガンじゃあ」「ほうか」ってなもの。

いま、70歳過ぎの尾道市の人。中学の頃、何人もの級友がガンで死んだ。みんな甲状腺が腫れたという。広島で被曝などしていなかったのに。そういう話をずっと以前から聞いていた。

「ただちに健康に影響はない」ってのは、「即死はしない」ということなのか? すぐに死ぬわけじゃないから、安全・安心だというのか。じゃ、国会と官庁を福島に移せ。30km圏外でいいから。

いま、福島第1原発付近の賃貸住宅には、借り手が殺到しているそうだ。高賃金の原発仕事にありつくためらしい。貧乏人はいつだって命がけだ。菅さんよ、あんたにとって、「命をかけて」と言うのは、ただの最大級の比喩らしいが。

(敬称はつけたぜ)
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チェルノブイリと並ぶレベル7

2011-04-12 19:25:00 | 3・11大震災


1933年2月、国際連盟の壇上において、全権松岡洋右は、「十字架上の日本」と演説して、連盟からの脱退を全世界に表明した。日本が世界的な注目を集めたという点では、松岡全権の演説以来の「快挙」ではないか(世界史に参加したようで、なんとなく嬉しい)。

いま、夜7時のNHKニュースでは、当初から「炉心溶融」の可能性を指摘し、最悪の事態の懸念を語ってきた数少ない一人、「水野解説員」が解説している(どうも、最近、「厳重注意」でもあったのか、舌鋒の鋭さが消えているが)。

スリーマイルには及ばないレベル5以下だといってきた、ほか大多数の「専門家」の先生たちは、「専門家」ならどこで間違えたのか、明らかにすべきだろう。明らかにしないなら、「流言飛語」といわれてもしかたないではないか。

また、政府は、何月何日何時から、京ベクレル(1兆の1万倍)の放射能物質が洩れるレベル7になったのか、はっきり、国民に知らせるべきだろう。ここから先は、事実と異なれば、「嘘つき」と呼ばれてもしかたないだろう。

それから、政府要人、国会議員、関係官僚、東電幹部の家族が、たとえ、「疎開」していても非難されるべきではないが、それがいつからなのかは、明らかにされるべきだろう。どうして、こんな単純で簡単なことをどのメディアも調べないのか、理解に苦しむ。
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