コタツ評論

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隠された東南海大震災

2011-08-12 00:03:00 | 3・11大震災


言葉の綾掲示板で、Sさんが教えてくれました。
私はまったく知りませんでした。この地震から数日後、B29爆撃機は被災地半田に、「地震の次は何をお見舞いしましょうか」というビラを撒き、すぐに大規模な空襲を行って中島飛行機半田工場を壊滅させ、日本の軍用機増産計画を頓挫させました。この東南海地震とその被災については、戦後10数年以上も秘匿され続けたそうです。

8月10日 (水) 午前0時15分~0時40分 NHK総合 
証言記録 市民たちの戦争
「封印された大震災 ~愛知・半田~」 
http://www.nhk.or.jp/shogen/schedule/shimin_yotei.html

太平洋戦争後期の昭和19年12月、東海地方を、マグニチュード7.9の巨大地震が襲った。死者1200人以上に達した大震災で、被害が集中したのが、軍用機工場だった。建物の倒壊により、工場で働いていた10代の少年少女が、命を落とした。しかし、この事実は、国の徹底した情報操作によって、“封印”される。国は、なぜ地震の被害を隠そうとしたのか。近年発見された機密資料や被災者の証言から、大震災の実態をひもとく。



keiさん、ありがとう

2011-08-11 01:37:00 | 音楽
暑い日が続いています。熱いシャワーを浴びて、冷たい飲み物でも片手に聴いてください。歌詞の意味をたどりながら。つまみは皮付きのアーモンドあたり。

keiさんの「訳詞付」特集です。以前にも紹介しましたが、「なかにし礼」以上ですね(といっても古すぎてわからないか)。

Fly Me to the Moon / ナット・キング・コール

In Other Words(わからないの?)がキーワードなんですね。俺はずっと、WordsをWorldと聴いていて、「別の世界」とか思って聴いていました。女性視点も意外でした。語りから歌中歌へ転調する、凝ったつくりですね。



マシュケナダ / Jorge Ben & Tim Maia

これも想像していたのとまったく違う歌詞でした。もっとゆるい暮らしのスケッチかと思っていましたが、サンバを歌ったストイックな歌詞でした。



うつろな愛 / カーリー・サイモン

これは明白なモデルがいますね。業界人なら、誰でも知っている「うつろな男(youre so vain ヨーソーベイン)」がいそうです。



Careless Whisper / ジョージ・マイケル

郷ひろみが歌い出すかと思う安い前奏です(実際、カバーしていたような気もするが)。うっかりその気のない友人に告白してしまい、後悔しているゲイの歌に聴こえます。





隠されてきた福島3号機の重大事故

2011-08-10 01:56:00 | 3・11大震災


福島県と関東地方に、「大気圏核実験が全盛期だった過去50年間の同地域の総量に匹敵する莫大な放射性物質」を降下させ、大地と人間を被曝させた福島第一原発の最大事故が隠蔽されてきた、と指摘するブログ記事です。事実とすれば、これまで厖大に、それなりに詳細に報じられてきた、福島第一原発事故のルポや解説記事とは、いったい何だったんだろう。嘆息するしかない。

以下は、7月20日に、一民間人のブログに投稿された記事。

2011年3月20日、隠蔽された3号機格納容器内爆発
http://news.livedoor.com/lite/article_detail/5763592/

はじめに 12日1号機の水素爆発、14日の3号機における水素爆発、15日2号機のサプレッションチェンバー爆発。これら相次ぐ事故によって、福島第一原発から今まで放出されてきた放射性物質の大部分は15日までに放出されてきたものであるかのように東電・政府は発表しています。 ところが、もっとも重要な放射能汚染は3月21日に起きていることは、あまり一般には知られていません。
(中略)
3/21に関東地方を襲ったフォールアウトは、大気圏核実験が全盛期だった過去50年間の同地域の総量に匹敵する莫大なものであった。 この放射性物質は、よく言われるように、3/15までに福島第一原発から放出された放射性物質が雨によって落ちてきたものでは決してなく、直前に放出されたものである。 その汚染源は明らかに3号機であり、おそらく福島第一原発最大の事故であった。


以下は、上の3号機の再溶融を裏づける8月8日の朝日新聞記事。

震災10日後、2度目の溶融か 福島3号機、専門家指摘
http://www.asahi.com/national/update/0807/TKY201108070330.html

うぉん

2011-08-10 00:20:00 | ブックオフ本


二十世紀は、「戦争の世紀」だった。それは、「戦争のイヌ」たちの世紀でもあった。犬ではなく、イヌである。犬と人が、ともにイヌに、「戦争のイヌ」になって戦った世紀である。

この破格の小説は、軍用犬と呼ばれる「戦争のイヌ」たちの創世記として、二十世紀の戦争を疾駆するイヌたちを物語る。アリューシャン列島、朝鮮半島、ベトナム、アフガニスタン・・・。

探査し、追跡し、殺戮して転戦するイヌたちは、子孫を残して転生し、ロシアマフィアや日本ヤクザ、メキシコ麻薬マフィアの銃弾をくぐり抜け、「戦争のイヌ」の血統と系統を世界各地に遺して逝く。

イヌはメタファーではない。イヌはイヌ以外のなにものでもない。カミと同じく、戦争と同じく。<イヌよ、お前はどこにいる?>。繰り返される問いかけは、イヌの不在ではなく、イヌの遍在を示すものだ。

疾走するイヌを追いかけ見失う、イヌははるか先にいるようで、すぐ近くの物陰からこちらを見ているような、そんな落ち着かない気持ちになる。目を細め耳を澄ませ、臭いを嗅げるかと鼻に皺を寄せ、イヌになっている自分を想うだろう。

たぶん、あなたも、こんな小説は読んだことがないはず。

ベルカ、吠えないのか?』(古川日出男 文芸春秋)

帯文はこれだ。

四頭のイヌから始まる、「戦争の世紀」。

一九四三年、北洋、アリューシャン列島、
アッツ島の玉砕をうけた日本軍はキスカ島から全面撤退を敢行、
無人の島には四頭の軍用犬「北」「正勇」「勝」「エクスプロージョン」が残された。
自分たちは捨てられた----その事実を理解するイヌたち。
その後島には米軍が上陸、自爆した「勝」以外の三頭は保護される。
やがて三頭が島を離れる日がきて----それは大いなる「イヌによる現代史」の始まりだった!


献辞がこれだ。

ボリス・エリツィンに捧げる、
  俺はあんたの秘密を知っている、


最後の2行はこれだ。

 それからお前たちは海を渡るだろう。それからお前たちは、二十世紀を殺す。霧の中の島にイヌだけの楽園を築きあげて、それからお前たちは、二十一世紀に宣戦布告するだろう。

「ベルカ、吠えないのか?」
あなたには聴こえるはずだ。
   うぉん
という声が。

(敬称略)

がんばるな 日本!  ツケはやつらに払わせろ

2011-08-05 23:58:00 | 3・11大震災
ようやく、世界が瞠目した「フクシマ50」の実際の賃金の一端が明らかになってきました。共同通信の配信ですが、8月4日に開かれた日弁連のシンポジウムで、原発作業員の聞き取り調査の結果を発表したそうです。調査内容はほとんど不明ですが、「中間搾取」している会社の素性や釈明を訊きたいものです。

まず東電系列、あるいは、日立や東芝などの電機メーカーの人材派遣会社が入っていないか。そして、なぜ、「何層もの下請け」構造が必要なのか。いわゆる、大田区蒲田や東大阪などの部品下請け孫請けの構造とは、似て非なる「中間搾取」であるはず。一人の労働者に対して、いったい何社から何枚の納品書や請求書が切られているのか。同様な「中間搾取」を瓦礫撤去作業でも聴くが、日本のあらゆる業種業態にこうした派遣労働の実態は共通するはずです。

派遣労働の是非ではなく、なぜ派遣労働者がこれほど貧しいのか。官民に蔓延する「天下り」を頂点とし、派遣労働という底点の間に、「何層もの下請け」構造があるのが、その理由ではないのか。とはいえ、追及の声が上がるのは期待できない。大労組は派遣労働について資本と合意しているし、TV・新聞・雑誌などのマスコミも「下請け」や「派遣」を「活用」しているからであり、そこで「天下り」が行われているからだ。派遣労働者が不当に扱われているなら、その上に乗っかっている「天下り」も不当であるはずなのだが。

ニュースとしての扱いはきわめて小さく、案の定、続報も出そうにない。「天下り」批判は正当だが、高級官僚に対する「天下り」批判は、国民の憤懣のガス抜きとして用意されているに過ぎない。派遣労働者の賃金を不正に「中間搾取」している上部構造こそ、日本経済の生産性を蝕む欺瞞の病根であり、中国ばかりを蔑むことができない、日本における一種の「汚職」といえないか。不当な売り上げや利益による不労所得を得ることは、職を汚すことにほかならず、それは派遣労働者のみならず、自らをも傷つけ汚す「仕事」だろう。

下請け原発作業員に“中間搾取” 日当、10万円が8千円に
http://news.livedoor.com/article/detail/5761553/

東京電力福島第1原発などで働く作業員の労働条件などについて話し合う日弁連のシンポジウムが4日、東京都内であり、聞き取り調査をした弁護士が「東電が作業員に払った日当約10万円が何層もの下請け会社の介在で手数料が引かれ、作業員が受け取るときには8千円になった例があった」と報告した。作業員の相談に当たってきた同市の市議は「多くの労働者が中間搾取されている」と話し、待遇改善を訴えた。