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(船窓からの眺め)
ルクソールを離れて、船はナイル川を南下します。
窓からは緑色にたゆたう水、遥かに生い茂る川辺の椰子の茂みが見えます。
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(デッキのプール)
4階建ての船の屋上は広いデッキとなっていて、プールや沢山のデッキチェアやカフェがあります。
夕方頃、エスナの水門を通るというので、屋上の舳先に出てみました。
数十人の色々な国の乗客が集まっています。
水門の前後では10mほど水位が違うので、中に入ったら門を閉じて水を入れ、
出先の水位と同じになったら、反対側の門が開いて船が出るという仕組みです。
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(水門に入ったところ)
船の幅ギリギリの水門の中に入ったと思ったら、数艘の小舟がわらわらと近寄って来る。
何事?と思うもなく、バレーボール程のものが、ポーンと小舟から投げ入れられました。
小舟の男が「セニョーラ!アミーゴ!テンダラー($10)!」と叫んでいる。
ラクダ柄のバスタオルや民族衣装のガラべーヤを丸めて、ビニール袋に入れたものらしい。
「ノーサンキュー!」とクルーズ船の乗客が投げ返すも、
また違う小舟から同じようなものがポーンと投げ入れられる。
4階建ての屋上まで実にコントロールよく投げ入れて、ひっきりなしに叫んでいる。
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(水門が開きかけて…)
船のスタッフに訊いたら、ちゃんとお金を入れて投げ返す為の箱もあるのだそうです。
そうは言っても我々が水門にいる30分ほどの間、何十回も商品は投げ入れられましたが
買った人は誰もいなかったような。
乗客が投げ返した品物が、川に落ちてしまったことも。
どんどん夕闇が迫って暗くなる水門の中に、男たちの叫び声だけが響き渡る。
水位が上昇して門が開くと、小舟たちもあっという間に消えていきました。
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(水門から出たところ)
水位が10m程上がって景色が変わって見えたのも面白いが
何と言っても、男たちの必死の売り込みが面白かった。
あれだけ叫んでいる間に他の仕事をしたらいいのにとスタッフにつぶやくと
「They have no other job」ということでした。
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