ドラマのとびら

即興の劇や身体表現で学ぶ、教える、浮き沈みの日々とその後

観客と舞台の垣根

2008-05-11 10:16:38 | 日記・エッセイ・コラム

普通、芝居を観るとき、観客と舞台ははっきり区切られているわけです。

そのことによって、観客はいかようにでも舞台と関わることができます。私なんぞは、かなり批評的に観るわけです。お金払って、プロの劇を見にいくわけだから、「簡単なことでは感激しないぞ~」ってね。若い頃は特にそうでした。

でも、沖縄に来ると、ほんとに身近な人がライブをやっているわけです。そうすると、「批評するぞ!」というより「頑張ってね!」という気になる。やっているのが、私の息子世代で、息子や娘をみるような想いになるからかもしれません。

昨夜もさのしゅうのギターライブに行ってきましたが、狭い喫茶店でワキアイアイ。「こういうところで場数を踏んで大きく伸びていってね~」って思いながら聞いていました。

即興劇の場合、特に、観客を「自分の側に引き込む」というか「批評家にしないで共感者にする」というのが重要なポイントのように思えます。だって、綿密に構築された台本による訓練された役者の芝居は、やはり面白い。それに対抗して、金とって見せるとなると、即興ならではの何かが必要。そのひとつが観客との距離ではないかと思う。垣根をいかに低くするかということ。

「観客からお題をいただく」というのも垣根を低くする方法のひとつ。

先日の、東京でのインプロの場合。場所そのもののつくりが即興劇向きだと思いました。狭い会場、隣との境がない長い長いしかも低い椅子。舞台との距離がほとんどない。「場」を選ぶというのはとても大切。

そして、舞台が始まる前に役者からの声。「クーラーの温度はいかがですか?」「これから開演しますが、あと20名ほど見える予定です。この方達のためにあと3センチ、詰めていただけませんか」「おお!ありがとうございます。奇跡だ!こんなにスペースができました」ここで観客は笑う。私も全く知らない隣人と顔を見合わせて笑いました。緊張が解けました。

「上手いなあ」と思いました。同じことを言うのでも、言い方でずいぶん違うでしょうね。私なら、こんなに上手に人の心をつかみながら、座席を移動させるということができるのかしら?人柄というものもあるのかもしれません。

「知っている人が出る」というのも大きいのかも。それやこれやで、最初から楽しもうと思って観ることができ、結果、楽しめました。

話が変わりますが、下地勇も人の気持ちをつかむ話し方をします。だから、CDよりもライブが断然良いと私は思っています。念願のDVD「ATARAKAツアー2007」が出たので良かった!

即興劇の舞台をDVDにして、ライブそのままの面白さを伝えることは可能なのかしら?

コメント (2)
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