ドラマのとびら

即興の劇や身体表現で学ぶ、教える、浮き沈みの日々とその後

職場のトイレ掃除

2020-04-24 14:15:45 | 日記・エッセイ・コラム


ネットでふとトイレ掃除についてのお悩みが目にとまった。
「職場のトイレ掃除をしたくない」という話し。

これまでパートで働いていたところは、トイレ掃除は専門業者が入ってしていた。
新しい職場は業務内容にトイレ掃除があると言われ、従業員が順番に始業前にトイレ掃除をしている。このトイレ掃除が苦痛。私はしたくない。
職務だというなら、ちゃんと賃金を払ってほしい。

ざっとまとめると以上のような感じ。
これを書いた人をAさんとしよう。

これに対して、様々な反応が…。
☆自分も使うのだから掃除して当然でしょう。
☆トイレ掃除が嫌なら、業者がやってくれる職場を探せば?
要は、「あなた世の中なめてるでしょ。甘すぎるよ」という反応が大半。

でも、Aさんの書いていることには、二つの側面がある。
ひとつは、職場のトイレ掃除は職務ですか?という問い。
もうひとつは、トイレ掃除を従業員がしなければなりませんか?という問い。

☆自分も使うのだから掃除して当然でしょう。
というのは、ふたつめの答えにはなるかもしれないが、ひとつめの答えにはなっていない。
でも、実はこれ、ふたつめの答えにもなっていない。
なぜなら、私の経験から言うと、
6時間ぐらいのパート勤務では職場のトイレを使うことがほぼないから。
トイレに行っている暇もない。
現実には一度も使わない人もいるはず。
「そうはいっても、使うかもしれないでしょ」と言われれば、可能性はあるものの、
使うか使わないかの問題ではないのです。

むしろ自分が使うか使わないかより、誰かが使う場所(自宅ではない半公共的な場所)の
トイレ掃除と考えたほうが良いのではないかと思います。

☆自分も使うのだから掃除して当然でしょう。
と言う人に、例えば公園の公衆トイレを使ったときに、そのトイレをその人は掃除するのだろうか。もししていたら立派な人だと思うけれど、その場合も他の人に「使ったから掃除せよ」と強要することはできないと思う。

自分の家のトイレを「自分も使うのだから掃除して当然でしょう」と言うのは、
当たり前のことだと思う。
家族みんながトイレをきれいにするべきだし、
もしそれが話し合いや役割分担として合意のもとで誰かがやるとしたら、
それは各家庭で決めるルールなので、
だれもとやかく言わない。
でも現実は、妻や母や誰か女性がやって当然と思っていないだろうか。
「自分も使うのだから掃除して当然でしょう」ということが貫かれているのかどうか。

大好きなおばあちゃんとの思い出を歌った「トイレの神様」の歌を私は嫌いではないけれど、
ピカピカにトイレを磨くのが男の子で、良い夫や父になるためという歌もぜひ歌ってほしいと思う。

「自分も使うのだから掃除して当然でしょう」というのは間違いではない。
「だから私は掃除するよ」というのは良い。
だけど、だから「あなたもしなさい」と職場で強要されるのは違う。

それでも当たり前のように強要してしまうのは、
学校教育が大きく関係しているのではないかと思う。
だって、学校のトイレを「なぜ掃除しなきゃいけないの?」という子どもの問いに、
おそらく「自分も使うのだから当然でしょう」と言って強要してきたのではないだろうか。

私は学校の掃除にまつわる思い出がある。
小学校5年生か6年生の時、当番で教室の掃除をしていたのだが、
男の子がふざけて掃除をしない。
「ちゃんとやって!」と怒鳴る私に、その男の子は「ちゃっとやって!」と口真似して茶化す。
頭にきた私は、その子を張り飛ばして、さっさと掃除をして帰ってしまった。
今となっては、暴力をふるうほうがよっぽど悪いと思うけれど。

翌日のホーム・ルーム。
おそらく担任は掃除の時間に何かが起こったと知ったのだろう。
「なぜ教室の掃除をするのか」という話しをされた。

大学時代、美術実習室を毎日使っていた。
だれも掃除をしないので、自分が毎日していた。
すると、だれが使っても良い実習室なのに、使う人が
「使って良いですか」と私に言うようになった。
きれいに掃除をするということは、その場所を大事にしてるということで、
それは他人にも伝わることなんだよ。

詳細は覚えていないが、そんな話だったと思う。

その話を聞いて、
私は、当番をサボる男の子に頭にきて張り飛ばした自分を
本当に後悔した。
掃除は当番だからやるというものではないのだ、と。
その人がみんなで使う場所を大事にできるかどうか、ということ。
そして、みんなが使うところを大事にできる人は、立派だと思った。
そういう人に、私もなりたいと思った。

だから、
☆自分も使うのだから掃除して当然でしょう。
は、的外れ以外のなんでもない。
むしろ、自分が使う多くの場所を他の人が掃除してくれていることに感謝する。

さて、しかし最初のお悩みの本質は、
ひとつめの、職場のトイレ掃除は職務ですか?というところにある。

これに対しては、社労士のひとが答えていた。

職務であり、労働時間としてカウントされるか否かは、
使用者の指揮命令下にあるかどうかで判断される。
そして、指揮命令下にあるかどうかの判断は、
実際に口頭等で直接命令される場合だけではない。
例えば、社員が「これは『○○しなさい』という意味だな」と察し、
○○をやらざるを得ないような雰囲気に仕向けているような場合であれば、
「暗黙の指示」とみなされる可能性がある。

今回問題となった始業前の清掃活動では、次のような解決策が考えられる。
(1)労働時間としないのであれば、参加・不参加は社員の自由意思に任せ、一切の強制がない活動にする。
(2)労働時間とするのであれば、清掃活動の時間だけ終業時間を早めるか、時間外労働として残業手当を支給する。

これがまっとうな判断だと思う。
職務となった場合、勤務時間として賃金が支払われるが、
それでもなおかつトイレ掃除ができないというのであれば、
できない理由を述べてその労働からはずしてもらうか、
それが不可能なら
☆トイレ掃除が嫌なら、業者がやってくれる職場を探せば?
ということになるのかな?

新型コロナウイルスが問題なる昨今。
学校のトイレ掃除も、専門家がするほうが良いのではないだろうか。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 図書館の図書貸し出しを望む! | トップ | 休校中の学習のあり方って? »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記・エッセイ・コラム」カテゴリの最新記事