極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

17.8%CIGSの衝撃

2011年08月17日 | 省エネ実践記

 

 

【物質は情報のかたまり】

インターネット検索サービス最大手の米グーグルは15日、米通信機器大手の
モトローラ・モビリティ・ホールディングスを総額125億ドル(約9600億円)
で買収すると発表。これまで携帯端末向けの基本ソフト「アンドロイド」を
提供してきたグーグルが、端末製造にも本格進出することで「iPhone(アイ
フォーン)」を展開する米アップルやフィンランドのノキアなどとの競争が
一段と激しくなる。グーグルによると、モトローラ株を1株40ドルで、現金
で買い取る。グーグルは、アンドロイドを搭載できる高機能携帯電話(スマ
ートフォン)やタブレット型の情報端末を自社開発できるようになることで
アップルとグーグルの二社による寡占時代に突入する。このため、業界内の
知的財産権をめぐる紛争の激化や反社会的行動への監視が強まる(独占禁止
法など)ものと看られる。

※マクルハーンを逆照射すると「物質とは情報のかたまり」ということにた
どり着いたのだが、こんかいの騒動も? 知的財産権という情報(意思表示)
をめぐるもめ事だと。


【フレキシブルCIGS化合物系太陽電池の衝撃】


シリコン太陽電池、薄膜太陽電池、化合物太陽電池などの種類に大別される
各種太陽電池のうち、薄膜型は薄膜技術を応用した光デバイスとして製造プ
ロセスが簡易かつ低エネルギーで済むという利点から商品化開発が進んでい
る。カルコパイライト型薄膜太陽電池は薄膜型種類に属し、I族、III族及び
VI族の元素を構成成分とするカルコパイライト化合物(Cu(In+Ga)Se2 )の
CIGS層をp型の光吸収層として
、ソーダライムガラスなどアルカリ金属含有
ガラス基板と組み合せて用いたときに高い光電効率が得られることが知られ
ている。不純物混入や欠陥格子に起因する光劣化(経年変化)現象の大幅削
減に基づく高い信頼性、長波長帯域を含む広い光吸収波長領域において得ら
れる光感度特性、高い水準の光吸収係数などの利点の他に、優れた耐放射線
特性を備えており、量産実用化の開発が進展している。

CIGS化合物は、In(インジウム)とGa(ガリウム)の組成比によりバンドギ
ャップを制御することができ、pn接合面から裏面にむけて、Ga/(In+Ga)を
徐々に増加させるグレーデッドバンドギャップ構造が採用されている。この
ようにバンドギャップを変化させることによって、光吸収層内部に電界が生
じ、その電界により光励起されたキャリアがpn接合へと輸送されるため変換
効率が向上する。さらに、pn接合部にGa濃度の高い領域を形成することによ
り、pn接合界面でのバンドギャップを拡大し、開放端電圧を向上させるダブ
ルグレーデッドバンドギャップを形成し、さらに、変換効率を向上させるこ
とができる。

しかし、ガリウムを多くしていくと粒径が縮小し再結合損失が生じ、CuIn
SeとCuGaSeとに分離し光電変換劣化現象が生じるため、基板上に、裏面
電極、CIGS化合物の光吸収層、バッファ層、窓層、上部電極が積層された半
導体薄膜太陽電池で裏面電極よりも基板側にアルミニウム供給層を有し、光
吸収層の一部ににもアルミニウム供給層からアルミニウムを供給ドーピング
することでこの問題を解決できるという(特開2011-155146)


【符号の説明】

10、40、50 太陽電池 12、12a 基板 14 太陽電池セル 16 上部電極端子
18 下部電極端子 20 ベース基板 22 Al供給層 24 裏面電極 26
光吸収層
28 バッファ層 30 窓層 32 上部透明電極 34 絶縁層 36 発電層

【概説】

太陽電池50は、基板12aと、基板上に形成された複数の太陽電池セル14の
発電層36と複数の太陽電池セル中の一方の端部(上図中左端側)にある
太陽電池セル裏面電極24の開放された端部表面(図中左端側表面)に形
成する、正極端子の機能する下部電極端子18と、他方の端部(図中右端
側)にある太陽電池セルの透明電極32端部最表面(図中右端側最表面)に
形成された負極端子として機能する上部電極端子16を有し、上下部電極端
子、アルミ等の導電体で形成。

また、透明電極28は、光吸収層26の溝27を埋めるように光吸収層の表面上
に形成。透明電極は、この溝部に隣接する電池セルの裏面電極に直接接触
し、隣接する2つの電池セル同士は、直列に接続される。なお、図中左端
の電池セル14アaは、3層の積層体の最下部の光吸収層26は、全て裏面電極
上に形成、透明電極は、3層の積層体の最上部の窓層30上に開口29を開け
形成。この電池セルはダミーセルである。

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なお、ここに掲載した新規考案の特徴は、光吸収層にドーピングするアルミ
ニウムは、1×1017cm-3以上含まれている領域で、裏面電極の主成分がモリ
ブデンであり、さらに、光吸収層と上部電極との間に積層したバッファ層、
バッファ層及び窓層を有する。また、光吸収層にドーピングされているアル
ミニウムの量が、基板側から上部電極側に向けて少なくなる。また、CIGS化
合物が、化学式Cu(InGa1-x)(SeS1-y2(0<x<1.0<y≦1)
であるという特徴をもつ。

※参考文献

・特開平11274526号公報
・特開2007-335792号公報
・特開平9-74065号公報
・特開平9-74213号公報
・第68回応用物理学会学術講演会 講演予稿集(2007秋 北海道工業大学)
 7P-L-6)、
・第54回応用物理学会学術講演会 講演予稿集(2007春 青山学院大学)29P-
  ZW-10)、
・第54回応用物理学会学術講演会 講演予稿集(2007春 青山学院大学)29P-
  ZW-14)

P. D. Paulsion et. al., J. Appl. Phys. Vol.91 No.12 (2002) 10153-10156
S. Marsillac et. al., Appl. Phys. Lett. Vol.81 No.7 (2002) 1350-1352
M. Sugiyama et. al., Thin Solid Films 517 (2009) 2175-2177
T.Nakada et.al,, Proc. of 10th European Photovoltaic Solar Energy Conference(1991)887-890.
K.Kushiya et.al, Tech.Digest 9th Photovoltaic Science and Engineering Conf. Miyazaki, 1996 
  
 (Intn.PVSEC-9,Tokyo,1996) p.149.
J.H.Ermer,et.al, Proc.18th IEEE Photovoltaic SpecialistsConf.(1985)1655-1658.
T.Nakada,et.al, Jpn.J.Appl.Phys.32(1993)L1169-L1172.
H.Miyazaki, et.al, phys.stat.sol.(a),Vol.203(2006)p.2603.
T.Wada et.al, Phys.stat.sol.(a), Vol.203(2006)p2593

【製造フロー概説(下図)

ベース基板20及びAl供給層22からなる基板としてAl基板自体を用いて、
陽極酸化処理を行い、表面に絶縁膜層34
となる陽極酸化被膜を形成し、絶縁
膜層として陽極酸化被膜を持つ絶縁膜層付きAl基板を形成、これを基板12a
として準備(ステップS100)→次に、基板の絶縁膜層上に、スパッタリン
グ法等で裏面電極層のMoを成膜形成する(ステップS102)→次に、絶縁膜
層上に形成されたMo膜を、レーザ光を基板に対して直線上に走査、レーザ
スクライブ法で切断し、パターン1にパターニングして間隙25を形成しMo
裏面電極を複数個に分割し、裏面電極を形成する(ステップS104)→次に、
裏面電極を分割する際に発生した切削屑を水洗除去した後、絶縁膜層上に形
成された裏面電極に、間隙を埋めるように、セレン化/硫化法又は多源同時
蒸着法等の加熱工程を光吸収層となるCIGS化合物半導体膜(p型CIGS化合物
光吸収膜)を形成すると共に、加熱工程において、Al
供給層22からAlを
半導体膜に、陽極酸化絶縁膜層及びMo裏面電極を通して熱拡散する(ステ
ップS106)→続いて、こうして形成された半導体膜上に、バッファ層なるCd
uS膜(n型高抵抗バッファ層)を形成し、さらに、pn接合部の並列(シャン
ト)抵抗を抑制するため、バッファ層上にスパッタ法等により窓層となるi
-ZnO膜(i型ZnO透明導電膜窓層)を形成する(ステップS108)→次に、金
属針を用いてバッファ層および光吸収層を線状に切り欠き、裏面電極上に形
成された半導体膜、CdS膜及びi-ZnO膜を一体(3層の積層体)として、メカ
ニカルスクライビング(メカニカルスクライブ)法で切断して、パターニン
グし裏面電極に達する溝を形成し、光吸収、バッファ層及び窓層を形成する
(ステップS110)→続いて、こうして形成された窓層上に、溝を埋めるよう
に、MOCVD法又はRFスパッタ法等のにより透明電極層となるn-ZnO膜(n型ZnO
透明導電膜)及びAlを形成する(ステップS112)→次に、n-ZnO膜、窓層
バッファ層及び光吸収層を一体として、金属針を用い透明導電膜、バッファ
層、光吸収層を線状に切り欠き、メカニカルスクライビング(メカニカルス
クライブ)法により切断して、パターニングし、隣接する太陽電池セル間に、
裏面電極にまで達する開口を形成し、各太陽電池セル毎に光吸収層、バッフ
ァ層、窓層及び透明電極層を個々に分離して、複数の太陽電池セルを基板上
に形成する(ステップS114)。2回のメカニカルスクライブにより複数個の
単位セルが設けられるという。





ところが、スイスのSwiss Federal Laboratories for Materials Science
and Technology(Empa)によって、弾力性のある太陽電池による変換効率の
最高値が更新されているが、プラスチックフィルム上に生成したもので、
18.7%の変換効率を示したと報道。これは、2010年6月に同研究所が出した
17.6%を大きく上回るという(2011.5.19“Record efficiency of 18.7% for
flexible CIGS solar cells on plastics”)。 これは、黒色でカラフルで
はないが、シリコン系に比べシート状で建造物を覆うことができ、反射光に
よる苦情はなくなる上、光の指向性が広いため、広角に太陽光を採光でき直
射光がなくても発電でき、屋根の形状に依存せず貼り付けるだけで良いとい
うメリットがあり、施工法を劇的に変えてしまう可能性をもつ→初期投資コ
ストを逓減でき、おそらくシリコン系と比較して1/3以下のコストで施工で
きるのではないかとわたしは読んでいる

 

                                                                 


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