【デクサマニーへの返信】
スマートグリッドや分散型電力(エネルギー自給)システムの要ともなる蓄電シス
テム。低コスト、長寿命化、安全性の先導的技術の開発がポイントとなる。NEDO
蓄電技術開発室は、経済産業省のエネルギーイノベーションプログラムの一環の大
規模蓄電システムの開発を中長期的なロードマップを策定している(上図参照)。
ノート型パソコンは瞬間停電用のバックアップ電源が不用なのはリチウム電池を搭
載しているからだ。勿論、スタンドアローン型にも搭載可能だが激しいコスト競争
で標準化されていない。もっとも日本独自に搭載規格を制定すれば別だが。低コス
ト化を実現するには量産効果を最大限利用しつつ、大型蓄電システムの導入促進に
は低利のリース制などの金融的支援が肝要となる。そして、定置用の大型蓄電池の
普及の絶好の機会として東日本大震災の復興を対象とした地域内のオフィスや工場、
住宅などに定置用蓄電装置の導入があり、これで地産地消が一挙に推進できる。こ
の対策に、補助金と税額控除やエネルギ安定化ファンドなどが考えられる。例えば
各自治体でファンドを発行し、国が債務保証し、債権の償還は長期間にわたり電気
代・ガス代の上乗せ徴収で行うということが提案されている。
※「省エネルギー技術戦略2011」の概要
「NEDO二次電池技術開発ロードマップ」
ソーラパネルは『デジタル革命』の基本特性が効くので量産効果と併せ、幾何級数
的にコスト逓減が実現できるが、蓄電池にはそれがいまのところ、量産と都市鉱山
化や高性能化を除いた製造プロセスのコスト削減の技術革新しかいまのところ手が
ない。この件に関しては改めて集中して考えてみたいが、蓄電装置およびそのシス
テムに関する現状と課題について考えてみる。
それでは定置型蓄電池はどのぐらいの価格設定できるのだろうか。手元にある『環
境ビジネス』の10月号で、2015年には、30円/Wh程度想定している(宮田秀明東京
大教授)。それによると、量産工場は経営にスピード感が求められるため、既存の
企業より新会社を設立し戦略的に行うべきだとする。「世界的なコスト競争で優位な
ポジションを確保し、定置用でトップ企業になるには迅速な事業展開が必須。既存電
池メーカーの共同出資形式などで、有望な電池モデルをもつ単独企業のほうが望ま
しい。とくに官民主導のファンド資金を活用するといい。東日本大震災復興に、初
期投資に復興特区とすことで税制面での支援も必要がある」と訴えている。
リチウムイオン電池は10年からEVやハイブリッド車の大量生産がスタートし年産1G
Wh以上の規模の工場が稼働するようになった。「一般家庭で20kWhタイプが60万円程
度で購入できるようになるかもしれない。ソーラー発電システムなら200~250万円
で設置できるので合計300万円ほどで自家発電所ができ、電力会社に頼らずに済む
ようになる」という。ソーラー発電とエネルギーマネージメントでエネルギーを地
産地消とし、合わせて売電による経済効果を産めないかとする。このプランはすべ
ての被災都市だけでなく、産業基盤を強化を望む全国の都市に適用できるモデルと
いうが、政府がはたすべき政策とし次の4点を挙げる。
(1)自然エネルギー発電の高価格買い取り
(2)消費者が発電源を選択できる
(3)電力供給の平滑化にインセンティブを与える、もしくは自然エネルギー発電
事業者に蓄電を義務化する、あるいは電力安定コストを負担させる
(4)自然エネルギー発電普及の重点を大規模事業者に転換し税制優遇や補助金対
象にする。
宮田教授は蓄電池を容量別に分け数年内の変化についておおよそのシナリオを描く。
まず小型とする5~20kWhは住宅メーカーと蓄電池メーカーにより、11~12年にスマ
ートハウスとして登場する。中型の100kWh~1MWhは電池メーカー、気象会社、ITベ
ンダー、電気機器メーカーによって12年にスマート事業所やオフィスビル、マンシ
ョンの電源として一部使用されるようになる。このケースではソーラー発電をより
効率的に行うためその発電量の予測と電力経営を気象会社とITベンダーが受け持つ
という。また大型とされる1MWhは14年にも登場しメガソーラー発電所や火力発電
所、ウィンドファーム、環境未来都市で積極的に利用されるようになるとする。こ
こには電気機器メーカー、デベロッパー、ITベンダー、社会システム設計会社など
が絡んでくるという。環境未来都市についてはすでに沖縄でEVレンタカーを使った
ピジネスが始まっている。これは急速充電ステーションを島内17ヵ所に殷けること
でどこにでもEVで移動できるようにした。また石垣島ではソーラー発電を利用し、
50MWhの蓄電池システムに蓄えると現在使用している重油消費量を3割削減するこ
とができるシミュレーションもまとめているという。
\30/whという数字が出ることで議論は伯仲し現実味を帯びるというものだろう。つ
まり、これの半分以下を目標にするというと、仮にわたしが言い出したしたら他の
組織人はどのような反応を示すだろうか。この回答は既に前述したように、後日集
中して考察してみるがこれが今日のブログのテーマである「デクサマニーへの返信」
ということなる。有史以来、燃料(火力・原子力)は基本的に地産地消だったが、
この二百年の短い時空間のみ、生産力と交易力の逓増にあわせ、非地産地消型のエ
ネルギー消費をとってきたからには、エネルギーだけ地産地消というわけにはいか
ないが、風力、地熱、水力、バイオマス、太陽光などのエネルギー変換技術の向上
ととともに、それが可能になりつつある。その契機が、地球温暖化と大規模気象変
動であり、地下資源枯渇であり、大規模原発事故であった。その反省に立ち人類は
もう一度エネルギーの地産地消の道を切り拓こうとしている。いわゆる、再び巡り
会う‘revolution’である。