極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

メタンハイドレートの行方

2012年10月11日 | EMF安全保障

 

 



独立総合研究所の青山繁晴がテレビでメタンハイドレートの開発促進を熱く語っていたので、
これはちょっと真剣に考えてみないとだめなのかと思い、採取処理方法についてワンポイン
トで下調べしてみた。例えば、メタンハイドレートからメタンガスを採取する場合、回収す
るまではガスが発生する環境を維持しなければ、再びメタンハイドレートが生成し、海底で
加熱した場合、発生したメタンガスを地上に移送中、高温状態を維持し圧力を制御しなけれ
ばならずコストやエネルギー効率の面で問題となる。

 特開2012-072029
【符号の説明】

1:メタンハイドレート処理装置、3:電極ユニット、32:プラズマ用電極、5:パイプ
ライン、6:ガス回
収配管、7:同軸ケーブル、8:高周波発生装置、9:水素貯蔵装置

そこで考えたのが電子レンジでメタンハイドレートを解凍?しようとする方法で、愛媛大学の液中プ
ラズマプロセスの研究グループが提案している(下図参照)。なお、このグループの研究は半導体製
造プロセスにも応用可能だとしてわたしも注目していたものだった。

簡単に言うと、プラズマ用電極に高周波を供給→プラズマ用電極によりメタンハイドレート
に電磁波
を照射→プラズマ発生させる。そして、プラズマでメタンハイドレートを分解→水
素発生させるという
二段工程方式。この方法で、プラズマ用電極から照射される電磁波で、
メタンハイドレートのプラズ
マ化し、メタンハイドレートは、主に水素と炭化物に分解する。
つまり、メタン
ハイドレートから水素を取り出すことができ水素燃料電池に用いられるなど、
二酸化炭素を出さないクリーンエネルギーとして活用できるというのだがそれは本当だろう
か?それが下図のメタンハイドレートと見立ててテーブルテストを模式図だ。それによると

【符号の説明】

30:プラズマ用電極、4:容器、 A:電子レンジ

メタンハイドレートは入手が容易でないため、実験としては同じ性質を有するシクロペンタ
ンハイドレ
ートを代替使用。シクロペンタンハイドレートは、常圧下(約1atm)で固体で
存在。両者は、共にCとHの結合を有し結合エネルギーは同程度。理論上、シクロペンタン
ハイドレートが分解されれば、メタンハイドレートも同方法で分解されるとして実験。なお、
シクロペンタンハイドレートはシクロペンタン(C10)と純水(HO)を界面活性
剤(ノイゲン)を用いて混合、シクロペンタンと水のエマルジョンを生成。シクロペンタン
ハイドレート(液体)を冷却し凝固し、この冷却中のシクロペンタン系内の温度分布状態を
均一化(撹拌器)。冷却が進んでいくと、シクロペンタンハイドレートは徐々に固体状にな
る。シクロペンタンハイドレートのシクロペンタン(C10)と純水(HO)とノイ
ゲンの質量比は、およそ32:66:2。


それではテスト方法。まず、電子レンジAと、プラズマ用電極30と、容器4である。電子
レンジAは、上部にガスの給排気用の配管a1、a2が設けられており、その他の構成は、
市販されている汎用のものと同様である。電子レンジAは、750Wで駆動し、マグネトロ
ンa3からマイクロ波(2.45GHz)を発生させる。プラズマ用電極30は、台座310
と複数のアンテナ320とを有し、電子レンジA内に配置する。台座310は、テフロン製
円板状の台座本体上面に、銅薄板が配置されて構成。アンテナ320は、棒状の導体(銅線
)。複数のアンテナは、台座310の銅薄板上に、等間隔にほぼ垂直に立たせて配置。アン
テナは、マイクロ波を補足。なお、実験において、アンテナの直径は1.5mmで、アンテナの
長さ及び配置間隔は、約20mm。プラズマ用電極30は、複数の同軸ケーブル7を海底に挿
入し、複数のプラズマ用電極32がメタンハードレート層に配置されていることに相当。

ンテナの長さは、マイクロ波が有機溶媒であるn-ドデカン中を伝播する場合のマイクロ波
の波長(λ)の1/4に相当。

            

アンテナの配置は、下図に示すように、台座310の中心に1本固定され、台座の中心から
等間隔で周上に6本が等間隔で垂直に固定されている。なお、アンテナの長さは、伝播する
マイクロ波の波長の1/4又は1/4の整数倍が好ましく、実験例1の場合、空気中を伝播
るマイクロ波の波長の1/4(約30mm)が理想。アンテナは、マイクロ波が捕捉可能
であ
ればよく、約20mmから40mmであれば十分プラズマが発生する。この場合マイク
ロ波が
導波管の1つである同軸ケーブル7内を伝播し、直接プラズマ用電極32に伝わるた
め、電極の
長さはプラズマ発生に対して大きな影響を与えないという。プラズマ用電極は、
アンテナが下
方となるように、支持部材4bにより蓋4aに支持され、後述する容器4内に
配置されてい
る。なお、支持部材4bは、蓋4aの下面に吊り下げられており、長さ調節が
可能となって
いる。これにより、プラズマ電極の高さ調節可能。また、容器は、耐熱性があ
りマイク
ロ波を透過し液体を収容する。容器は、耐熱ガラスで、蓋4aにより上部開口を塞
がれてい
る。この蓋は、配管a1、a2が配置される貫通孔を有している。容器内には、プ
ラズマ用
電極と円板状のシクロペンタンハイドレートCP(直径30mm、厚さ2mm)が
配置。容
器は、電子レンジA内のプラットホーム上に配置。実験開始にあたり、配管a1を
介して容
器内に窒素を供給し、配管a2を介して容器内のガスを排出。電子レンジを作動さ
せて、マ
グネトロンa3からマイクロ波が容器に照射。液中において、プラズマ用電極のア
ンテ
ナ先端部でプラズマを発生させた上、ガスクロマトグラフ分析装置でガスを分析すると
いう。
その結果は下表となる。


これによると、排出ガスには水素が38%含まれ、シクロペンタンハイドレートがプラズマ
により分解され水素が発生している。その他、CO、O2、不活性ガス等が含まれていた。
また、特定できないガスも含まれ、気化したガスの一部がプラズマ内部を通過せずに上昇し
たものと考えられている。

尚、シクロペンタンハイドレートCPの代わりに、シクロペンタン(液体)を入れて実験を
行っていて、排出ガスには水素が19.7%含まれて、この比較実験例では酸素が含まれて
いないため、COやCO
が発生しなかったという。

以上の実験結果より、メタンハイドレートを分解させ、水素を取り出すことが可能で、メタ
ンハイドレートを有効利用することができる。また、プラズマの発生においては、マイクロ
波(周波数およそ0.5~20GHz)以外の高周波(周波数およそ百kHz以上)であっ
てもよいが、マイクロ波のほうが、パワーが大きく、マグネトロン等により作成が容易であ
るため、より効率的で効果的である。プラズマ発生及び水素発生原理は、アンテナがマイク
ロ波を捕捉すると、アンテナの先端部において電場が強くなり、シクロペンタンハイドレー
トに電磁波が照射→アンテナの先端部でプラズマが発生。マイクロ波を連続的に供給→プラ
ズマを継続的発生→対向配置されたシクロペンタンハイドレートは、高温・高エネルギーの
プラズマにより分解される。さらに、まず、マイクロ波を受けたアンテナが電磁波を照射す
ると共に高温となり、シクロペンタンハイドレートが溶解する。その後、アンテナの先端で
プラズマが発生し、シクロペンタンハイドレートは、液体から気体に気化していく。気化し
た気体は、プラズマにより分解される。シクロペンタンハイドレートが分解されると、水素
及び炭化物等が発生する。この原理は、海底のメタンハイドレートであっても同様である。
発生した水素は、給排気用の配管から排出され貯蔵される。容器内に残った炭化物は、フラ
ーレン・ナノチューブなどのニューカーボンや活性炭として利用可能である。海底のメタン
ハイドレート層に存在するメタンハイドレートを分解し、燃料ガスである水素を回収するこ
とができ、燃料ガスである水素を地上に運搬する際に温度・圧力調整をする必要がなく、設
備・コスト面で有利である。また、メタンハイドレートの分解により生じる炭素成分は、海
中で固形化(ハイドレート化)する。この固形化した炭素成分を回収し、ナノテクノロジー
材料とすることも可能であるという。



このように考えていくと、電子レンジを使い、メタンハイドレートを回収すれば原理的に、
水素と炭化物を得ることになるから温暖化ガスの排出はなくなる。青山繁晴が言うようにシ
ェールガスの回収より環境破壊のリスクが逓減されるので日本の資源大国は実現できる。そ
う考えると『海洋海底立国構想』をこのブログ掲載してきた甲斐があったというもので、青
山らの構想は法螺話ではなく限りなく現実的なものとなる。「鉄は熱いうち打て」とそう思
えてきた。後は、原発開発促進事業に投じられる予算をメタンハイドレート開発促進事業に
転換すれば良いという道筋に光明が開ける。今回はすこし無理をしてこの考察をタイピング
してきた。そうして、心の高揚を感じている。


 

 

 

コメント
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