<金曜は本の紹介>
「この世でいちばん大事な「カネ」の話(西原理恵子)」の購入はコチラ
この本は漫画家の西原理恵子さんの幼少の頃からのおカネにまつわる体験・アドバイス等をまとめたものです。
お母さんの離婚、お金に余裕がないと日常が衝突のタネになる、社長のお父さんの自殺等による苦難、高校退学、最下位のイラストレーターだったこと、サービス精神が必要なこと、他人の言うことは聞くこと、ギャンブル・為替・借金などについて、苦労したこと・成功の秘訣など満載で、とても参考になる本だと思います。とてもオススメです!!
また、語りかける表現でとても分かりやすく、漢字にはすべてルビが振ってあり、子供にもとてもオススメな本です。
おカネ教育にはとてもよい本だと思います。
以下はこの本のポイントなどです。
・お母さんが離婚して、わたしのお兄ちゃんを連れて、実家のある浦戸に戻ってきたの。このとき、わたしはまだお母さんのお腹の中にいたんだよ。これから赤ちゃんが生まれようとしているのに離婚したんだから、よっぽどのこと。わたしと血のつながったお父さんは、お酒を飲むと手がつけられないほど暴れたらしい。お母さんは子どもたちを守るために離婚して、自分が生まれた町に帰ってきた。お父さんはアルコール依存症で、わたしが3歳のときにドブにはまって死んだ。だからわたしには血のつながったお父さんの記憶がない。
・本当にのどかな田舎町で、裕福だったわけじゃないけど、何の不自由も不安もなかった。駄菓子でも買ってもらえば、子ども心にはもう大満足。人って気候がよくて、食べる物に困らなければ、お金なんかそんなになくたってカリカリしないで暮らしていけるものなのよ。貧富の差がなかったから、いわゆる「貧乏人」がいなかった。町中がみんなが貧乏だと、だあれも自分が貧乏だってことに気がつかないのかもね。
・お金に余裕がないと、日常のささいなことがぜんぶ衝突のタネになる。食べたり着たりどこかに行ったり、そういう生活のひとつひとつのことにぜんぶお金が関わってくるからね。お金がないと、生活の場面のいちいちでどうしても衝突が避けられない。それも何十万、何百万って話じゃない。何万円、何千円の話で激しいいさかいをする。たったそれぽっちの金額でののしりあう、この情けなさが、わかる?
・わたしは、お父さんは社長だって思っていた。でもちがったみたい。「社長」「社長」ってペコペコすりよってきていたのは、どうしようもない、乞食みたいな人たちで、お父さんは社長は社長でも、乞食の社長だった。最後の最後まで羽振りのいいフリをして、見栄をはっていたお父さんの残していったなけなしのものが、身ぐるみをはがされるように持っていかれようとしている。お母さんは、そんなお父さんに殴られて腫れ上がったままの顔で、そういう人たちに「すみません、すみません」って頭を下げている。そのときになって、わたしは、初めて本当に知った。うちには、本当は「カネ」がなかったんだって。知らなかった。知ろうともしなかったことが、本当に恥ずかしかった。
・何としても娘を東京に行かせるために、お母さんは家中のお金をかき集めた。お父さんが死んで、自分だってこの先どうやって生きていくのかもわからないときだったのに、そうやってかき集めた全財産140万円のうち、100万円をわたしに手渡してくれた。
・貧しさが何もかものみこんでいくような、ブラックホールみたいな世界にのみこまれないために、わたしは、絵にすがりついた。才能があろうがなかろうが、そんなことは関係なかった。自分は絶対に絵を描く人になって東京で食べていく。そう心に決めた。この町には、もう、絶対に帰らない。こんなたいへんなときなのに、お母さんは「行きなさい」って、わたしに言ってくれたんだもん。絶対に帰れない。わたしの歩き出した道は、だから引き返せない一本道だった。
・たとえ最下位だろうと、どこが最下位なのか、自分のことをちゃんとよくわかれば、勝つ目は必ず見えてくるはず。わたしは、自分をそう励ましながら、来る日も来る日も描いて、描き続けた。今振り返っても、当時のその考え方は、まちがいではなかったと思う。自分の得意なものと、自分の限界点を知ること。
・結局、わたしが予備校時代のまる1年をかけて学んだのは、自分の絵がどうダメなのか、うまい人と、どこがどうちがうのかということを、冷静に判断できる力をつけたことだった。絵の技術はおせじにも上達したとは言えなかったけど、自分の絵を客観的に見る力を養えたことは、そこから道を切り開くために、すごく大きなことだったと思う。
・売り込みで出版社を回るうち、同じ業界でもいろんな仕事があるってことがわかってきて、わたしは、逆にちょっとだけ希望がわいてきた。もしたしたら最下位の自分にもしっくりくる場所がどこかに、きっとあるのかもしれない。
・それは、つまり、その時点のわたしの才能につけられた値段が「5万円」だったということ。これを目標の「30万円」にちかづけるには、どうしたらいいのか?それには「商品の差別化」が必要だった。「商品の差別化」なんていうと難しい話みたいだけど、ようは、「もっとたくさん稼ぎたいなら、人とちがうことをやらなくちゃお金にならない」っていうこと。わたしは、来た仕事を言われたとおりにやるだけじゃなくって、自分なりの工夫をすることにした。サービス精神を発揮することで「ほかの人とは、ちょっとひと味ちがうんですよ」ってところを見せて、自分の個性をアピールしてみたというわけ。
・何でも仕事をはじめたら「どうしてもこれじゃなきゃ」って粘るだけじゃなくて、人がみつけてくれた自分の「良さ」を信じて、その波に乗ってみたらいい。わたしの場合も、人から「あれ描いて」「これ描いて」って注文されて、断らずにやっているうちに「このあいだのアレ、おもしろかったよ」「こういうのをまたやりましょう」って、ウケるほうに、食べていけるほうに、仕事が寄っていった。そうなると、ひとつの仕事が次の仕事を呼んで、仕事の道ができていく。だから、わたしは思うのよ。「才能」って、人から教えられるもんだって。いい仕事をすれば、それがまた次の仕事につながって、その繰り返し。ときには自分でも意識的に方向転換しながら、とにかく足を止めないってことが大事。そうやっているうちに、わたしにも、自分の道がだんだん、ハッキリ見えてきた。わたしはやっぱり、人を笑わせるのが好きなのよ。わたしが描くものを見てくれた人が、その日のしんどかったことを忘れて笑ってくれたら、それが最高だって思った。
・だいたい、ギャンブルというのはそうそう勝ち続けられるもんじゃないんだよ。どんなギャンブルでも、いちばん強いのは親、つまり主催している「元締」だから。だって、「親」が儲からなかったら、競馬にしろ競艇にしろ、バクチをする賭博場の経営自体が成り立たなくなるでしょ。だから、ちゃんと主催者側の帳尻があうようにできている。
・ギャンブルのために借金なんかしたら、行き先は絶対に「地獄」だと思っていい。「貧乏」と「ギャンブル」と「借金」は、そのくらい直接に結びつくものなのよ。本当は、お金がないときにいちばん手を出したらいけないのがギャンブルなのに、現実はむりそ逆だよね。お金がないことを、ギャンブルで何とかしようと考えてしまう人が多い。これは本当に、危険な考え方だと思う。
・人って、ウソをつくのが平気になると、知らず知らずのうちにいろんな感覚が麻痺してきて、「盗む」ことにもためらいがなくなっちゃうものなんだよ。「ウソつきは泥棒のはじまり」って、よく言ったもんだと思う。
・わたしのギャンブルの師匠の銀玉親方だって、先輩から「男だったら、もらい酒はするな!」って教わったんだって。人からおごってもらうと「いやあ、どうも。すみませんね」って、どうしたっていペコペコしなきゃならないでしょ。そういうのが習慣化して平気になっちゃうと、ダメな男になっちゃうから、って。これは、わたし、女の子だってそうだと思う。「おごられて、あたりまえ」という態度には相手のことを甘く見て、みくびったり、自分自身を卑屈に思う気持ちが潜んでいる。ようするに「人として、そんなのダメだろ」ってこと。
・うちの息子には、まだ小学生だけど「アルバイトと世界放浪は、男の子の必修科目だからね!」って、今のうちから言ってあるんだよ。男の子は外の釜の飯を絶対に食べなきゃいけない、アルバイトをしてできるだけいろんな仕事を経験して、外の世界の大人からたくさん叱られてきなさい、って。
・人が喜んでくれる仕事っていうのは長持ちするんだよ。いくら高いお金をもらっても、そういう喜びがないと、どんな仕事であれ、なかなか続くものじゃない。自分にとっての向き不向きみたいな視点だけじゃなくって、そういう、他人にとって自分の仕事はどういう意味を持つのかっていう視点も、もつことができたらいいよね。自分が稼いだこの「カネ」は、誰かに喜んでもらえたことの報酬なんだ。そう実感することができたら、それはきっと一生の仕事にだって、できると思う。
<目次>
第1章 どん底で息をし、どん底で眠っていた。「カネ」がないって、つまりはそういうことだった。
「カネ」はいつも、魚の匂いがした/新しい町、新しい「お父さん」/オカマのリョウくんと観た映画/戦場みたいな家、盗むか死ぬかの子どもたち/「暴力」と「貧困」が居場所を奪う/町から出て行く女の子、町にとどまる男の子/何にもなくても、認められたかった。何にもなくても、好きになってほしかった。/真夜中のドーナッツ/お父さんが、行ってしまった日/子ども時代の終わりに
第2章 自分で「カネ」を稼ぐということは、自由を手に入れるということだった。
高校を退学になった女の子/「お前は世界でいちばんいい子だ」/自分を守るために嘘をつく大人たち/めざすは、ヘタウマのイラストレーター/手には、なけなしの百万円/上京。そして、デッサンの日々/「寝たきり浪人」と、こってりワル汁/最下位による、最下位からの戦い方/予備校生の売り込み屋/下請けの下請けは、ノーギャラだった/プライドでメシは食えません/エロ本。「何でもアリ」のワンダーランド。/天賦の才能よりも「サービス精神」/他人が、キミのことを教えてくれる。/捨てた故郷がわたしにくれたもの/「カネ」を稼ぐこと、「自由」になること
第3章 ギャンブル、為替、そして借金。「カネ」を失うことで見えてくるもの
マンション一室、買えました。/ギャンブルの師匠、銀玉親方登場/欲をかいてる時点で、もう負けだ/カネに対する「キレイ」の姿勢/人間は、引き返せない生き物である/借金。地獄への片道キップ/為替なんて、しょせんバクチだ!?/世界を動かす豆腐屋たち/手で触れる「カネ」、触れない「カネ」/自分のベースはどこにある?/姿を消した友だち/子ども時代からの金銭感覚/「カネ」って、つまりは「人間関係」だ。
第4章 自分探しの迷路は、「カネ」という視点を持てば、ぶっちぎれる。
「カネのハナシ」って下品なの?/育った町の、それぞれの「ぼくんち」/通貨の単位は「のり弁」だった。/必修科目としてのアルバイト/収入と「がまん」のバランス/逃げちゃってもかまわない!/自分の「真ん中」はどこにあるのか
第5章 外に出ていくこと。「カネ」の向こう側へ行こうとすること
人ひとり殺すと、いくらですか?/スモーキーマウンテンの子どもたち/ごはん、やきそば、菜っ葉と豚肉/奪われないこと、外に出て行くこと/グラミン銀行が試みていること/そして、「鴨ちゃん」のこと
面白かった本まとめ(2009年上半期)
<今日の独り言>
5歳の息子はテニス教室では共用のラケットを使っていたのですが、専用のラケットを買ってあげて大喜びです^_^)さっそくフォアハンドとバックハンドの素振りを30回ずつやって、先生に、「素振りをやったのでうまくなったでしょ!」と報告です^_^;)
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お母さんの離婚、お金に余裕がないと日常が衝突のタネになる、社長のお父さんの自殺等による苦難、高校退学、最下位のイラストレーターだったこと、サービス精神が必要なこと、他人の言うことは聞くこと、ギャンブル・為替・借金などについて、苦労したこと・成功の秘訣など満載で、とても参考になる本だと思います。とてもオススメです!!
また、語りかける表現でとても分かりやすく、漢字にはすべてルビが振ってあり、子供にもとてもオススメな本です。
おカネ教育にはとてもよい本だと思います。
以下はこの本のポイントなどです。
・お母さんが離婚して、わたしのお兄ちゃんを連れて、実家のある浦戸に戻ってきたの。このとき、わたしはまだお母さんのお腹の中にいたんだよ。これから赤ちゃんが生まれようとしているのに離婚したんだから、よっぽどのこと。わたしと血のつながったお父さんは、お酒を飲むと手がつけられないほど暴れたらしい。お母さんは子どもたちを守るために離婚して、自分が生まれた町に帰ってきた。お父さんはアルコール依存症で、わたしが3歳のときにドブにはまって死んだ。だからわたしには血のつながったお父さんの記憶がない。
・本当にのどかな田舎町で、裕福だったわけじゃないけど、何の不自由も不安もなかった。駄菓子でも買ってもらえば、子ども心にはもう大満足。人って気候がよくて、食べる物に困らなければ、お金なんかそんなになくたってカリカリしないで暮らしていけるものなのよ。貧富の差がなかったから、いわゆる「貧乏人」がいなかった。町中がみんなが貧乏だと、だあれも自分が貧乏だってことに気がつかないのかもね。
・お金に余裕がないと、日常のささいなことがぜんぶ衝突のタネになる。食べたり着たりどこかに行ったり、そういう生活のひとつひとつのことにぜんぶお金が関わってくるからね。お金がないと、生活の場面のいちいちでどうしても衝突が避けられない。それも何十万、何百万って話じゃない。何万円、何千円の話で激しいいさかいをする。たったそれぽっちの金額でののしりあう、この情けなさが、わかる?
・わたしは、お父さんは社長だって思っていた。でもちがったみたい。「社長」「社長」ってペコペコすりよってきていたのは、どうしようもない、乞食みたいな人たちで、お父さんは社長は社長でも、乞食の社長だった。最後の最後まで羽振りのいいフリをして、見栄をはっていたお父さんの残していったなけなしのものが、身ぐるみをはがされるように持っていかれようとしている。お母さんは、そんなお父さんに殴られて腫れ上がったままの顔で、そういう人たちに「すみません、すみません」って頭を下げている。そのときになって、わたしは、初めて本当に知った。うちには、本当は「カネ」がなかったんだって。知らなかった。知ろうともしなかったことが、本当に恥ずかしかった。
・何としても娘を東京に行かせるために、お母さんは家中のお金をかき集めた。お父さんが死んで、自分だってこの先どうやって生きていくのかもわからないときだったのに、そうやってかき集めた全財産140万円のうち、100万円をわたしに手渡してくれた。
・貧しさが何もかものみこんでいくような、ブラックホールみたいな世界にのみこまれないために、わたしは、絵にすがりついた。才能があろうがなかろうが、そんなことは関係なかった。自分は絶対に絵を描く人になって東京で食べていく。そう心に決めた。この町には、もう、絶対に帰らない。こんなたいへんなときなのに、お母さんは「行きなさい」って、わたしに言ってくれたんだもん。絶対に帰れない。わたしの歩き出した道は、だから引き返せない一本道だった。
・たとえ最下位だろうと、どこが最下位なのか、自分のことをちゃんとよくわかれば、勝つ目は必ず見えてくるはず。わたしは、自分をそう励ましながら、来る日も来る日も描いて、描き続けた。今振り返っても、当時のその考え方は、まちがいではなかったと思う。自分の得意なものと、自分の限界点を知ること。
・結局、わたしが予備校時代のまる1年をかけて学んだのは、自分の絵がどうダメなのか、うまい人と、どこがどうちがうのかということを、冷静に判断できる力をつけたことだった。絵の技術はおせじにも上達したとは言えなかったけど、自分の絵を客観的に見る力を養えたことは、そこから道を切り開くために、すごく大きなことだったと思う。
・売り込みで出版社を回るうち、同じ業界でもいろんな仕事があるってことがわかってきて、わたしは、逆にちょっとだけ希望がわいてきた。もしたしたら最下位の自分にもしっくりくる場所がどこかに、きっとあるのかもしれない。
・それは、つまり、その時点のわたしの才能につけられた値段が「5万円」だったということ。これを目標の「30万円」にちかづけるには、どうしたらいいのか?それには「商品の差別化」が必要だった。「商品の差別化」なんていうと難しい話みたいだけど、ようは、「もっとたくさん稼ぎたいなら、人とちがうことをやらなくちゃお金にならない」っていうこと。わたしは、来た仕事を言われたとおりにやるだけじゃなくって、自分なりの工夫をすることにした。サービス精神を発揮することで「ほかの人とは、ちょっとひと味ちがうんですよ」ってところを見せて、自分の個性をアピールしてみたというわけ。
・何でも仕事をはじめたら「どうしてもこれじゃなきゃ」って粘るだけじゃなくて、人がみつけてくれた自分の「良さ」を信じて、その波に乗ってみたらいい。わたしの場合も、人から「あれ描いて」「これ描いて」って注文されて、断らずにやっているうちに「このあいだのアレ、おもしろかったよ」「こういうのをまたやりましょう」って、ウケるほうに、食べていけるほうに、仕事が寄っていった。そうなると、ひとつの仕事が次の仕事を呼んで、仕事の道ができていく。だから、わたしは思うのよ。「才能」って、人から教えられるもんだって。いい仕事をすれば、それがまた次の仕事につながって、その繰り返し。ときには自分でも意識的に方向転換しながら、とにかく足を止めないってことが大事。そうやっているうちに、わたしにも、自分の道がだんだん、ハッキリ見えてきた。わたしはやっぱり、人を笑わせるのが好きなのよ。わたしが描くものを見てくれた人が、その日のしんどかったことを忘れて笑ってくれたら、それが最高だって思った。
・だいたい、ギャンブルというのはそうそう勝ち続けられるもんじゃないんだよ。どんなギャンブルでも、いちばん強いのは親、つまり主催している「元締」だから。だって、「親」が儲からなかったら、競馬にしろ競艇にしろ、バクチをする賭博場の経営自体が成り立たなくなるでしょ。だから、ちゃんと主催者側の帳尻があうようにできている。
・ギャンブルのために借金なんかしたら、行き先は絶対に「地獄」だと思っていい。「貧乏」と「ギャンブル」と「借金」は、そのくらい直接に結びつくものなのよ。本当は、お金がないときにいちばん手を出したらいけないのがギャンブルなのに、現実はむりそ逆だよね。お金がないことを、ギャンブルで何とかしようと考えてしまう人が多い。これは本当に、危険な考え方だと思う。
・人って、ウソをつくのが平気になると、知らず知らずのうちにいろんな感覚が麻痺してきて、「盗む」ことにもためらいがなくなっちゃうものなんだよ。「ウソつきは泥棒のはじまり」って、よく言ったもんだと思う。
・わたしのギャンブルの師匠の銀玉親方だって、先輩から「男だったら、もらい酒はするな!」って教わったんだって。人からおごってもらうと「いやあ、どうも。すみませんね」って、どうしたっていペコペコしなきゃならないでしょ。そういうのが習慣化して平気になっちゃうと、ダメな男になっちゃうから、って。これは、わたし、女の子だってそうだと思う。「おごられて、あたりまえ」という態度には相手のことを甘く見て、みくびったり、自分自身を卑屈に思う気持ちが潜んでいる。ようするに「人として、そんなのダメだろ」ってこと。
・うちの息子には、まだ小学生だけど「アルバイトと世界放浪は、男の子の必修科目だからね!」って、今のうちから言ってあるんだよ。男の子は外の釜の飯を絶対に食べなきゃいけない、アルバイトをしてできるだけいろんな仕事を経験して、外の世界の大人からたくさん叱られてきなさい、って。
・人が喜んでくれる仕事っていうのは長持ちするんだよ。いくら高いお金をもらっても、そういう喜びがないと、どんな仕事であれ、なかなか続くものじゃない。自分にとっての向き不向きみたいな視点だけじゃなくって、そういう、他人にとって自分の仕事はどういう意味を持つのかっていう視点も、もつことができたらいいよね。自分が稼いだこの「カネ」は、誰かに喜んでもらえたことの報酬なんだ。そう実感することができたら、それはきっと一生の仕事にだって、できると思う。
<目次>
第1章 どん底で息をし、どん底で眠っていた。「カネ」がないって、つまりはそういうことだった。
「カネ」はいつも、魚の匂いがした/新しい町、新しい「お父さん」/オカマのリョウくんと観た映画/戦場みたいな家、盗むか死ぬかの子どもたち/「暴力」と「貧困」が居場所を奪う/町から出て行く女の子、町にとどまる男の子/何にもなくても、認められたかった。何にもなくても、好きになってほしかった。/真夜中のドーナッツ/お父さんが、行ってしまった日/子ども時代の終わりに
第2章 自分で「カネ」を稼ぐということは、自由を手に入れるということだった。
高校を退学になった女の子/「お前は世界でいちばんいい子だ」/自分を守るために嘘をつく大人たち/めざすは、ヘタウマのイラストレーター/手には、なけなしの百万円/上京。そして、デッサンの日々/「寝たきり浪人」と、こってりワル汁/最下位による、最下位からの戦い方/予備校生の売り込み屋/下請けの下請けは、ノーギャラだった/プライドでメシは食えません/エロ本。「何でもアリ」のワンダーランド。/天賦の才能よりも「サービス精神」/他人が、キミのことを教えてくれる。/捨てた故郷がわたしにくれたもの/「カネ」を稼ぐこと、「自由」になること
第3章 ギャンブル、為替、そして借金。「カネ」を失うことで見えてくるもの
マンション一室、買えました。/ギャンブルの師匠、銀玉親方登場/欲をかいてる時点で、もう負けだ/カネに対する「キレイ」の姿勢/人間は、引き返せない生き物である/借金。地獄への片道キップ/為替なんて、しょせんバクチだ!?/世界を動かす豆腐屋たち/手で触れる「カネ」、触れない「カネ」/自分のベースはどこにある?/姿を消した友だち/子ども時代からの金銭感覚/「カネ」って、つまりは「人間関係」だ。
第4章 自分探しの迷路は、「カネ」という視点を持てば、ぶっちぎれる。
「カネのハナシ」って下品なの?/育った町の、それぞれの「ぼくんち」/通貨の単位は「のり弁」だった。/必修科目としてのアルバイト/収入と「がまん」のバランス/逃げちゃってもかまわない!/自分の「真ん中」はどこにあるのか
第5章 外に出ていくこと。「カネ」の向こう側へ行こうとすること
人ひとり殺すと、いくらですか?/スモーキーマウンテンの子どもたち/ごはん、やきそば、菜っ葉と豚肉/奪われないこと、外に出て行くこと/グラミン銀行が試みていること/そして、「鴨ちゃん」のこと
面白かった本まとめ(2009年上半期)
<今日の独り言>
5歳の息子はテニス教室では共用のラケットを使っていたのですが、専用のラケットを買ってあげて大喜びです^_^)さっそくフォアハンドとバックハンドの素振りを30回ずつやって、先生に、「素振りをやったのでうまくなったでしょ!」と報告です^_^;)