裸のラリーズのオフィシャルCD3タイトルがリリースされたのが1991年。その20周年を記念して、現在コレクター市場で高値で取引されているこの3タイトルのリマスター盤を正規に再発するという情報があった。当初は春に発売予定だったが延期につぐ延期でやきもきさせたあげく、年末12月30日にやっと入荷すると連絡があった。
”昨年に企画されていた20周年リマスターは計画倒れに終わり、そのマスターをUNIVIVEがリリース。91年リリース時のマスタリング機材では不可能だったアナログライクな音質でリマスター。当時のフォトグラファーの多数の写真を使用したリーフレットと、当時のジャケットのデータをすべて余すところなく収録したブックレットに彩られ、「’67-’69STUDIO etLIVE」「MIZUTANI」「'77LIVE」が蘇ります。特に77LIVEの音質はかなりの衝撃だと思われます。さらにボーナスディスクとしてこれらのCDの元になったオリジナルテープをディスク化した初期デモ集が付属したまさに満を持した、完璧なコレクターズアイテムです。(この文章はUNIVIVEから送られてきたものを掲載しています)”(モダーンミュージックHPより)
書いてあるようにこれはオフィシャル・リリースではなく、オフィシャル音源をUNIVIVEが引き継いでのリリースのようだ。UNIVIVEといえば2004年から突如ラリーズの高音質音源をCDR(2006年以降はプレスCD)で次々リリースし続けるラリーズ専門のブートレッグ・レーベルである。中にはオフィシャル盤より録音のいいものもありマニアのド肝を抜いた。丁度「ロック画報」の最終号が裸のラリーズ特集だったこともありラリーズ熱が若いファンをも巻き込んで再燃した。現在でも先日13枚組CD BOXをリリースしたignuitasと競ってラリーズ音源をリリースしている。ただし今回の例のように発売延期は当たり前なのでファンは辛抱が必要だ。
オフィシャル盤の「’67-’69STUDIO etLIVE」と「'77LIVE」を所有しているのでリマスター盤と音質を聴き比べてみた。マスターテープに起因するノイズ、音像の揺れ、途切れなど修復不可能な部分以外は、全体的な印象としては煤払いをしたような、もしくは霧が晴れたようなクリアなサウンドに生まれ変わった気がする。特に「MIZUTANI」(CDRで所有)と「'77LIVE」は音の粒子がキラキラ輝くような、フィードバックだけではないメランコリックでリリカルなラリーズ像を描き出している。ただし「'77LIVE」で曲間が途切れているのは不自然に感じる。パッケージや付属物も魅力的でファンならば所有しておいて損はないと思う。限定200セットとのことでプレミア化必至である。
伝説に
なり過ぎじゃないの
ラリーズって
これでラリーズ発掘音源は出尽くした感があるのだがどうだろうか。誰にも分からないところが”日本のロック最大の謎”(湯浅学氏)たる所以である。