この日は今年2回目のクラシック・コンサート。2005年ロン=ティボー国際音楽コンクールで第2位を受賞し注目された若手美人ヴァイオリニスト南紫音嬢のリサイタル。紀尾井ホールはアコースティック音響が素晴らしいし、オペラシティやサントリーホールよりこじんまりしていてお気に入りのホールだが行くのは10年ぶりくらいか。赤坂見附の駅からホテルの中を通って行けば楽なのに、すっかり忘れて坂道を登って行ったので息切れしてしまった。
紫音嬢のリサイタルは初めてだが、清楚な佇まいが前から気になっていた。しかもこの日のプログラムはプーランク、ドビュッシー、フランクというフランス・ベルギー系の近代音楽。CDでもコンビを組むピアニスト江口玲氏との共演でどんな世界を聴かせてくれるのか興味があった。
このブログ読者にはクラシック・ファンは少ないと思うが、コンサートに行けばアンプを通さない生音でしか味わえない表情豊かな音響とロックのライヴでは味わえない凛とした緊張感があって独特の体験ができるので、ぜひ足を運んでもらいたいと思う。特に管弦楽のような大編成ではなく、弦楽四重奏やピアノ/ヴァイオリン・ソナタなどの室内楽は、演奏者の表情や動きが良く見えるし、音数の少ないストイックな空間はアンビエント・ミュージックに通じるものがあって親しみやすいと思う。
紫音嬢の優雅な動きで奏でられるヴァイオリンの響きとピアノと共にダイナミックな流れを持った曲調はまるでプログレ、それもチェンバー・ロックに通じる。演奏が盛り上がるとつい身体を揺らしてしまうロック・ファンの悲しい性。オールスタンディングで聴いてみたい、と思ってしまうのは私だけだろうか。それほど抒情的でドラマティックな演奏だった。来月のユニヴェル・ゼロのいい予行演習になった。
ヴァイオリン
エディ・ジョブソン
ダリル・ウェイ
会場には秋元康氏の姿も見受けられた。さすが格式のあるクラシックの世界。でも普通のラフな学生風の若者の姿もあってホッとした。