2010年3月31日の解散表明以来、元ゆらゆら帝国のメンバー三人はそれぞれ独自の道を歩み始めた。坂本慎太郎氏はしばしの休息(隠遁)の後昨年7月に突然自主レーベル「zelone records」の設立とソロ活動の本格化を発表、11月にはソロ・デビュー・アルバム「幻とのつきあい方」をリリース、オリコンにもチャートインし、シーンへの復活を見事に印象付けた。亀川千代氏は灰野敬二さん、ヒロシNaさん、道下慎介氏(LSD-March)、ダモ鈴木さん等とのライヴ・セッションを行い神出鬼没の名ベーシストとして活動する。3月にはジャーマン・サイケの重鎮グル・グルのドラマーのマニ・ノイマイヤーさんとのセッションが予定されている。
さてドラマーの柴田一郎氏は「いちろう」名義でゆら帝時代から興味を示してきた電子音楽の世界に専念。Hair Stylistics=中原昌也氏やNUMB等と共演すると共にクラブ・イベントでソロ・パフォーマンスを展開、テクノ/アンビエント/エレクトロニカ/ノイズなどあらゆる側面を包括した音楽性に磨きをかけてきた。吉祥寺Jar-Beat Records主催のイベント「噛ます犬ナイト」で現場経験を積み、昨年2月にはEP「ジョイフル」でソロ・デビュー。そして1月27日アルバム「Fly Electric」で電子音楽家いちろうの本格デビューを飾った。
サウンドはすべてPowerBookで制作された純粋培養電子音楽でオウテカやパン・ソニックを髣髴させる異能エレクトロ・サウンド。ヘッドホンで聴くと左右を飛び交うエレクトロ・ノイズが脳髄を刺激して、ある意味ゆら帝やサイケ/アシッド・ロックよりもヤバい世界へ引きずり込まれそう。脳内マッサージと思えば深い快感に浸ることも可能だし、爆音でクラブで流してアブストラクト・テクノのシャワーに肉体を委ねることも可能。さすがドラマーだけあって複雑な非律動ビートの組み立て方はそこらのクラブDJの比ではない拘りに貫かれている。それにしても40分に及ぶタイトル・トラック「Fly Electric」には唖然とするしかない。まるでラ・モンテ・ヤングのような観念的アンビエント・ミニマル音響。ネタばれになるにので詳しくは書かないが分かる人には分かるよね。
とにかくかなりハイ・レベルな電子音楽である。エレクトロニカ初心者はまずEP「ジョイフル」を聴いてみた方がいいかもしれない。「Fly Electric」を購入するならamazonやタワレコよりもDisk Unionがおススメである。先着特典でライヴCDRとDVDRが付いてくるから、急いで注文した方が良い。
電子音
太鼓の世界と
違います
激ヤバでドラッギーな世界へようこそ!
このインタビュー最高です。