A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

THE THING+坂田明+PAINJERK@六本木 SuperDeluxe 2015.12.5 (sat)

2015年12月07日 00時50分36秒 | 素晴らしき変態音楽


THE THING
"SAHKE JAPAN!" TOUR 2015


出演:
THE THING:
マッツ・グスタフソン Mats Gustafsson(alto, tenor, baritone and slide saxophone, live electronics)
インゲブリグト・ホーケル・フラーテン Ingebrigt Håker Flaten(double bass and bass guitar)
ポール・ニルセン・ラヴ Paal Nilssen-Love(drums)
坂田明(alto, clarinet, voice)
PAINJERK(electronics)



ドン・チェリーのカヴァー・プロジェクトとして結成されたザ・シングが人前に姿を現したのは2000年。マッツ・グスタフソンがスウェーデンのUniversal Music傘下に設立したCrazy Wisdomレーベルの第1弾Mats Gustafsson/Ingebrigt Håker Flaten/Paal Nilssen-Love名義のアルバム『The Thing』だった。アルバート・アイラーのフレーズが飛び出す1曲目ドン・チェリー作「Awake」から全7曲、全編を通してストイックに硬派なフリージャズで突き進むこのアルバムは、現在「ガレージ・パンク・ジャズ」と呼ばれる彼らのスタイルが結成当初から一貫していたことを証明している。The Thing名義の2作目『She knows...』(2001)はジョー・マクフィーをゲストに迎え、バンド名の元になったドン・チェリー作「The Thing」をはじめ、オーネット・コールマン、フランク・ロウ、ジェームズ・ブラッド・ウルマー、ジョー・マクフィーの作品を含む全7曲。正式にはこちらがデビュー作とされている。



「フリージャズからエクスペリメンタル・ハウスまで、ハードコアからヒップホップまで」を標榜したCrazy Wisdomレーベルは6作のリリースを残して1年余りで活動休止した。しかしレーベルの閉鎖は彼ら三人の活動には何の影響も及ぼさず、ノルウェーのSmalltown Superjazz / Supersoundから続々と作品をリリース。2013年に設立した自らのレーベルThe Thing Recordsからの最新作『SHAKE』を携えての2年半ぶりの日本ツアーは、ジム・オルーク、坂田明等との共演を含む全国9公演。

●PAINJERK+Paal Nilssen-Love

(写真の撮影・掲載については主催者の許可を得ています。以下同)

90年代から日本のノイズ/エレクトロニクスの代表格として活動するPAINJERKとは初共演。エレクトロニクス+ドラムのデュオは、耳慣れたハーシュノイズではなく、サウンドエフェクトと左右のパンを駆使した電子音響と物音ノイズパーカッションの相互作用で、浮遊する幻野を聴き手の眼前に現出させた。

●坂田明+Mats Gustafsson


蛇使いのように円やかなハイトーンをくねらせる坂田のクラリネットと巨象を鞭打ち断末魔の叫びを上げるグスタフソンのバリトン。両者の交わりは聴くうちに境界が朧(おぼろ)になり、嗎(いななき)と雄叫びが重なり合って一つの生命体となり木霊する。

●THE THING(Mats Gustafsson+Paal Nilssen-Love+Ingebrigt Håker Flaten)


バリトンサックスを振りかざして泣き叫ぶグスタフソン、指を弦に叩きつけて誡めるフラーテン、不規則なパルスで攪乱するニルセン・ラヴにより、一瞬たりとも気を許したら同時破壊テロへ転じる恐れを感じさせるが如き三つ巴のバトルフィールドを描き出す。情け容赦ない陰旋律の連発に聴き手の心が涙色に転じて行く様を実況中継すべきだったかもしれない。

●THE THING+坂田明+PAINJERK


1stセットで3つの組み合わせで交歓した5者が初めて一同に会して音を重ね合う五重奏は、当然ながら只のクインテットと呼んで済ませられる訳はない。ドラム+ベース+エレクトロニクスの三重奏でスタートした交歓の宴で聴き手は、順列組合せの数よりも振幅のある情感の波風に翻弄される侭、40分に亘り音楽の祝福を享楽し続けた。とりわけアコースティック・カルテットに追随して「THE THING, THE THING, THE THING,…」と声色を変化させて繰り返すエレクトロニクスの呼び声は、人間以上に激しいエモーションの渦を巻き起こし、聴き手の心の中の黒く色どられていない処を薄明かりで照らし出した。





THE THING Viking & Red River


響き合う
北欧日本
ジャズノイズ

<THE THING "SAHKE JAPAN!" TOUR 2015>

Jazz Spot Candy, Chiba.
December 7 (Monday)
Website http://blog.livedoor.jp/jazzspotcandy/
ジャズスポット キャンディー(千葉)
12月7日(月)

Tokuzo, Nagoya.
December 8 (Tuesday)
Website http://www.tokuzo.com
得三(名古屋)
12月8日(月)

Life Time, Miyazaki.
December 9 (Wednesday)
Website http://www.lifetime-jazz.com
ライフタイム(宮崎)
12月9日(水)

New Combo, Fukuoka.
December 10 (Thursday) ― December 11 (Friday)
Website http://www.f2.dion.ne.jp/~combo/
ニューコンボ(福岡)
12月10日(木)―12月11日(金)

Big Apple, Kobe.
December 12 (Saturday)
Website http://www.geocities.jp/kbigapple/
ビッグアップル(神戸)
12月12日(土)

SPECIAL EVENT
Aketa No Mise, Nishi Ogikubo With Michiyo Yagi, koto
“Yagi, Flaten, Nilssen-Love: Ten Years After”
December 13 (Sunday)
Website http://www.aketa.org/mise.html
スペシャル企画
アケタの店(西荻窪)
『Yagi, Flaten, Nilssen-Love: Ten Years After』
12月13日(日)
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