グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

体験型合宿

2011年05月05日 | ツアー
駒澤大学高等学校科学研究部の皆さんの合宿の案内で、昨日は三原山を、今日は南部のジオサイトを中心に歩きました。
テーマは“地球”の勉強です!

今日のツアーで、私自身がとても感激した風景があります。
それは地層大切断面の次に訪れた、筆島海岸の景色です。

以前の日記で嶋田が報告していた、筆島の向かいの岸壁の迫力がずっと印象に残っていて、
いつか自分の目で見てみたいなぁ、と思っていました。

今日の筆島海岸は潮が引いていて、一部の岩を乗り越えればかなり奥まで行けそうでした。
幸い危険なほどの大きい波は来ないようです。

「行ってみましょうよ。危険だったら引き返しましょう。」
頼もしい先生の言葉に後押しされ、岩場越えを決めました。

足場を確認しながら岩場を越えます。


100万年~数10万年前に活動していたと言われる筆島火山。

黒と黄色にくっきり分かれた色が見事です。

火道(マグマが地上へ出る時にいつも使う通路)を満たしていた溶岩がゆっくり冷え、
しっかり固まったために波に削られずに残っていると言われる筆島。

数10万年もこの場所で荒波に耐えて残っているなんて、そのことを考えただけでも
この岩が神々しい存在に思えてきます。

ところで地下のマグマが地殻の弱い部分を板状に割って上がって来て固まったものを
“岩脈”と言いますが、筆島の壁にはその岩脈がたくさん観察できます。

この写真の黄色い壁にも、質の違う黒い筋が何本も入っているのがわかるでしょうか?

横や斜めに走っている筋もあって、地下のマグマが様々な方向に地殻を割って
地上を目指していたのが良くわかります。

以前、嶋田の日記にも載っていた直線の岩脈。

こんな風に地面を割って、赤いマグマが地下から上がってくるのですね。
この時きっと大地は、大揺れに揺れたのではないでしょうか?

遠い歴史に思いを巡らせていたら…
「おや?白い物が…??」

何かと思ったら、野球のボールでした。

ボールの下の方には、30cmぐらいの黒い浮きが挟まっています。(写真には写っていませんが…)
急に現代に戻った気分でした。(笑)

先生も同じように感じたのか「取りましょうか?」と、黒い浮きをはずそうと試みてくれました。
…しかしシッカリはさまっていて、外せませんでした。

これを外せるのは、波の力だけかもしれません。

ところで何だかこの岩脈、人の顔が刻まれているように見えるのは私だけでしょうか?
何かちょっと、石像みたいにも見えるのですけど…筆島火山の女神?(^_^;)

直線以外にも、竜が天に登っているようなクネクネした岩脈もありました。

大昔の火山活動が描き出した壮大な壁画です!

行きと帰りの私たちの足跡だけが刻まれた砂浜…。

でもきっとあと数時間で、波が足跡を全て消しさってしまうことでしょう。
まるで人間なんか誰も、近づいていないかのように…。

この後は、波浮港の爆発で飛んできた火山灰に、めり込んだ岩を見に行ったり…


火砕流が流れた(?)と思われる場所の先にある砂浜で、一昨日もここに横たわっていたウツボや、
磯の生物(カツオノエボシもいました!)を観察したり…

たくさん笑って、たくさん驚いた(虫にも・笑)中身の濃い時間でした。

昨日全員でハチジョウイヌツゲの実を味わうところから出発した、自然を五感で味わう大島合宿。

自分で体験することでしか感じることのできない何かを、楽しく経験させようとしてくれる頼もしい先生と、
和気あいあいの生徒さん達とのツアーは、案内していてとても楽しかったです。

火山が造った雄大な景色や、触れて覚えた様々な岩、地中の温度、様々な小さな生き物…。
大島で感じた何かが、大切な思い出として生徒の皆さんの心の中に残ってくれるといいなぁ、と思います。

(カナ)
コメント (4)
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