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グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

利島を歩きました。

2014年12月12日 | 火山・ジオパーク
12月9日(火)、高速ジェット船で、式根島から利島に渡りました。
利島では、以前三原山のツアーに参加してくれたKさんが、案内してくれました。

火山&森
噴火開始年代がわかっておらず、最新の噴火は4000~8000年前の間とされる利島は、大島同様、冷えると黒くなる溶岩の島…。しばらく溶岩を流していないために島は緑で覆われ、海岸は波に削られて崖になっています。

着いてすぐ“宮塚山”に登ることにしました。

ここは、神社が置かれていたために椿は植林されなかったそうです。

人の背丈より高い笹に驚いたり、スダジイの巨木を見上げたりしながら坂道を上りました。

所々に現れる巨木の姿がカッコいいです。

山頂近くに火口があり、木の枝越しに見える穴の中には、黄色く色づいた木々が見えました。

火口の中だけ明るく、植生が新しい感じがするのはなぜでしょう?
杉も生えていたので、もしかしたら植林などに使われていたのかも?(神社ですが…??)

火口から少し離れた展望所からの眺め。

集落は、港周辺にまとまっているとのことです。

下山は行きと違うコースへ。

かなりな急斜面に、Kさんが作った木の階段が延々と続いていました。
とても大変な仕事だったのでしょうね…(感謝)。

下山中に見つけて、嬉しくなったのはこれ。

「OKの木」と名づけました!(笑)

登山口の近くの大きな木の前で、鎌田さんが「これ、オオミズナギドリのヒナの滑空台なんです。」と教えてくれました。

「え?」驚く私に…「ちょうどコレが高さ的にも良くて、一番使われるんですよ。ほら、ここに爪の跡がいっぱいついている。」とKさん。

近づいて木の幹を観察すると、確かに細かい傷がいっぱいついています。

「へえ~、これが爪痕なんだ!」

暗い森の中で、飛び立つためにヨチヨチ歩いて木に登る、オオミズナギドリのヒナの姿が目に浮かぶようでした。そんな風景が見られるなんて…なんて素敵な森なのでしょう!!

「森の土は火山灰かな?」

そう思って手に取ってみましたが、火山灰より細かい粒の“湿り気のある土”の手触りでした。
ここは森がでできてから、どのぐらいの年が経つのでしょうか?

緑の森に覆われた利島で“火山”を感じたのは、山の中腹(たぶん)の、少し崩れた場所。


そして海岸沿いの溶岩でした。

なかなか立派な溶岩に、利島が溶岩を流していた遠い昔の光景が、想像できるような気がしました。

椿
利島の主要産業は椿油。

江戸時代には山を切り開いてヤブツバキの段々畑を作り、椿油で年貢を納めていたそうです。

島の標高300m以下は、椿の段々畑。

キレイに下草が刈られ、病気の木は倒されて…

若い苗木も大切に育てられていました。


「ものすごい作業量で、重労働だなぁ」と思っていたら、お助けマシンがありました。
コレ…

椿畑の中に張られたトロッコです!

ガソリンで動くとのことで、けっこうパワーもあります。


私も乗せてもらいましたが、とても楽しかったです。

もしも利島が観光に力を入れる日が来たら、絶対に人気がでそうな乗り物かも…。
もっとも、コストがかさみ、大変だそうですが…。

畑には大きな木もあって…


持ち主の“紋”が削られているとのこと。


咲きっぷりの良い枝を接ぎ木して増やしている場所にも連れて行ってもらいました。


皆さんボランティアで、世話をされているそうで…

「利島はまさに椿の島だなぁ」と思いました。

草刈りの終わった後の地面に、サクユリの花だけが刈られずに残っている風景にも、暖かいものを感じました。


町並み
島の中のあちらこちらに石垣が積まれていました。


ふとした何気ない風景の中に石垣があって、火山の島らしい風景がとても魅力的でした!


水事情
ところで利島は水の苦労があった島だったようです。
木の幹を伝う天水を溜めて水を確保する“シデ”という仕組みを教えてもらいました。

大島のシデは縄を木の幹に巻き付け、瓶に誘導する仕組みですが、ここでは…

笹の葉と、幹の部分が使われていました。

島の方が近くを通りかかって「笹は良いぞ~。」と語っていました。
良く水を集めることができるようです。

なるほど~。
ロープなどなくても身近に生えているものだけで,水が確保できるのですね!(感心)

トヨを伝う水をためる桶も、昔は各家庭においてあったそうです。

これは大島と同じでした。

ところで私は今まで「大島は若い火山の島だから、水はけが良く川ができず、昔から水の苦労があった。」と語ってきました。では、4000~8000年前が最終噴火と思われる利島は、なぜ水の苦労があったのでしょう?

なんだかわからなくなってきました~!!

そして今回の旅で、神津島、式根島という2つの白い溶岩の島を後にし、大島と同じ黒い溶岩の島“利島”に向かう途中のこと…海上に赤い火山(の残骸?)“鵜渡根島(無人島)”が浮かんでいました!

白と黒と赤の島が並んでいるなんて…なんだか不思議です。知れば知るほど謎は増えるばかりだけれど、やっぱり面白い!今回の旅で学んだことを、次に生かしたいです。

鎌田さん、ご案内ありがとうございました~!

(カナ)
コメント
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