グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

地球惑星科学連合大会の招待講演

2015年06月14日 | 火山・ジオパーク
延び延びになっていた、地球惑星科学連合大会での招待講演の様子をようやく少し、まとめました。

量が多くてとても報告しきれないので、本当にさわりだけですみません~。

桜島錦江湾ジオパーク 福島さん(桜島ミュージアム)
年間5000人の修学旅行を受け入れ、一つの産業になっているという桜島ミュージアム。溶岩でピザ釜作り、火山灰の陶芸、温泉掘り(場所による温度の差があるので、競い合って熱い場所を探す)、ロゲイニング、今秋から予定している雨の日プログラムのリアル脱出ゲームなどさまざまな試みを紹介してくれました。
福島さんが大切にしているのは「楽しい体験。必ずジオとのつながりを伝えること」なのだそうです。楽しみながらジオを学ぶ・・・多くの人にジオの魅力を伝えるために、とても大切なことだと思いました。

三笠ジオパーク 栗原さん(北海道博物館)
3月まで三笠市立博物館の学芸員でジオパークの事務局でもあった栗原さん。三笠では6つのエリアごとに、特色のあるジオサイトが展開され、1億年前のアンモナイトから現代の炭鉱までの1億年の時間旅行が楽しめるのだそう。推進協議会は、教育を助けるためのガイドブックを教員と一緒になって作成。興味ない人に何ができるかを考えてジオサイトにあるナゾを解いていくイベントを開催、2日で500人参加したとのこと。
栗原さんは「北海道博物館が道内ジオパークのハブになれれば」と語っていました。

洞爺湖有珠山 横山さん(北翔大学)
教育普及委員会の委員をしているという横山さんは「ここ3年、修学旅行や教育旅行を念頭に置いたテキスト作りをやってきた。」と作成したテキストの内容を紹介してくれました。
「理科と社会の指導要領のここが学べると言うことを明示。地図やイラスト、事前学習のポイント、基礎的なジオパークや簡単な歴史、問題等。野外で使うのは見開き1ページのチェックポイントのみにした・・・」等々。テキストはWebでダウンロードできるそうです。

山陰海岸ジオパーク 松原さん(兵庫県立大学准教授)
豊岡高校の生徒さんたちと一緒に壇上にあがり、高校の海外研修でレスボスジオパークに行ったときのことを紹介してくれました。高校生達はレスボス島でジオパークやツーリズムについて世界最先端の話をしてもらい、楽しくジオを学び、豊岡高校の研究発表を、向こうの中高一貫校で紹介したのだそう。「いろいろなことが学べて、視野も広がったし、楽しかった」と高校生が語っていました。次世代を育てていてすごいなぁと思いました。
 
糸魚川ジオパーク 竹ノ内さん(糸魚川ジオパーク推進室)
3月に20年ぶりにリニューアルしたフォッサマグナミュージアムの学芸員でもある竹之内さん。「日本列島はアジア大陸にくっついていて、離れて、裂けて、バキッと折れて、北側に糸魚川。裂けたのがフォッサマグナ」・・・絵も説明もシンプルでわかりやすいです!

西と東の文化的な違い、5億年の歴史が作るたくさんの石(20-30種類の石を集められる)世界最古のヒスイ文化・・・その他諸々、学習の素材に事欠かない糸魚川。ミュージアムには学芸員が5人いて、学習プログラムを自由自在に作ることが出来るそうです。スゴイ~。

(枕状溶岩のできかたの説明を聞いて、ジェスチャーをしたという高校生が会場にいて「枕状溶岩の気持ちが分かった。本当に感動した。」と語っていました。これもスゴイ!)

伊豆大島ジオパーク 西谷(ガイド)  
ガイドの立場で、日頃どんなツアーをしているかをまとめました。火山が生きていること、火山観測、防災のこと、暮らし、火山と風や波との関わり、人の暮らし、ジオパークでできること、様々な立場の人がジオツアーを手伝えることなどなど・・・時間配分を間違え、後半早口に(笑)

島原半島ジオパーク 大野さん(事務局&専門員)
話の組み立て方、語り方、目の配り方、間合い、どれもがとても見事で、まるで一流の芝居を観ているような気分になりました。シンプルでわかりやすい資料だなぁ・・・。


特に面白かったのは、身近なカレーを題材にして・・・

ぐの野菜を育てる土、島原半島の土の種類、それらの土ができるまでを語り・・・

という物語になっていたこと。お見事!

大野さんは「子どもに知って欲しいこと。なぜ、僕たちは日本に住んでいるの? 日本に住むといいことがあるのかも、と言うことを考えられる大人になって欲しい。」と語っていました。
 
天草ジオパーク 鵜飼さん(事務局)
天草全体でと言うことで、ジオパークの範囲を43倍に広げた、元天草御所浦ジオパーク。大小120の島々で構成される天草諸島では民泊が人気で、9つあるプログラムは海上クルージングが人気だそう。福井県立恐竜博物館と一緒に研究を継続。自然崩落をして崩れたものの中に化石がたくさん入っていて、自然の状態でも風化していくものなので、それを化石採集に利用しているそうです。

室戸ジオパーク 白井さん(事務局&専門員)
1年前に着任したという白井さん。非常にわかりやすく面白い説明に、いっぱい笑いました。
たとえば・・・

もよりの深海まで船で15分!! 

さらに、まるでテレビの料理番組のような語り方で「室戸流、美味しいポンカンの作り方。」を説明。「用意するものは、砂どドロと礫、海洋プレートと陸のプレートと××です(面白かったのにメモれてない)。まずプレートを沈み込ませます。ここに砂と泥を貯めていきます。・・・

付加体をどんどん育てていきます。ちきゅうを寒くすると海が下がって、陸が干上がります。次にちきゅうを暖かくするが、陸が隆起しているので干上がったままになり、段々の地形ができます。ここでやっと人が登場して、耕して畑を作り、手塩にかけてポンカンを育てます。これだけ地球と人が手塩にかけたポンカンは美味しくないわけはありません。」・・・ううむ~、こんな説明をされたら、絶対にポンカンを注文しちゃいます(笑)

室戸では、ほぼ365日ガイドツアーの受け入れ可能な体制になったそう。白井さんは「室戸の人たちは、大地や自然をよく利用している。変動する大地と上手に付き合う方法を室戸の人の生き方から感じて欲しい。」と語っていました。

研究者、専門員、教育者、ジオパーク事務局、ガイドなど、それぞれの立場からのジオパークの取り組み・・・講演を聴いて、全国の仲間が頑張っているのだなぁ・・・と思いました。

(カナ)


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