浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】NHKスペシャル取材班『日本海軍400時間の証言』(新潮文庫)

2015-11-26 10:12:49 | 
 これもすばらしい本だ。笠原十九司の『海軍の日中戦争』(平凡社)の趣旨と、この本のそれは基本的に重なる。日本海軍の開戦に果たした役割、日本海軍の影の部分が、この二冊でほぼ明らかになったということだろう。

 陸軍悪玉、海軍善玉説は、ここに崩壊した。

 この本のもとになったのは、NHKスペシャルの同名番組である。ボクもそれを見たのだが、どうもその趣旨を明確にとらえきれなかった。しかしこの本を読んで、この番組の重要性を理解することができた。

 笠原の本も、この番組であつかった「証言」などを参考にしている。

 いすれにしても、海軍の参謀ら、エリートたちは誰も戦争責任を追及されなかった。彼らは、戦争責任を免れるために、証言を合わせたり、GHQに働きかけたり、なかなか卑怯な真似をした。

 今、ナショナリストたちに、東京裁判を再検討しようという動きが出てきているが、本来責任を負うべき者たちが訴追されなかった。

 もう一度、1945年に終わった戦争の責任について、きちんと議論すべきであると思う。日本人は戦争に関する様々な責任について、追及することをしてこなかった。その結果が現在という状況を作り出している。

 ぜひこの本を読んでい欲しい。750円+悪税である。読む価値は十二分にある。
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