浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

ETV特集

2015-11-11 21:23:37 | その他
 ETV特集、「それはホロコーストの"リハーサル"だった~障害者虐殺70年目の真実~」を今日見た。この番組は、11月4日に放映されたものだ。

 ナチスドイツが六〇〇万人ものユダヤ人を虐殺する前、障がい者たちをガス室で殺していたというもので、その虐殺にドイツの精神医学者たちが協力していた、いや率先して担っていたという事実を、ドイツの精神医学者たちの学会がその蛮行を認め謝罪し、全世界にその事実を明らかにした。それに関連して、日本の障がい者の人権問題解決に奔走していた藤井さんがドイツを訪問し、遺族らに話しを聞くという内容だ。

 障がい者をガス室で虐殺する作戦をT4作戦と呼んでいたそうだ。その背景には優生思想があった。障がい者にかかる経費がかくもかさんでいるから、障がい者の遺伝子を抹殺する、というのだ。優秀なゲルマン民族のために・・・というわけだが、これはヒトラーの思考と共振する。

 次々とと障がい者たちがガス室に消えていく。それに気づいた人もいた。しかし、声を出さない。ひとりの司祭がその事実を知り、障がい者を殺戮すること、非生産的であるということで抹殺されるなら、歳をとって弱くなった老人たちも非生産的だとして殺されることになる、と抗議の声をあげた。その声が次々と伝えられ、T4作戦は中止された。

 だが、中止されても、秘かに障がい者は抹殺され続けた。

 一人の女性がでてくる。その女性には叔母がいた。父の妹である。しかし父は一度も妹の存在について話さなかった。祖母も娘についてほとんど言及することがなかった。
 その女性は叔母についてずっと知らなかった。ある日祖母の家で幼い父と叔母とが映っている写真をみる、祖母は父の妹であることを告げる。だがその写真は、すぐにどこかへ隠されてしまう。
 父が亡くなった後、叔母が17歳で、てんかんだったということで殺されたという事実を知る。ナチスドイツのその政策に対する怒りは当然であるが、みずからの家族がその叔母の存在について沈黙を守り続けたことに大きなショックを受ける。

 その女性は、新聞に広告を出す。叔母さんのことを、ずっと私は忘れない、という内容だ。

 障がい者の人間の尊厳、人権が守られない社会は病んでいる。病んでいる社会は、健常者にとっても生きにくいはずだ。

 日本も、同じような歴史を経験している。

 歴史を振り返り、見つめ、そして忘れない。それが問われていると思った。

http://www.nhk.or.jp/etv21c/archive/151107.html
コメント
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