『現代思想』の今月号の特集は「大学の終焉」である。この号を購入しようかどうしようかと迷ったが、結局購入した。町田の住人からは、今月号はどうだろうか、読むべきだろうかと尋ねられ、その時には購入してない旨を伝えた。しかし今、読む必要はないかも知れませんと答える。
すでに大学は、国家や資本の隷属下に置かれている。今月号は、文科省の教育系や人文系の学部学科を淘汰しようという動きのなかで企画されたものだ。この問題を真面目に取り組んでいる文や対談はある。しかし読んでいても展望はない。いずれの分野でも同様の事態が起きていることを確認するだけである。文科省が資本の要求を受けて、あるいは忖度して行おうとしてることに対して、大学関係者はこれに対抗できるのかと問えば、それは無理だと答えるだろう。学校教育法が改悪されても、そして大学の自治が根本から粉砕されようとしても、いま大学のキャンパスには、教員らの闘う姿勢はどこにも視られない。
正当にこの問題を取り扱っているのは、鵜飼哲・島薗進の対談、池内了・石原俊の論文である。この人たちの研究成果は時に参照させていただいている、立派な研究者である。そこでいわれていることはその通りだと思うが、しかし先述したように、正しいことを正しいと主張し実現する物質的なあるいは人的な動力源がない。
藤原辰史の「見知らぬ人との人文学」、これは肩肘張らずの優しい文であるが、これがなんとまあ素敵な内容だ。藤原は「自由と平和のための京大有志の会」の主要メンバーだ。農業史を専攻しているようだ。藤原は、有志の会が作成したあの「声明書」の草稿を書いたそうで、なるほどと思った。難しくもなく、格調高い、真実をついたあの声明を書くような人だからこそ、こういう文が書けるのかと思った。
藤原は、「「見知らぬ人」の声に冷静に耳を傾け、耳で咀嚼する聴力を鍛えることが、人文学を志す人間の毎日の務めである」という。人文学の未来は、なるほどこういうところにあるのだと、自然に納得してしまう。勿論藤原は、そうした例をいくつか書き込んでいるのだが・・・
ネットで検索してみたところ、なかなか面白い研究をしている人であることを発見した。この人を発見しただけでも、『現代思想』を買った価値があると思った。
http://www.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~fujihara/
上野俊哉、吉見俊哉の文は、ひねりが利きすぎて、キャッチャーミットに入っていない。それにバッターである読み手も、そのボールがよく見えない。
まだ全部を読んでいるわけではないが、良い文があったらまた紹介しよう。
すでに大学は、国家や資本の隷属下に置かれている。今月号は、文科省の教育系や人文系の学部学科を淘汰しようという動きのなかで企画されたものだ。この問題を真面目に取り組んでいる文や対談はある。しかし読んでいても展望はない。いずれの分野でも同様の事態が起きていることを確認するだけである。文科省が資本の要求を受けて、あるいは忖度して行おうとしてることに対して、大学関係者はこれに対抗できるのかと問えば、それは無理だと答えるだろう。学校教育法が改悪されても、そして大学の自治が根本から粉砕されようとしても、いま大学のキャンパスには、教員らの闘う姿勢はどこにも視られない。
正当にこの問題を取り扱っているのは、鵜飼哲・島薗進の対談、池内了・石原俊の論文である。この人たちの研究成果は時に参照させていただいている、立派な研究者である。そこでいわれていることはその通りだと思うが、しかし先述したように、正しいことを正しいと主張し実現する物質的なあるいは人的な動力源がない。
藤原辰史の「見知らぬ人との人文学」、これは肩肘張らずの優しい文であるが、これがなんとまあ素敵な内容だ。藤原は「自由と平和のための京大有志の会」の主要メンバーだ。農業史を専攻しているようだ。藤原は、有志の会が作成したあの「声明書」の草稿を書いたそうで、なるほどと思った。難しくもなく、格調高い、真実をついたあの声明を書くような人だからこそ、こういう文が書けるのかと思った。
藤原は、「「見知らぬ人」の声に冷静に耳を傾け、耳で咀嚼する聴力を鍛えることが、人文学を志す人間の毎日の務めである」という。人文学の未来は、なるほどこういうところにあるのだと、自然に納得してしまう。勿論藤原は、そうした例をいくつか書き込んでいるのだが・・・
ネットで検索してみたところ、なかなか面白い研究をしている人であることを発見した。この人を発見しただけでも、『現代思想』を買った価値があると思った。
http://www.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~fujihara/
上野俊哉、吉見俊哉の文は、ひねりが利きすぎて、キャッチャーミットに入っていない。それにバッターである読み手も、そのボールがよく見えない。
まだ全部を読んでいるわけではないが、良い文があったらまた紹介しよう。