浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

2016-01-06 11:25:58 | 
 昨日書庫から、明治文学全集のうち、『明治社会主義文学集』の一、二をもってきた。日本近代に於ける「非戦」、「小国主義」について跡づけていこうという魂胆だ。

 今日、『パンとペン』の文庫本が届けられた。この本は買って読んであったのだが、某にあげてしまった。某は読んでいるのかしらん。堺利彦など明治の社会主義者について勉強する一環である。その延長線上に、大杉栄、伊藤野枝を視野に入れている。ぱる出版から今発売されているもっとも新しい『大杉栄全集』を購入している関係で、この全集を活かさないわけにはいかないからだ。今秋の講座でも、大杉を取り上げるつもりだ。

 さて、『パンとペン』とともに届けられたのが、『現代思想』臨時増刊号、特集は「パリ襲撃事件 新しい〈戦争〉の行方」である。鵜飼哲、板垣雄三の二氏の論文を読んだだけだが、これは買いである。世界の動きに関心を抱いている人士はこれを読まなければならない。1400円+悪税である。

 昨秋からの「戦争法」に関しても、安倍政権など日本国内だけの視点、あるいは日米関係の視点からだけではなく、まさに世界史的視点から考えていくための材料が記されている。

 世界は動いている、その世界をどう了解するのか、現在の情勢は、世界との複雑な連関の下にある。その一端に触れることができる本だ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

奨学金

2016-01-06 08:52:50 | 政治
 日本の社会は、耐えることに慣れている人が多いように思える。「自己責任」ということばが大手を振っているように、貧しい家庭の子どもは貧しさに耐えながら、貧しさを引きずって生きていくことしかないと思わされているように思う。

 東京では、月50~250万円の家賃の賃貸マンションが不足しているという話を、この正月聞いた。ふつうの人びとは、家賃にそんなカネをつかえない。日本の格差は、ほんとうに拡大し、中層の一部が経済的上層に上昇し、中層の多くが下層へと剥落するという状況が続いているようだ。

 『中日新聞』(『東京新聞』)が、「新貧乏物語」の連載で、日本学生支援機構の奨学金を扱っている。同機構の奨学金は、往時の悪質サラ金と同じだ。少なくとも、同機構の奨学金はすべて無利子にすべきである。利子をつけるということは、貧しい学生にカネを貸してそれで利益を得るということである。

 これでは、ある種の「貧困ビジネス」である。

 大学卒業時に数百万から一千万余の借金を背負わせるなんて、酷だと思わないか。

 「自己責任」は、日本人のなかにある「やっかみ」をうまく利用し、日本国民を分断するためにつかわれている。

 福島の原発被害者らに、当然のように東電からカネがでる。当たり前ではないか。しかしそれをもらっていることを「やっかむ」。公務員の給料が高いといって攻撃する。公務員の給与は、その地域の平均的な水準でもある。公務員の給与が下げられれば、当該地域の賃金水準も下がっていく。

 相互の庶民の生活に寛容となり、庶民ではない支配層に対して手を取り合って抗議していく、そういう姿はなくなっている。「やっかみ」や「自己責任」が大きな力をもつ時代というのは、支配層の力が強いときでもある。

 しかし、その影で、たくさんの人が泣く。今日の慶應大の女子大生の生活には、嘆息しか出ない。日本は若者を、庶民を大切にしない。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする