窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

ニッカ 宮城峡蒸留所②

2010年05月04日 | BAR&WHISKY etc.
  ウィスキーの蒸留所見学について書くのは、これが初めてではありません。しかし、現在のブログに至るまでに実は二度ほどブログを閉鎖しているため、過去の蒸留所巡りの記録が残っていません。そこで改めて、ウィスキーができるまでの工程を順々にご紹介していきたいと思います。



 まず最初はキルン棟。モルトウィスキーの原料である発芽させた大麦(二条大麦)をこの建物の中で乾燥させます。



  その際、乾燥させるのにピート(泥炭)を焚きます。このピートの煙が作用することにより、ウィスキーに煙やヨードのような独特の香りが付加します(ピートを使わない場合もあります)。



  こちらがそのピート。植物が堆積して炭化したものなので軽く、乾燥した馬糞のようです。ピートそれ自体からは、いわゆるピート香はほとんどしません。当蒸留所では日本国内の泥炭層として知られた石狩平野のピートを使用しています。



  糖化槽(マッシュタン)。大麦にお湯を加え、粥のようにして糖化します。糖化槽は軽井沢蒸留所のように木製のものを使う場合もありますが、ここではステンレス製を使用しています。



  発酵槽。糖化した麦汁に酵母を加え、発酵させます。この酵母の働きにより麦のジュースが水とアルコールと二酸化炭素になります。ちょうどビールと同じようなものと考えればよいでしょう。この酵母の種類によりウィスキーに付加される香りなども異なってくるため、各蒸留所ではそれぞれ独自の酵母を使用しています。



  ウィスキー製造のシンボルといえば、この単式蒸留器(ポットスチル)でしょう。タータン、バッグパイプと共にウィスキーがアイデンティティともいえる存在のスコットランドでは10ポンド紙幣にポットスチルが印刷されているほどです。ポットスチルは蒸留所によってそれぞれ形や大きさが異なり、このこともウィスキーの個性に大きな影響を与えます。



  例えば、上の写真はニッカウィスキー創業時に、北海道余市で実際に使用されていたポットスチルです。下から上にかけて円錐状にまっすぐ伸びているのがお分かりいただけると思います(ストレート型)これに対して、宮城峡蒸留所のポットスチルは、首の付け根部分がまるく膨らんでいます(バルジ型)。科学的なことは不明らしいのですが、この部分の他働きにより、重い香りの成分が釜に戻るため、すっきりとしたソフトなウィスキーになると経験的に言われています。

  ウィスキーは通常この単式蒸留器で二度ないし三度蒸留を行いますが、宮城峡蒸留所は二回蒸留です。こうしてできる透明のウィスキー原酒をニュースピリッツといいます。なお、宮城峡蒸留所のポットスチルにはしめ縄が飾られていますが、これはニッカウィスキーの創業者、竹鶴政孝の生家が造り酒屋だったことによるそうです。<つづく>

  繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした

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