都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
A Day in the Museum@国立西洋美術館(2009年1月)
毎年このようにして無料で開放されているのでしょうか。無料開館日の新春2日、国立西洋美術館での常設展示を見てきました。
「A Day in the Museum - 美術館へ行こう」(美術ファンクラブ)
以下、いつものように惹かれた作品をいくつかアップしてみます。ちなみにご存知の通り、同館常設展は、フラッシュを用いなければ展示品の全てが撮影可能です。
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ジョルジョ・ヴァザーリ「ゲッセマネの祈り」(1570)
あまりにも有名な新約のワンシーンです。眠りこける三人の使徒をよそに、天使に祈りを捧げるイエスの姿が描かれています。また左奥から闖入してきているのは、イエスを捕まえようとユダに引き連れられた群衆です。ヨハネの魅惑的な表情に惹かれる方も多いのではないでしょうか。
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ヘーラルト・ダウ「シャボン玉を吹く少年と静物」(1635)
ともかく籠の表面を見て下さい。とても絵画とは思えません。高い質感表現で魅せるダウ渾身の力作です。
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グイド・レーニ「ルクレティア」(1636~1638)
短剣を右手もとに置き、これから自殺しようとするルクレティアの虚ろな表情が印象に残ります。自殺という一つの劇的なイベントより、青白い裸体、もしくはシーツなどの質感表現にも見入るべき点の多い作品です。
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ダフィット・テニールス(父)「ウルカヌスの鍛冶場を訪れたヴィーナス」(1638)
「鍛冶の神ウルカヌスがヴィーナスに請われて、彼女の息子のアエネアスのために武器を鋳造」(所蔵作品検索より引用)しています。また今回は展示されていませんでしたが、テニールス(子)の「アントニウスの誘惑」も魅力ある一枚ではないでしょうか。西美でいつかテニールス親子の企画展があればと願うところです。
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アンリ・ファンタン=ラトゥール「花と果物、ワイン容れのある静物」(1865)
静物画、とりわけ花卉画に佳作の多いファンタン=ラトゥールの作品です。桃の表面の毛羽立った質感までが巧みに表現されています。深い紅色のワインも美味しそうです。
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ダンテ・ガブリエル・ロセッティ「愛の杯」(1867)
彼女の掲げる愛の杯を飲み干すのは誰でしょうか。アーサー王伝説に取材したロセッティを代表する見事な一枚です。彼女に会わないと西美に来た気がしません。
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ギュスターヴ・クールベ「波」(1870)
クールベの「波」は各種ありますが、私の中での基準作は紛れもなくこれです。大きく曲線を描き、波頭の割れる様を描いた波の力強さは比類がありません。ちなみに本作は、印象派の画家たちを魅了した英仏海峡のエトルタで描かれていると考えられています。
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アルフレッド・シスレー「ルーヴシエンヌの風景」(1873)
私の偏愛の画家、シスレーが出ていました。比較的、構図、また細部に秩序だった点の多い初期の頃の作品です。ちなみに意外にも国立美術館にはシスレーがこれ一枚しかありません。
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クロード・モネ「雪のアルジャントゥイユ」(1875)
雪景色を描いてモネにかなう画家など存在しません。パリ近郊、セーヌ河側のアルジャントゥイユを描いています。モネはこの街で約7年間滞在しました。何度見てもその美しさに心打たれます。
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ピエール・ピュヴィ・ド・シャヴァンヌ「貧しき漁夫」(1881)
オルセー所蔵の異作として知られる作品だそうです。灰色を帯びた抑制的な色遣いの中に、川面に浮かぶ一艘の小舟と漁夫、そして子供が描かれています。漁夫にイエスのイメージが重なることは言うまでもありません。あたかもこれから十字架にのぼる姿であるかのようです。
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ポール・シニャック「サン=トロぺの港」(1901)
スーラとシニャックに甲乙をつけるのは困難ですが、今回はシニャックに良い作品が出ていました。やや大きめの描点が、光に包まれた地中海の港町をのびやかに表しています。
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エドゥアール・ヴュイヤール「縫いものをするヴュイヤール夫人」(1920)
見慣れた西美常設作品のも多い中、今回初めて惹かれた一枚かもしれません。暖色系のタッチが何気ない日常の幸福感を醸し出しています。
なお西美のHP上で先日、次回企画展以降、2010年度末までのスケジュールが発表されました。
今年の展覧会・イベントラインナップ!!(PDF)
ルーヴル美術館展(2009/2/28-6/14)
古代ローマ帝国の遺産(2009/9/19-12/13)
フランク・ブラングィン展(2010/2/23-5/30)
注目のルーヴルももちろん外せませんが、もう一つ目を引くのは松方コレクションとも縁の深いイギリス人画家、フランク・ブラングィンの回顧展です。ちなみに2006年には同館で彼の版画展も開催されています。ご記憶の方も多いのではないでしょうか。
かねてより新館閉鎖中のため、本館のみでの展示でしたが、質量ともに違和感なく楽しむことが出来ました。さすがにこの日は無料のため、それなりに混み合っていましたが、ルーヴル開催前までは静かな環境で珠玉の西洋絵画に触れられる格好のスポットともなりそうです。
「A Day in the Museum - 美術館へ行こう」(美術ファンクラブ)
以下、いつものように惹かれた作品をいくつかアップしてみます。ちなみにご存知の通り、同館常設展は、フラッシュを用いなければ展示品の全てが撮影可能です。
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ジョルジョ・ヴァザーリ「ゲッセマネの祈り」(1570)
あまりにも有名な新約のワンシーンです。眠りこける三人の使徒をよそに、天使に祈りを捧げるイエスの姿が描かれています。また左奥から闖入してきているのは、イエスを捕まえようとユダに引き連れられた群衆です。ヨハネの魅惑的な表情に惹かれる方も多いのではないでしょうか。
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ヘーラルト・ダウ「シャボン玉を吹く少年と静物」(1635)
ともかく籠の表面を見て下さい。とても絵画とは思えません。高い質感表現で魅せるダウ渾身の力作です。
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グイド・レーニ「ルクレティア」(1636~1638)
短剣を右手もとに置き、これから自殺しようとするルクレティアの虚ろな表情が印象に残ります。自殺という一つの劇的なイベントより、青白い裸体、もしくはシーツなどの質感表現にも見入るべき点の多い作品です。
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ダフィット・テニールス(父)「ウルカヌスの鍛冶場を訪れたヴィーナス」(1638)
「鍛冶の神ウルカヌスがヴィーナスに請われて、彼女の息子のアエネアスのために武器を鋳造」(所蔵作品検索より引用)しています。また今回は展示されていませんでしたが、テニールス(子)の「アントニウスの誘惑」も魅力ある一枚ではないでしょうか。西美でいつかテニールス親子の企画展があればと願うところです。
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アンリ・ファンタン=ラトゥール「花と果物、ワイン容れのある静物」(1865)
静物画、とりわけ花卉画に佳作の多いファンタン=ラトゥールの作品です。桃の表面の毛羽立った質感までが巧みに表現されています。深い紅色のワインも美味しそうです。
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ダンテ・ガブリエル・ロセッティ「愛の杯」(1867)
彼女の掲げる愛の杯を飲み干すのは誰でしょうか。アーサー王伝説に取材したロセッティを代表する見事な一枚です。彼女に会わないと西美に来た気がしません。
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ギュスターヴ・クールベ「波」(1870)
クールベの「波」は各種ありますが、私の中での基準作は紛れもなくこれです。大きく曲線を描き、波頭の割れる様を描いた波の力強さは比類がありません。ちなみに本作は、印象派の画家たちを魅了した英仏海峡のエトルタで描かれていると考えられています。
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アルフレッド・シスレー「ルーヴシエンヌの風景」(1873)
私の偏愛の画家、シスレーが出ていました。比較的、構図、また細部に秩序だった点の多い初期の頃の作品です。ちなみに意外にも国立美術館にはシスレーがこれ一枚しかありません。
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クロード・モネ「雪のアルジャントゥイユ」(1875)
雪景色を描いてモネにかなう画家など存在しません。パリ近郊、セーヌ河側のアルジャントゥイユを描いています。モネはこの街で約7年間滞在しました。何度見てもその美しさに心打たれます。
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ピエール・ピュヴィ・ド・シャヴァンヌ「貧しき漁夫」(1881)
オルセー所蔵の異作として知られる作品だそうです。灰色を帯びた抑制的な色遣いの中に、川面に浮かぶ一艘の小舟と漁夫、そして子供が描かれています。漁夫にイエスのイメージが重なることは言うまでもありません。あたかもこれから十字架にのぼる姿であるかのようです。
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ポール・シニャック「サン=トロぺの港」(1901)
スーラとシニャックに甲乙をつけるのは困難ですが、今回はシニャックに良い作品が出ていました。やや大きめの描点が、光に包まれた地中海の港町をのびやかに表しています。
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エドゥアール・ヴュイヤール「縫いものをするヴュイヤール夫人」(1920)
見慣れた西美常設作品のも多い中、今回初めて惹かれた一枚かもしれません。暖色系のタッチが何気ない日常の幸福感を醸し出しています。
なお西美のHP上で先日、次回企画展以降、2010年度末までのスケジュールが発表されました。
今年の展覧会・イベントラインナップ!!(PDF)
ルーヴル美術館展(2009/2/28-6/14)
古代ローマ帝国の遺産(2009/9/19-12/13)
フランク・ブラングィン展(2010/2/23-5/30)
注目のルーヴルももちろん外せませんが、もう一つ目を引くのは松方コレクションとも縁の深いイギリス人画家、フランク・ブラングィンの回顧展です。ちなみに2006年には同館で彼の版画展も開催されています。ご記憶の方も多いのではないでしょうか。
かねてより新館閉鎖中のため、本館のみでの展示でしたが、質量ともに違和感なく楽しむことが出来ました。さすがにこの日は無料のため、それなりに混み合っていましたが、ルーヴル開催前までは静かな環境で珠玉の西洋絵画に触れられる格好のスポットともなりそうです。
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