都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「2009 両洋の眼」 日本橋三越本店新館7階ギャラリー
日本橋三越本店新館7階ギャラリー(中央区日本橋室町1-4-1)
「2009 両洋の眼 第20回記念展」
1/27-2/1
会場で初めて知りましたが、計20回を数えるに至った本展覧会も、今年限りでその歴史に幕を閉じるのだそうです。日本橋三越で開催中の「2009 両洋の眼」へ行ってきました。
記念すべき第20回、及び最終回を迎えるとのことで、内容は第1回以来の作家の集う、文字通り集大成となっています。以下、印象深い作家を挙げてみました。
奥村美佳(1974~)「坂の街」
屋根の連なる街の遠景。まずは直線で切り取られた幾何学模様が目に飛び込んでくるが、霞がかかりながらも透明感のある水色の美しさがたまらない魅力を醸し出している。ぽつんと建つ塔は寂し気だった。
斉藤典彦(1957~)「しぐれの」
うっすらと紫色を帯びた肌色の色面が雲のようにたゆたう。膠の瑞々しい質感が良い。
福田美蘭(1963~)「ヴェルアベニュー千歳船橋」
ありふれた都会のマンションの夕景を正面から描く。輪郭のぼやけた抽象性が、鮮やかな色遣いとともに独特の美感を生み出していた。エントランスや窓辺からもれる明かりが温かい。
小杉小二郎(1944~)「I氏の回想」
ルソーを見るような孤独感と、ボーシャンのように素朴でかつ華やかな色遣いが合わさっている。『小人』がカーテン越しに遠くの山々を見やっていた。
石井礼子(1974~)「水族館」
重厚な絵画の多い本展示の中では明らかに異色。水墨のみで子供たちが魚を見やる水族館の喧噪を表現している。墨の質感がまるでチョークのようだった。あえて狙われた稚拙な線にこそ面白さがありそう。
菅原さちよ(1964~)「久遠」
縦長の二面の日本画。暗がりの中でうっすらと桃色に染まった蓮の蕾と花が描かれている。その静謐な味わいは抱一の「白蓮図」のようだった。
國司華子(1987~)「Black8」
作家自身の「家を占領していた」(キャプションより)という、8匹の猫を描いた日本画。まさに群猫図。まるで水彩絵具を流し込んだような画肌が興味深い。挑戦的な猫の眼がキラリと光っていた。
岡村桂三郎(1958~)「玄象」
神奈川県美(鎌倉)の個展の印象が忘れられない岡村の作品。1メートル四方の『小品』だが、傷だらけの鱗肌の体よりギロリと睨む象の迫力はやはり圧倒的だった。
川嶋淳司(1967~)「シロクマ」
プラチナ箔をバックにシロクマがのんびりと佇む。目は優しく、口元は緩んでいた。白と微かな黄色を帯びた絵具の感触が美しい。
そもそもいわゆる中堅以上の画家を多く紹介する展覧会ですが、中でも比較的若い世代に注目してしまうのは、やはり彼ら彼女らを応援したくなる気持ちがあるからかもしれません。
失礼ながらも、毎年肌に合うものは多くありませんでしたが、少なくともここ2、3年は見続けていただけに、今回で終わってしまうのは率直に寂しく感じます。
明日(2/1)の17時半で終了します。(閉場は18時。)
「2009 両洋の眼 第20回記念展」
1/27-2/1
会場で初めて知りましたが、計20回を数えるに至った本展覧会も、今年限りでその歴史に幕を閉じるのだそうです。日本橋三越で開催中の「2009 両洋の眼」へ行ってきました。
記念すべき第20回、及び最終回を迎えるとのことで、内容は第1回以来の作家の集う、文字通り集大成となっています。以下、印象深い作家を挙げてみました。
奥村美佳(1974~)「坂の街」
屋根の連なる街の遠景。まずは直線で切り取られた幾何学模様が目に飛び込んでくるが、霞がかかりながらも透明感のある水色の美しさがたまらない魅力を醸し出している。ぽつんと建つ塔は寂し気だった。
斉藤典彦(1957~)「しぐれの」
うっすらと紫色を帯びた肌色の色面が雲のようにたゆたう。膠の瑞々しい質感が良い。
福田美蘭(1963~)「ヴェルアベニュー千歳船橋」
ありふれた都会のマンションの夕景を正面から描く。輪郭のぼやけた抽象性が、鮮やかな色遣いとともに独特の美感を生み出していた。エントランスや窓辺からもれる明かりが温かい。
小杉小二郎(1944~)「I氏の回想」
ルソーを見るような孤独感と、ボーシャンのように素朴でかつ華やかな色遣いが合わさっている。『小人』がカーテン越しに遠くの山々を見やっていた。
石井礼子(1974~)「水族館」
重厚な絵画の多い本展示の中では明らかに異色。水墨のみで子供たちが魚を見やる水族館の喧噪を表現している。墨の質感がまるでチョークのようだった。あえて狙われた稚拙な線にこそ面白さがありそう。
菅原さちよ(1964~)「久遠」
縦長の二面の日本画。暗がりの中でうっすらと桃色に染まった蓮の蕾と花が描かれている。その静謐な味わいは抱一の「白蓮図」のようだった。
國司華子(1987~)「Black8」
作家自身の「家を占領していた」(キャプションより)という、8匹の猫を描いた日本画。まさに群猫図。まるで水彩絵具を流し込んだような画肌が興味深い。挑戦的な猫の眼がキラリと光っていた。
岡村桂三郎(1958~)「玄象」
神奈川県美(鎌倉)の個展の印象が忘れられない岡村の作品。1メートル四方の『小品』だが、傷だらけの鱗肌の体よりギロリと睨む象の迫力はやはり圧倒的だった。
川嶋淳司(1967~)「シロクマ」
プラチナ箔をバックにシロクマがのんびりと佇む。目は優しく、口元は緩んでいた。白と微かな黄色を帯びた絵具の感触が美しい。
そもそもいわゆる中堅以上の画家を多く紹介する展覧会ですが、中でも比較的若い世代に注目してしまうのは、やはり彼ら彼女らを応援したくなる気持ちがあるからかもしれません。
失礼ながらも、毎年肌に合うものは多くありませんでしたが、少なくともここ2、3年は見続けていただけに、今回で終わってしまうのは率直に寂しく感じます。
明日(2/1)の17時半で終了します。(閉場は18時。)
コメント ( 7 ) | Trackback ( 0 )