都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「束芋 - ハウス - 」 ギャラリー小柳
ギャラリー小柳(中央区銀座1-7-5 小柳ビル8階)
「束芋 - ハウス - 」
208/12/20-2009/2/14

丁寧に作り上げたはずのドールハウスが、いつしか押さえられない『悲しみに沈んだ』(doleful)何かに打ち破られました。ギャラリー小柳で開催中の束芋の新作個展へ行ってきました。
事実上、映像作品「dolefullhouse」(2007)の一点勝負です。一人の人物、正確には作り手を示す両手により、西洋趣味に彩られたドールハウスを組み立てていく光景が淡々と描かれています。終始、背後にゴボゴボと不気味に鳴る水の音と、ニュと伸びる手が互いに掻きむしることを除けば、ミニチュア家具や皿がてきぱきと配置される様子は、一瞬たりとも遅滞しません。理路整然、実にてきぱきと完成を目指して突き進んでいます。
この不穏ながらも明快な秩序は、突如、闖入してきたタコを切っ掛けにして乱されました。タコは一端、何とか茹でられて鍋へと押し戻されますが、それはいつしかドールハウスを支配するかのように触手を伸ばし、最後には堰を切った洪水を起こして全てをメチャクチャにリセットしてしまいます。ドールハウスはまさに作り手、そして見る側の何かを作り出す『論理』であるとするならば、破壊的に出現するタコに象徴されるそれは『感情』ではないでしょうか。壁を手が破っていく様は、社会の秩序(=ドールハウス)をズタズタにするような、半ば犯罪的な快感すら呼び起こしていました。抑圧され、またそれこそ手のように肥大化した自我は、欲望を投影したタコの力を借りることで一種、きれいサッパリに解き放たれていたのかもしれません。
2月14日までの開催です。
「束芋 - ハウス - 」
208/12/20-2009/2/14
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丁寧に作り上げたはずのドールハウスが、いつしか押さえられない『悲しみに沈んだ』(doleful)何かに打ち破られました。ギャラリー小柳で開催中の束芋の新作個展へ行ってきました。
事実上、映像作品「dolefullhouse」(2007)の一点勝負です。一人の人物、正確には作り手を示す両手により、西洋趣味に彩られたドールハウスを組み立てていく光景が淡々と描かれています。終始、背後にゴボゴボと不気味に鳴る水の音と、ニュと伸びる手が互いに掻きむしることを除けば、ミニチュア家具や皿がてきぱきと配置される様子は、一瞬たりとも遅滞しません。理路整然、実にてきぱきと完成を目指して突き進んでいます。
この不穏ながらも明快な秩序は、突如、闖入してきたタコを切っ掛けにして乱されました。タコは一端、何とか茹でられて鍋へと押し戻されますが、それはいつしかドールハウスを支配するかのように触手を伸ばし、最後には堰を切った洪水を起こして全てをメチャクチャにリセットしてしまいます。ドールハウスはまさに作り手、そして見る側の何かを作り出す『論理』であるとするならば、破壊的に出現するタコに象徴されるそれは『感情』ではないでしょうか。壁を手が破っていく様は、社会の秩序(=ドールハウス)をズタズタにするような、半ば犯罪的な快感すら呼び起こしていました。抑圧され、またそれこそ手のように肥大化した自我は、欲望を投影したタコの力を借りることで一種、きれいサッパリに解き放たれていたのかもしれません。
2月14日までの開催です。
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