「Mr. FREEDOM X」 A+ アプリュス

A+ アプリュス・荒川区リサイクルセンター南側棟(荒川区南千住6-67-8
「Mr. FREEDOM X」
1/24-2/15



下町の片隅でひっそりと開催されている若手現代アーティストのグループ展です。荒川区リサイクルセンターでの「Mr. FREEDOM X」へ行ってきました。

出品作家は以下の通りです。(magical, ARTROOMより転載。)

板垣賢司、岩永忠すけ、大田黒衣美、小林亮平、斉藤丈夫、須田剛一、相馬大、田口和奈、土川藍、野口行範、メチクロ、ヤマタカEYE

公共のリサイクルセンターに12名の作家が集うというと、一般的にそれなりの『スケール』と『量』を求めてしまいますが、この展示はそうした面をあえて放棄し、言わば確信をもって空間を埋めない構成がとられています。つまり作品は、体育館の級の広大なスペースの中に、それこそポツポツと点在するに過ぎません。(出品数全12点。誰もいない体育館の中にバスケットボールが適当に10個ほど転がっている様をイメージして下さい。展示風景はまさにそのような感じです。)一見すると、まだ設営前の会場かと思ってしまうほどでした。

もちろん作品は隠されているわけではありませんが、まずはそれを見つけ、歩き回ることからはじめなくてはなりません。会場自体も非常に分かり難い場所にありますが、鑑賞者に『優しくない』点にかけては、おそらくは東京のどこを探しても他にはない展示だと言えるのではないでしょうか。逆説こそ価値の全てです。丁寧に演出された広い空間で多くの作品を楽しむという、ごく普通の美術鑑賞の行為は、控えめさを装いながらも、ある意味で過激なまでに糾弾されていました。

(荒川区リサイクルセンター南側棟)

このような『虚』の中だからこそ、逆に作品自体の価値は高められているのかもしれません。片隅に一枚飾られた、田口和奈の朧げな女性像は目に焼き付きました。彼女はこの静まり返ったリサイクルセンターの唯一の住人です。また大田黒衣美のオブジェ「青い馬」は、ただひたすらに広がる空間に取り残されたペットのようにも見えました。今にも羽ばたいて外へと逃げ出そうとしています。

(会場入口)

率直なところ、おすすめするかどうか迷いますが、お出かけの際は必ず地図をお持ち下さい。現地はかなり入り組んでいます。*最寄は京成線千住大橋駅。(7、8分程度。)常磐線南千住駅からも歩けます。(10~12分程度。)

次の日曜日、15日までの開催です。

*関連リンク
A+(アプリュス):荒川ゆうネット
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