都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
オーケストラ・ダスビダーニャ定期 「ショスタコーヴィチ:交響曲第10番」他 長田雅人
オーケストラ・ダスビダーニャ 第16回定期演奏会
ショスタコーヴィチ オラトリオ「森の歌」(改訂前の歌詞による)
ショスタコーヴィチ 交響曲第10番
テノール 小貫岩夫
バス 岸本力
混声合唱 コール・ダスビダーニャ
児童合唱 すみだ少年少女合唱団
管弦楽 オーケストラ・ダスビダーニャ
指揮 長田雅人
2009/2/15 東京芸術劇場大ホール

アマチュアのオーケストラ「オーケストラ・ダスビダーニャ」が、ショスタコーヴィチのために全てを捧げます。年に一度の定期演奏会へ行ってきました。
実はそもそもお金を払ってアマオケを聴くのが初めてでしたが、ともかく団員の方々の熱気、そして情熱には、終始頭が下がるものがありました。最近でこそメジャー作曲家の仲間入りをしたとは言え、さほど人気もないショスタコーヴィチを演奏するためだけに作られた団体というだけでただならぬ気配を感じますが、さらには「森の歌」や「第10番」などの演奏機会の少ない曲を果敢に攻めて表現し得たというだけでも、十分に称賛に値するのではないでしょうか。年に一度、まさに一期一会にかける熱意は、客席にただ座る私にも十分に伝わってきました。美音などもろともせず、ショスタコーヴィチ自身の叫びを示すかのように音を裂くトランペット、千手観音の如く手を振り乱して、ホールを割れんとばかりに叩きまくるティンパニ、そしてロックでも演奏するようにノリにのった小太鼓など、まさにアマオケならではの醍醐味を存分に楽しむことが出来ました。音楽の構造、そしてハーモニーを提示するよりも、曲の奥底にあると信じたい『魂』を抉りとることに関しては、プロのオケでもなかなか出来るものではありません。ダスビの公演からはそうした面を強く感じました。
明暗の対比も過激に、時にアンサンブル崩壊寸前の超快速テンポで聴かせる「第10番」も楽しめましたが、より興味深かったのは実演では初めての「森の歌」でした。ショスタコーヴィチにしては薄気味悪いほどに明快な音楽で、スターリンのあくまでも植林事業を超ど級のスケールで描くこの曲を、ダスビは改訂前の言語テキスト、つまりは直接的にスターリンをたたえる文言の入った内容で高らかに歌い上げます。とりわけ全合唱、及びソロの入る第7曲「栄光」の力強さは圧巻の一言です。迫真に満ちた「スターリンに栄えあれ!」というフレーズが頭を離れません。ショスタコーヴィチはこの音楽で名誉を回復し、また一方で自身をある意味で傷つけざるを得なかったわけですが、今回の演奏はそうした歴史の暗部をまたリアルに再現していたのではないでしょうか。楽天的などんちゃん騒ぎの音楽が逆に心へ突き刺さりました。
第10番の後、アンコールに再度同曲のアレグロ楽章を演奏したのには驚きました。痛快なほどに鳴る金管、打楽器群とも最後の力を振り絞っての大熱演です。
SOLTI Shostakovich Symphony No. 10 Munich BRSO Live
preludeさんのお誘いがなければ、血潮の迸る本公演も聞き逃していたかもしれません。会場も満席でした。
ショスタコーヴィチ オラトリオ「森の歌」(改訂前の歌詞による)
ショスタコーヴィチ 交響曲第10番
テノール 小貫岩夫
バス 岸本力
混声合唱 コール・ダスビダーニャ
児童合唱 すみだ少年少女合唱団
管弦楽 オーケストラ・ダスビダーニャ
指揮 長田雅人
2009/2/15 東京芸術劇場大ホール

アマチュアのオーケストラ「オーケストラ・ダスビダーニャ」が、ショスタコーヴィチのために全てを捧げます。年に一度の定期演奏会へ行ってきました。
実はそもそもお金を払ってアマオケを聴くのが初めてでしたが、ともかく団員の方々の熱気、そして情熱には、終始頭が下がるものがありました。最近でこそメジャー作曲家の仲間入りをしたとは言え、さほど人気もないショスタコーヴィチを演奏するためだけに作られた団体というだけでただならぬ気配を感じますが、さらには「森の歌」や「第10番」などの演奏機会の少ない曲を果敢に攻めて表現し得たというだけでも、十分に称賛に値するのではないでしょうか。年に一度、まさに一期一会にかける熱意は、客席にただ座る私にも十分に伝わってきました。美音などもろともせず、ショスタコーヴィチ自身の叫びを示すかのように音を裂くトランペット、千手観音の如く手を振り乱して、ホールを割れんとばかりに叩きまくるティンパニ、そしてロックでも演奏するようにノリにのった小太鼓など、まさにアマオケならではの醍醐味を存分に楽しむことが出来ました。音楽の構造、そしてハーモニーを提示するよりも、曲の奥底にあると信じたい『魂』を抉りとることに関しては、プロのオケでもなかなか出来るものではありません。ダスビの公演からはそうした面を強く感じました。
明暗の対比も過激に、時にアンサンブル崩壊寸前の超快速テンポで聴かせる「第10番」も楽しめましたが、より興味深かったのは実演では初めての「森の歌」でした。ショスタコーヴィチにしては薄気味悪いほどに明快な音楽で、スターリンのあくまでも植林事業を超ど級のスケールで描くこの曲を、ダスビは改訂前の言語テキスト、つまりは直接的にスターリンをたたえる文言の入った内容で高らかに歌い上げます。とりわけ全合唱、及びソロの入る第7曲「栄光」の力強さは圧巻の一言です。迫真に満ちた「スターリンに栄えあれ!」というフレーズが頭を離れません。ショスタコーヴィチはこの音楽で名誉を回復し、また一方で自身をある意味で傷つけざるを得なかったわけですが、今回の演奏はそうした歴史の暗部をまたリアルに再現していたのではないでしょうか。楽天的などんちゃん騒ぎの音楽が逆に心へ突き刺さりました。
第10番の後、アンコールに再度同曲のアレグロ楽章を演奏したのには驚きました。痛快なほどに鳴る金管、打楽器群とも最後の力を振り絞っての大熱演です。
SOLTI Shostakovich Symphony No. 10 Munich BRSO Live
preludeさんのお誘いがなければ、血潮の迸る本公演も聞き逃していたかもしれません。会場も満席でした。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )