「松岡映丘とその一門」 山種美術館

山種美術館千代田区三番町2 三番町KSビル1階)
「松岡映丘とその一門 - 山口蓬春・山本丘人・橋本明治・高山辰雄 - 」
1/6-3/1



「近代日本画において『やまと絵』を復興させた松岡映丘」(公式HPより引用)と、その門人らを紹介します。山種美術館で開催中の「松岡映丘とその一門」へ行ってきました。

表題に松岡映丘とあると、さも彼の作品が多数を占めているように思えますが、実際には松岡1割、その他一門の画家が9割です。決して松岡の回顧展ではありません。以下、出品の作家をキャプションを参考に大別してみました。

師:橋本雅邦、川端玉章
仲間:鏑木清方、平福百穂、結城素明(美術団体「金鈴社」を結成。)
門下:山口蓬春、山本丘人、橋本明治、高山辰雄



印象深かった作品を展示順に挙げます。まずは門下の山口蓬春より「錦秋」の一枚です。デザイン的とも言える紅葉が鬱蒼と生い茂り、そこへ小鳥が二羽、取り澄ました様子にてちょこんとのっています。蓬春というと、紫陽花の青紫色を思い出しますが、この紅葉の朱も味わい深いものがあるのではないでしょうか。カラリストとして見ても面白い作家なのかもしれません。



同じく映丘に師事した山本丘人の二点の大作、「洋上の火山」と「入る日」のダイナミックな様には驚かされました。地に金を用いながらも、黒い極太の線描によるのか、そびえ立つ火山の姿が猛々しくも暗鬱に描かれています。まるで烈しい怒りを秘めているかのようでした。



もう一点、門下生からは橋本明治にも触れなくてはなりません。美人画にはおおよそ似つかない力強い輪郭線をはじめ、和装のエメラルドグリーン、及び顔や手に塗られた青白い色遣いにはたまげました。キュビズム絵画を見るような迫力さえ感じられます。



松岡は計5点ほど出品されていました。白眉はちらし表紙も飾る「山科の宿『おとづれ』」ではないでしょうか。今昔物語に取材した本作の精緻でかつ雅やかな様子には、やまと絵の技法を復古させたという映丘の真骨頂を見ることが出来ます。乳房に食らい付く赤ん坊の生き生きとした姿をはじめ、それを驚いた様でみやる母、さらには庭の白梅と紅椿の対比などに目を奪われました。

明日、3月1日までの開催です。
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