「北野謙 - 深海 世界が在ることへ」 日本橋高島屋 美術画廊X

高島屋東京店 美術画廊X
「北野謙 - 深海 世界が在ることへ」
6/15-7/4



日本橋高島屋美術画廊Xで開催中の北野謙個展、「深海 世界が在ることへ」へ行ってきました。

北野謙のプロフィールについては作家WEBサイトをご覧ください。

プロフィール@北野謙WEBサイト

最近では2006年に東京都近代美術館での「写真の現在3」展に出品があった他、本年の岡本太郎現代芸術賞の特別賞を受賞しました。

「写真表現における時間性と空間性を意識しながら、自己と他者との接点を模索する」(パンフレットより引用。一部改変。)という北野ですが、今回はその制作の全体像、つまりは初期の「溶游する都市」から近作の「one day」、そして「our face project」の3つのシリーズが紹介されています。


「溶游する都市 渋谷」(1991年)

そしてその「溶游する都市」から、作品における時間の概念が独特であることが感じられるかもしれません。ここで北野は都市の中の群衆、例えば人の絶えず行き交うターミナル駅の階段などを捉えていますが、その表現に要注目です。階段を進む人の群れはあたかも霞のようにして消えかかり、半ば水の渦であるかのごとくただひたすらに流れ出ていました。

仕掛けはシンプルです。ここで北野は約30秒ほどシャッターを開けっ放しで撮影しています。写真の中に封じ込められた時間と、結果として作品に切り出された一瞬が同居しているような感覚はとても不思議でした。


「one day 隅田川」(2007年)

その30秒が1日となったのが文字通り「one day」シリーズです。あくまでも被写体を固定しながら、その朝から夕方までの時間を同じく一枚の写真の中に収めています。富士に差し込む太陽の軌跡は神々しく、また一転して隅田川を捉えた作品では一日の光が水辺に溶け込んで何とも神秘的な景色を生み出していました。


「our face project ラマダン開けの礼拝に訪れたイスラム教徒38人を重ねた肖像(女)」(2009年)

一方、ポートレート風の「our face project」では、その時間とともに、被写体となった人物のドラマが収められています。顔の表情の向こうから開けてくるメッセージはとても重みがありました。

日本橋高島屋のアートブログにも展示詳細が紹介されています。あわせてご覧ください。

『北野 謙 -深海 世界が在ることへ-』開催中です(アッと@ART)

7月4日までの開催です。おすすめします。

「北野謙 - 深海 世界が在ることへ」 日本橋高島屋 美術画廊X
会期:6月15日(水)~7月4日(月)
休廊:会期中無休。
時間:10:00~20:00
住所:中央区日本橋2-4-1 日本橋高島屋6階
交通:東京メトロ銀座線・東西線日本橋駅B1出口直結。都営浅草線日本橋駅から徒歩5分。JR東京駅八重洲北口から徒歩5分。
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