「第8回 shiseido art egg 古橋まどか展」 資生堂ギャラリー

資生堂ギャラリー
「第8回 shiseido art egg 古橋まどか展」 
3/7-3/30



資生堂ギャラリーで開催中の「第8回 shiseido art egg 古橋まどか展」を見て来ました。

「日用品を美術品に見立て、美術が成立する場や枠組みを検証しています。」(ギャラリーサイトより)

それこそ昨今、作品の素材に身近な日用品が使われることは珍しくもありませんが、素材そのものを美術に見立てることに、今回ほどダイレクトに挑戦した作家もそう滅多にいないかもしれません。

1983年に長野で生まれた古橋まどかは、2013年にロイヤル・カレッジ・オブ・アート美術修士の課程を修了。帰国後、この資生堂にて日本では初めてとなる個展を開きました。



それにしてもメインのフロア、何やら鎮座するのは古びた家具に電気製品。それに絵筆などもあります。また園芸用の棚でしょうか。スチール製の階段のようなものもある。それらは何も散乱しているわけではありません。そっと寄り添い、また上に載って組み合わさり、さらには床面へと広がっていく。ともかくも相互に接して出来た何らかの一つのボリューム、言い換えればオブジェを形成しています。

何でもこれらはいずれも作家が祖母の家で見つけたものだそうです。電気ポットや小さな木製の椅子には祖母の思い出も詰まっているのでしょうか。しかし当然ながら見る側の我々にとっては伺い知ることも出来ません。



もう一つの小さなスペースも同様です。壁面にはカーテンが吊るされ、また同じように古びた日用品が置かれている。今度は壁に立て掛ける形式です。椅子の四角。そしてコードを巻く機器でしょうか。その円。さらには上に載る鉛筆。手前の床へは洗濯バサミ5~6個ほど置かれている。不思議とこちらはどことなく型としての面白さを感じます。とは言え、これもおそらく祖母の家のもの。やはり日用品に過ぎません。

作家はこうも述べています。

「陳列された品々が、清掃員のみなさまにとって、一掃に値するようであれば、それは、実に真っ当な批評ではありませんか。」

これを見て先月イタリアの美術館で起きたとある事件を思い出しました。

【EU発!Breaking News】美術館の清掃係、現代美術作品をゴミと間違え処分する。



今、一体自分は何を目の前にしているのか。そこに何らかの「美」を意識するのかもしれないし、そうでないのかもしれない。古橋はデュシャンの「レディ・メイド」や、いわゆる「用の美」でもある民藝運動も引込んでいます。率直なところ手強い展示ではありましたが、色々と考えさせるものはありました。

現代アートの祖マルセル・デュシャンを継ぐ、古橋まどかの精神(CINRA.NET)

なお本年度のアートエッグはこの古橋まどか展で終了です。また今回もいつものように会期後、3名の審査委員により「shiseido art egg賞」が選定。4月下旬にWEB上で発表されます。

私は最初の加納さんの展示が一番面白いと思いました。



【第8回 shiseido art egg 展示スケジュール】
加納俊輔展 1月10日(金)~2月2日(日)
今井俊介展 2月7日(金)~3月2日(日)
古橋まどか展 3月7日(金)~ 3月30日(日)

3月30日まで開催されています。

「第8回 shiseido art egg 古橋まどか展」 資生堂ギャラリー
会期:3月7日(金)~3月30日(日)
休館:毎週月曜日
時間:11:00~19:00(平日)、11:00~18:00(日・祝)
住所:中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A2出口から徒歩4分。東京メトロ銀座線新橋駅3番出口から徒歩4分。

*写真は全て「第8回 shiseido art egg 古橋まどか展」の会場風景。撮影が可能でした。
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