「横山奈美展」 アルマスギャラリー

アルマスギャラリー
「横山奈美ーそれは山であり川でもあった。 昨日は私自身であり、夫でもあった。」
3/15-4/26



アルマスギャラリーで開催中の横山奈美個展、「それは山であり川でもあった。 昨日は私自身であり、夫でもあった。」を見て来ました。

もやしを描き、もやしを彫る。

あくまでも私の経験の範疇ではありますが、あの食べ物としての「もやし」それ自体を、絵画上の主たるモチーフにしている画家は他にいないのではないでしょうか。


「渓谷」2014年 麻布に油彩

会場に並ぶのも油画によるもやし。厚塗り、いずれも強く塗りこめられた絵具の層にもやしがにょろりといる。まるで生き物のような姿。それでいてもやしの並ぶ様子はまるで記号や図像のようにも見える。何らか象徴なのでしょうか。また写真では分かりませんが、支持体の麻布の質感を活かした凹凸のある画肌も独特な味わいがあります。

実際にいくつかのもやしにおいては山や川などを半ば投影しているもいるそうです。タイトルがヒントになるかもしれません。また象形文字。そんな印象も受けました。


「木のドローイング1・2」2014年 木に油彩

さてもやしではもう一つ、木片を用いた作品に目が止まりました。こちらは何でも作家がホームセンターで買ってきたという木片にもやしを彫っている。縦に一本。すくっとのびる。切れ込みはさながらフォンタナ。横山自身もフォンタナの作品について言及しているそうです。

実は昨年、私も一度「jikka」(実家)で横山の個展を見たことがありました。その時にキャンバス、また麻布だったでしょうか。もやしが切れ込み状になって描かれている作品があったことを覚えています。

その際はてっきり地へ今回の彫刻同様、絵筆なりで彫るように描いているのかと思いましたが、それはもやしを描いた後に周囲の絵具を盛っていた。ようは彫ったのではなく、もやしを周囲から埋め込むようにして表していたのだそうです。気がつきませんでした。


「その一本の枝」2014年 麻布に油彩

さてもやしに次いでもう一本、ゆらゆらと画面にたゆたうものが。紐です。画面の中を大きく曲げて進む紐。ちなみに本作、何でも夜空の元で下から木の枝を見上げた時に広がる景色を投影しているとか。背景の黒を帯びた青、深い藍色とも言えるでしょうか。確かに夜の空の色にも見えます。


「山が三つ在る」2014年 麻布に油彩

殆ど偶然に「jikka」で見知って惹かれた横山の作品。さらなる変化もある。また一つまとまった形で楽しむことが出来ました。

なお作家の横山は現在、豊田市美術館で開催中の「手探りのリアリズム」(常設展)にも出展しています。



「手探りのリアリズム」@豊田市美術館 1月7日(火)~4月6日(日)

4月26日まで開催されています。

「横山奈美ーそれは山であり川でもあった。 昨日は私自身であり、夫でもあった。」 アルマスギャラリー
会期:3月15日(土)~4月26日(土)
休館:月、火曜日。*水、木、金曜日はカフェ併設。土、日曜は展示のみ。
時間:12:00~19:00
住所:江東区清澄2-4-7
交通:東京メトロ半蔵門線、都営地下鉄大江戸線清澄白河駅A3出口より徒歩5分。
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