「ブルーノ・タウトの工芸」 LIXILギャラリー

LIXILギャラリー
「ブルーノ・タウトの工芸ーニッポンに遺したデザイン展」 
3/6-5/24



LIXILギャラリーで開催中の「ブルーノ・タウトの工芸ーニッポンに遺したデザイン展」を見て来ました。

ドイツ表現主義の建築家として知られるブルーノ・タウト。彼は1933年から3年半あまり日本に滞在しました。今、その間の制作を紹介する展覧会がリクシルギャラリーで行われています。

さてタウトの日本における制作とは何か。建築ではない。むしろ専門外でもある工芸です。タウト自身も「建築家の休日」と称した来日の期間。主たる滞在先であった高崎の工芸所において工芸品の開発に取り組みました。

ジャンルも多彩。漆工に木工、そして竹工や染織まで。その数は数百点にも及びます。うち会場に展示されているのは90点ほど。デザイン画も含みます。

ではいくつか印象に深かった作品を挙げてみましょう。まずは家具です。赤と緑のシンプルなデザイン。タウトが滞在していた高崎の達磨寺のもの。面白いのは時に補修跡が見られることです。何でも制作時、強度を試すために肘などに圧力をかけたりしていたとか。そのために時に破損。直してまた使うこともありました。

先にも触れたようにタウトは日本で建築の仕事に恵まれませんでしたが、達磨寺の講堂を改修し、タウト学校として用いる計画もあったそうです。その図面も展示されていました。

竹工芸はどうでしょうか。竹はタウトが日本でこよなく愛したという素材。従来は雪下駄などに用いられることの多かった竹皮を、盛皿や籠に仕立てていく。制作にあたってはドイツの技術を取り込んでもいるそうです。

また竹を骨組みに利用した電気スタンドも人気を博す。ここでポイントになる人物がタウトの元で工芸の制作を担当していた水原徳言です。タウトが深く信頼していたという水原。その両者の関係を見る資料でしょうか。タウトがトルコから水原氏に当てた手紙なども展示。文章とともに添えられるのはボスポラス海峡に浮かぶ舟の絵。軽妙な筆致で表されています。

漆塗りの筆入れに惹かれました。中の部分が赤や茶に黄色などの縞模様になっている。シンプルながらも美しい。またペーパーナイフなども目を引きます。

ラストはタウト直筆のデザイン画です。約25点。当時流行していたというシガレットボックスを多く描いています。それにステッキ立てやぬいぐるみのデザインもある。皇室への献上作品も手がけたそうです。いずれも薄い彩色に細かな指示書。そもそもタウトは日本に「多彩な色」を見出し、工芸にも「色」を取り込もうした人物でもあります。

こうしたタウトデザインの工芸品を販売していたのが「ミラテス」です。1943年にはタウトを高崎に招き、その工芸運動にも深く関与していた群馬の資本家、井上房一郎とともに銀座店をオープン。数多くの工芸品を送りだします。

「タウトが撮ったニッポン/武蔵野美術大学出版局」

それらはいずれも高価だったため、必ずしも一般には普及しなかったそうですが、タウトデザインを世に知らしめる拠点ともなった。展示では「ミラテス」で使われた包装紙を紹介。アルファベットでミラテスを表す。くるくるととぐろを巻くようなデザイン。モダンです。

「ブルーノ・タウトの工芸/LIXIL BOOKLET」

タウトの日本における工芸制作に焦点を当てた企画。コンパクトな展示でしたが、なかなか見応えがありました。

入場は無料です。5月24日まで開催されています。

「ブルーノ・タウトの工芸ーニッポンに遺したデザイン展」 LIXILギャラリー
会期:3月6日(木)~5月24日(土)
休廊:水曜日。
時間:10:00~18:00
住所:中央区京橋3-6-18 LIXIL:GINZA2階
交通:東京メトロ銀座線京橋駅より徒歩1分、東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅7番出口より徒歩3分、都営浅草線宝町駅より徒歩3分、JR線有楽町駅より徒歩7分。
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