「塩保朋子 Cosmic Perspective」 SCAI THE BATHHOUSE

SCAI THE BATHHOUSE
「塩保朋子 Cosmic Perspective」 
1/16-2/21



SCAI THE BATHHOUSEで開催中の「塩保朋子 Cosmic Perspective」を見て来ました。

1981年に生まれ、近年では「MOTアニュアル2010」(東京都現代美術館)のほか、「コズミック・トラベラーズ」(エスパス・ルイ・ヴィトン東京)などにも出品している現代美術家、塩保朋子。

私が塩保の作品を初めて知り、そして惹かれたのも、ここ谷中のスカイザバスハウスのことでした。

「塩保朋子 - Cutting Insights」 SCAI(はろるど)

同ギャラリーでは2008年以来の個展かもしれません。出品は約8点。うち奥の1点は大作です。天井高のあるSCAIの空間を活かしたインスタレーションを展示しています。

いわゆる切り絵の手法を用いての作品です。暗室の壁面でとぐろを巻くかのように広がっています。ほぼ円を描きながらも、一つの方向へはさも鳳凰が羽根を靡かせるようにのびている。まるで生き物です。そして目を凝らせばもちろん精緻、しかしながら全体のイメージは力強くもあります。白く渦を巻く姿は雲のようにも見えました。



近づくと細かく切り刻まれたデティールが際立ちました。葉脈や細胞の増殖などをイメージしているそうですが、私はどこか気泡、あるいは水の泡を連想しました。一方で糸を繋ぎ合わせたような独特の風合いもある。後ろが透けてもいます。また密でありながら粗である部分もあり、パターンは必ずしも一定ではありません。それに引きの景色と近づいた時に開ける景色が別物です。表情は多様、立ち位置を変えると異なって見えました。

足元の床もポイントです。淡い木漏れ日の差し込んだような斑紋が広がっています。

一瞬、壁の作品の影を見せているのかと思いましたが、実際には天井から吊るされた映像でした。垂直(壁)と平面(床)を呼応させては一つの空間を作り上げる手法、インスタレーションとしても洗練されています。

それにしてもこの細かな彫刻、一体どれほどの手仕事を得て完成されるのでしょうか。想像もつきません。

「MOTアニュアル2010」の際に収録されたインタビューがyoutubeに残っていました。

MOTアニュアル2010:装飾 塩保朋子 インタビュー


作品の制作について本人が語っています。鑑賞の参考となりそうです。

2月21日まで開催されています。おすすめします。

「塩保朋子 Cosmic Perspective」 SCAI THE BATHHOUSE
会期:1月16日(金) ~2月21日(土)
休廊:日・月・祝。
時間:12:00~18:00
住所:台東区谷中6-1-23
交通:JR線・京成線日暮里駅南口より徒歩6分。東京メトロ千代田線根津駅より徒歩7分。
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