都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「クインテット2ー五つ星の作家たち」 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
「クインテット2ー五つ星の作家たち」
1/10-2/15
損保ジャパン日本興亜美術館で開催中の「クインテット2ー五つ星の作家たち」を見て来ました。
「将来有望な作家たちを紹介する」(公式サイトより)クインテット展。5名の作家の表現を響きあう様を5重奏、つまりはクインテットになぞらえます。いわゆる現代美術家の作品を会場内にて個展形式で展観しています。
[クインテット2展 出品作家]
富岡直子(1966年、神奈川県生まれ。)
平体文枝(1966年、石川県生まれ。)
岩尾恵都子(1968年、東京都生まれ。)
水村綾子(1969年、群馬県生まれ。)
山本晶(1969年、東京都生まれ。)
昨年に続いての第2弾企画です。出品は前回同様にいずれも女性、1960年代後半生まれの作家でした。
会場内、撮影が出来ました。(収蔵品コーナーは撮影不可。)
富岡直子「夜明け-daybreak」 2014年 アクリル・麻布・パネル ほか
さっと視界が開けてきます。「絵画に光=希望」(キャプションより)を見出して描くのは富岡直子です。確かに水平線から大空が立ち上がるかのような光景はどこか神々しくて美しいもの。彼方に望むのは雄大な山々でしょうか。水面に反射にして七色に灯る明かりも鮮やかです。上下反転するかのような光景です。空にはオーロラが靡いていました。
平体文枝「わたしひとりしかいない」 2014年 油彩・オイルスティック・キャンバス ほか
面と線との関係に面白さを感じました。平体文枝です。例えば上の画像左の「わたしひとりしかいない」はどうでしょうか。地は深い藍色や緑のグラデーションです。そこに紫がかった白のストロークが素早く交差していますが、その上からさらに黄色の線が縦へとのびています。そして線はさも書のように掠れてもいます。また良く見ると線は単純に縦方向ではなく、横にも筆触がのびていることも分かりました。
平体文枝「池のおもてをみつめていると」 2012年 油彩・オイルスティック・キャンバス
「池のおもてをみつめていると」も魅惑的な一枚です。地の薄い水色はそれこそ池の水面かもしれません。そこへ上から枝のような線が垂れています。もちろんこれは必ずしも枝ではないかもしれませんが、こうした抽象的な線が枝のような具体的なイメージと重なっているようにも見えます。
やや雰囲気が異なるのが岩尾恵都子です。闇を背景にして浮かびあがるのは大きな山。山肌は荒々しく、しかも色はオレンジやグリーンに染まっていて輝かしい。宝石の煌めきとも言えるでしょうか。ともかく眩い光が放たれています。
岩尾恵都子「ロボット」 2014年 油彩・キャンバス ほか
そして特徴的なのはいずれも山に長い睫毛をした目が描かれていることです。山に生命が宿っているようでもあります。
山本晶「cut」 2012年 油彩・キャンバス
透明感のある色彩も効果的です。山本晶です。薄い芝色や淡い紫が何層にも重なり、そこへ黄色や白が入り込んでいく。面は丸みを帯びつつも、時に鋭い角を描いて図形的にも表されています。矢印のモチーフもありました。また塗る際にマスキングテープを用いているのでしょうか。目を凝らすと所々、絵具が直線的に切れているようにも見えました。
水村綾子「phrase」 2014年 油彩・キャンバス
水村綾子の最近のテーマは「音」だそうです。絵具は大気の充満するかのようにキャンバスに満ちています。そして特徴的なのが随所に見られる斑点です。それがポツポツと連続して繋がっています。
何かキャンバスをコツコツと打つかのように続く斑点。これが「音」の痕跡なのでしょうか。また曲線を多用したモチーフは有機的でもあります。
平体文枝「二十五景」 2014年 シルクスクリーン・紙
前回展よりもさらに色味の繊細な作品が多いかもしれません。色は染み、滲み、広がり、また重なり合い、それがいつしか心象風景と化して、時には見る者の心を投影します。
「クインテット2」会場風景
お気に入りの色、風景を探しながら、会場を見て歩くのも楽しそうです。
2月15日まで開催されています。
[お知らせ]
「クインテット2」展のチケットが若干枚数手元にあります。先着順にてお一人様ペアで差し上げます。ご希望の方は件名に「クインテット2展チケット希望」、本文にフルネームでお名前とメールアドレスを明記の上、拙ブログアドレス harold1234アットマークgoo.jp までご連絡下さい。(アットマークの表記は@にお書き直し下さい。)なお迷惑メール対策のため、携帯電話のアドレスからはメールを受け付けておりません。ご了承下さい。
「クインテット2ー五つ星の作家たち」 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
会期:1月10日(土)~2月15日(日)
休館:月曜日。但し1/12は開館。翌13日も開館。
時間:10:00~18:00 毎週金曜日は20時まで。 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般500(400)円、大学・高校生300(200)円、中学生以下無料。
*( )は20名以上の団体料金。
住所:新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン日本興亜本社ビル42階
交通:JR線新宿駅西口、東京メトロ丸ノ内線新宿駅・西新宿駅、都営大江戸線新宿西口駅より徒歩5分。
「クインテット2ー五つ星の作家たち」
1/10-2/15
損保ジャパン日本興亜美術館で開催中の「クインテット2ー五つ星の作家たち」を見て来ました。
「将来有望な作家たちを紹介する」(公式サイトより)クインテット展。5名の作家の表現を響きあう様を5重奏、つまりはクインテットになぞらえます。いわゆる現代美術家の作品を会場内にて個展形式で展観しています。
[クインテット2展 出品作家]
富岡直子(1966年、神奈川県生まれ。)
平体文枝(1966年、石川県生まれ。)
岩尾恵都子(1968年、東京都生まれ。)
水村綾子(1969年、群馬県生まれ。)
山本晶(1969年、東京都生まれ。)
昨年に続いての第2弾企画です。出品は前回同様にいずれも女性、1960年代後半生まれの作家でした。
会場内、撮影が出来ました。(収蔵品コーナーは撮影不可。)
富岡直子「夜明け-daybreak」 2014年 アクリル・麻布・パネル ほか
さっと視界が開けてきます。「絵画に光=希望」(キャプションより)を見出して描くのは富岡直子です。確かに水平線から大空が立ち上がるかのような光景はどこか神々しくて美しいもの。彼方に望むのは雄大な山々でしょうか。水面に反射にして七色に灯る明かりも鮮やかです。上下反転するかのような光景です。空にはオーロラが靡いていました。
平体文枝「わたしひとりしかいない」 2014年 油彩・オイルスティック・キャンバス ほか
面と線との関係に面白さを感じました。平体文枝です。例えば上の画像左の「わたしひとりしかいない」はどうでしょうか。地は深い藍色や緑のグラデーションです。そこに紫がかった白のストロークが素早く交差していますが、その上からさらに黄色の線が縦へとのびています。そして線はさも書のように掠れてもいます。また良く見ると線は単純に縦方向ではなく、横にも筆触がのびていることも分かりました。
平体文枝「池のおもてをみつめていると」 2012年 油彩・オイルスティック・キャンバス
「池のおもてをみつめていると」も魅惑的な一枚です。地の薄い水色はそれこそ池の水面かもしれません。そこへ上から枝のような線が垂れています。もちろんこれは必ずしも枝ではないかもしれませんが、こうした抽象的な線が枝のような具体的なイメージと重なっているようにも見えます。
やや雰囲気が異なるのが岩尾恵都子です。闇を背景にして浮かびあがるのは大きな山。山肌は荒々しく、しかも色はオレンジやグリーンに染まっていて輝かしい。宝石の煌めきとも言えるでしょうか。ともかく眩い光が放たれています。
岩尾恵都子「ロボット」 2014年 油彩・キャンバス ほか
そして特徴的なのはいずれも山に長い睫毛をした目が描かれていることです。山に生命が宿っているようでもあります。
山本晶「cut」 2012年 油彩・キャンバス
透明感のある色彩も効果的です。山本晶です。薄い芝色や淡い紫が何層にも重なり、そこへ黄色や白が入り込んでいく。面は丸みを帯びつつも、時に鋭い角を描いて図形的にも表されています。矢印のモチーフもありました。また塗る際にマスキングテープを用いているのでしょうか。目を凝らすと所々、絵具が直線的に切れているようにも見えました。
水村綾子「phrase」 2014年 油彩・キャンバス
水村綾子の最近のテーマは「音」だそうです。絵具は大気の充満するかのようにキャンバスに満ちています。そして特徴的なのが随所に見られる斑点です。それがポツポツと連続して繋がっています。
何かキャンバスをコツコツと打つかのように続く斑点。これが「音」の痕跡なのでしょうか。また曲線を多用したモチーフは有機的でもあります。
平体文枝「二十五景」 2014年 シルクスクリーン・紙
前回展よりもさらに色味の繊細な作品が多いかもしれません。色は染み、滲み、広がり、また重なり合い、それがいつしか心象風景と化して、時には見る者の心を投影します。
「クインテット2」会場風景
お気に入りの色、風景を探しながら、会場を見て歩くのも楽しそうです。
2月15日まで開催されています。
[お知らせ]
「クインテット2」展のチケットが若干枚数手元にあります。先着順にてお一人様ペアで差し上げます。ご希望の方は件名に「クインテット2展チケット希望」、本文にフルネームでお名前とメールアドレスを明記の上、拙ブログアドレス harold1234アットマークgoo.jp までご連絡下さい。(アットマークの表記は@にお書き直し下さい。)なお迷惑メール対策のため、携帯電話のアドレスからはメールを受け付けておりません。ご了承下さい。
「クインテット2ー五つ星の作家たち」 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
会期:1月10日(土)~2月15日(日)
休館:月曜日。但し1/12は開館。翌13日も開館。
時間:10:00~18:00 毎週金曜日は20時まで。 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般500(400)円、大学・高校生300(200)円、中学生以下無料。
*( )は20名以上の団体料金。
住所:新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン日本興亜本社ビル42階
交通:JR線新宿駅西口、東京メトロ丸ノ内線新宿駅・西新宿駅、都営大江戸線新宿西口駅より徒歩5分。
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