「18th DOMANI・明日展」 国立新美術館

国立新美術館
「未来を担う美術家たち 18th DOMANI・明日展」
2015/12/12~2016/1/24



国立新美術館で開催中の「未来を担う美術家たち 18th DOMANI・明日展」を見てきました。

年末年始恒例、文化庁の芸術家海外研修制度の成果発表の場であるドマーニ展。今年の出展作家は12名です。うちゲスト作家として風間サチコを迎えています。


富岡直子 展示風景

冒頭から七色の光に包まれました。富岡直子です。絵画に光、ないし希望を求めて描いているという画家、近作においては朝をテーマとしているそうです。朝焼け、つまりは光が強度を増していく瞬間を捉えているのでしょうか。瑞々しく、また美しい。作品は一見、抽象的でもありますが、さも湖を遠くから眺めたような景色にも見えてきます。水面に反射しながら光は上下に共鳴しています。穏やかに空間を照らしていました。


木島孝文「A.R. #496 Citrus Paraiso」 2013-15年

天井高のある展示室を活かしています。木島孝文の「A.R. #496 Citrus Paraiso」です。高さは何と8メートル弱。床から天井にまで達しています。素材は胡粉や墨といった日本画の顔料から、漆喰、タイル、セメント、麻布と多様。絵画というよりもミクストメディアと呼んでも良いのかもしれません。

巨大な鳥、ないし神獣のようなモチーフが広がります。上下に対峙しているようにも見えました。近寄ると複雑な画肌が現れます。迫力は十分でした。


線幸子 展示風景

綿に向き合うのが線幸子です。植物の種子である青梅綿を紡いでは広がる平面。もちろん触れることは叶いませんが、柔らかな質感は視覚を通しても伝わってきます。有機的としたら語弊があるでしょうか。何らか生き物、あるいは植物を表しているかのようでした。


ALIMO 展示風景

一転しての映像アニメーションを出品したのがALIMOです。山口に生まれ、現在は広島で活動しているという作家、ともかく印象的なのは赤と白と青をストライプ状に映した「notice Bhim」でした。否応無しに理髪店の看板ことサインポールのイメージが浮かび上がってきます。


西ノ宮佳代 展示風景

石やガラスに陶器などをモザイク状に重ねるのが西ノ宮佳代です。大きな鏡を取り入れた「境界」はさながら鳥居。しめ縄のようなオブジェも吊り下がっています。


西ノ宮佳代 展示風景

それに猫のモチーフが多いのも特徴的でした。猫好きの方にも楽しめる展示と言えるかもしれません。


野田睦美 展示風景

髪飾り、あるいは簪のイメージを思い浮かべました。野田睦美です。フランスの美術織物に学んだという作家、大型の織物作品を展示しています。和紙やネットを用いた独特の質感も印象に残りました。


松岡圭介「a tree man」 2011年

チラシ表紙を飾るのが松岡圭介です。タイトルは「a tree man」。ちょうど人が屈んでは今にも飛ぶかのような格好をしています。ただし手足は2本のみ。いわゆる人間ではありません。それにしてもまさか木彫だとは思いませんでした。この質感は目で見ないとわかりません。

佐伯洋江と招待作家の風間サチコも見応え十分でした。いずれも撮影が出来ませんが、旧作から近作までを網羅し、作家の今の表現を知るのに過不足がありません。なお佐伯洋江に関しては1月6日以降、撮影が可能になりました。余白を活かした線の細やかな軌跡。淡い色彩が混じり、花鳥風月ともとれる華やかな世界に改めて魅せられました。


栗林隆 展示風景

幅広いジャンルの現代美術を扱うドマーニ展です。ほか栗林隆は映像を出品。田村友一郎は観客参加型のインスタレーションを展開しています。また美術の保存修復活動に関するレポートもありました。


田村友一郎 展示風景

2016年1月24日まで開催されています。

「未来を担う美術家たち 18th DOMANI・明日展」@DOMANI_ten) 国立新美術館@NACT_PR
会期:2015年12月12日(土)~2016年1月24日(日)
休館:火曜日。年末年始(12/24~1/6)。
時間:10:00~18:00
 *毎週金曜日は夜20時まで開館。
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1000(800)円、大学生500(300)円、高校生以下無料。
 * ( )内は20名以上の団体料金。
住所:港区六本木7-22-2
交通:東京メトロ千代田線乃木坂駅出口6より直結。都営大江戸線六本木駅7出口から徒歩4分。東京メトロ日比谷線六本木駅4a出口から徒歩5分。
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