都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「佐藤万絵子展 机の下でラブレター」 アサヒ・アートスクエア
アサヒ・アートスクエア
「佐藤万絵子展 机の下でラブレター(ポストを焦がれて)」
1/9~1/30

アサヒ・アートスクエアで開催中の「佐藤万絵子展 机の下でラブレター(ポストを焦がれて)」を見てきました。
1975年に秋田県で生まれた美術家、佐藤万絵子。2004年にはVOCAに出品したほか、近年の「所沢ビエンナーレ 引込線」に参加するなど、「関東を中心に精力的に作品」(公式サイトより)を発表し続けてきました。
それにしても今回の「画業を総覧」(チラシより)するという個展。端的に絵画が並んでいるのかと思いきや、驚くべき光景が目に飛び込んできました。

入口は確かに「机の下」でした。足元に散らばるのは無数のロール紙です。そこには殴り書きのような赤や黒の線が走っています。紙は時にビリビリに破れ、また線も乱れに乱れています。塗りつぶしたり、余白を残したりと一定ではありません。まさに自在。そして激しい。絵画という枠を超えています。

奥へと進んでみました。するとご覧の通りです。やはり同じくロール紙が散乱し、木材が縦や横に点在しています。そして段ボールです。何枚も重なっているものや、そのまま箱になって転がっているものもあります。今度は青、緑といった色彩が目につきました。ぐしゃぐしゃになった紙や折れ曲がった木材。銀紙や針金のようなものも見えます。奥には半円の窓を模した建築物がありました。ただならぬ気配が漂ってもいます。

まず一目見て頭に浮かんだのが瓦礫でした。地震で倒壊した家屋、ないし、強大なエネルギーを持った何かに蹂躙された痕跡。破壊的、ないしカオスとも言えるかもしれません。紙や色はまるで爆発したように散乱しては、空間の全てを埋め尽くしています。
AAS OpenSquareProject MAEKO SATO
それにしても一体どのように制作されたのでしょうか。そのヒントは公開制作の動画にありました。そこで佐藤はコントラバスの刻むリズムに乗りながら、紙を広げ、ないし束ね、腕を振って色をつけては、また激しく乱していきます。服も手も絵具まみれ。顔にもこびりついています。紙に身を委ね、ないし格闘し、色を無心につけて、いや絵具を擦り付けていく作家。もはや何かに取り憑かれたと呼んでも良いかもしれません。鬼気迫る光景が映し出されています。

佐藤は旧作と新作を織り交ぜて展示を構成。会期初めに場内に滞在しては制作を続けました。
無数の描線は、決まったかたちや意味を持たない「言葉」とも言えます。言葉の連なりはやがて手紙となり、「机の下」という親密な空間の力を借りて「ラブレター」へと変容していきます。*公式サイトより

増殖する描線と紙。確かに留まることを知りません。佐藤はかつて一度、絵が描けなくなってしまったことがあったそうです。そこからの展開。今度は何か意を決したように絵画と全身で対峙してもいます。思わず息をのんで見入ってしまいました。
なお会期は2期制です。1期は制作プロセスを公開していました。そして現在は第2期。いわゆる完成作が展示されています。
私は2期の初日に出かけましたが、係りの方に伺うと、まだ一部手直しなどがなされているそうです。チケットは500円のパスポート制です。1期、2期の如何に関わらず何度でも入場出来ます。
会場のアサヒ・アートスクエアは「老朽化」(公式サイトより)のため、本年3月末で閉館します。
「アサヒ・アートスクエア閉館のご連絡」@アサヒ・アートスクエア

全てを呑みこもうとばかりに広がるペインティング、ドローイングの数々。天井高もあるスペースだからこそ可能なインスタレーションと言えるかもしれません。そろそろ見納めともなるアサヒ・アートスクエア。やはりどこか名残惜しくも感じられました。
1月30日まで開催されています。
「佐藤万絵子展 机の下でラブレター(ポストを焦がれて)」 アサヒ・アートスクエア(@AsahiArtSquare)
会期:1月9日(土)~1月30日(土)
第1期:1月9日(土)~1月22日(金)
第2期:1月23日(土)~1月30日(土)
休館:1月13日(水)~1月15日(金)
時間:18:00~21:00(1/9~22)、11:00~21:00(1/23~24、1/29~1/30)、11:00~21:00(1/29~30)。
料金:500円。(パスポート制。会期中再入場可。)
住所:墨田区吾妻橋1-23-1 スーパードライホール4階
交通:東京メトロ銀座線浅草駅4、5番出口より徒歩5分。都営浅草線本所吾妻橋駅A3出口より徒歩6分。東武線浅草駅より徒歩6分。
「佐藤万絵子展 机の下でラブレター(ポストを焦がれて)」
1/9~1/30

アサヒ・アートスクエアで開催中の「佐藤万絵子展 机の下でラブレター(ポストを焦がれて)」を見てきました。
1975年に秋田県で生まれた美術家、佐藤万絵子。2004年にはVOCAに出品したほか、近年の「所沢ビエンナーレ 引込線」に参加するなど、「関東を中心に精力的に作品」(公式サイトより)を発表し続けてきました。
それにしても今回の「画業を総覧」(チラシより)するという個展。端的に絵画が並んでいるのかと思いきや、驚くべき光景が目に飛び込んできました。

入口は確かに「机の下」でした。足元に散らばるのは無数のロール紙です。そこには殴り書きのような赤や黒の線が走っています。紙は時にビリビリに破れ、また線も乱れに乱れています。塗りつぶしたり、余白を残したりと一定ではありません。まさに自在。そして激しい。絵画という枠を超えています。

奥へと進んでみました。するとご覧の通りです。やはり同じくロール紙が散乱し、木材が縦や横に点在しています。そして段ボールです。何枚も重なっているものや、そのまま箱になって転がっているものもあります。今度は青、緑といった色彩が目につきました。ぐしゃぐしゃになった紙や折れ曲がった木材。銀紙や針金のようなものも見えます。奥には半円の窓を模した建築物がありました。ただならぬ気配が漂ってもいます。

まず一目見て頭に浮かんだのが瓦礫でした。地震で倒壊した家屋、ないし、強大なエネルギーを持った何かに蹂躙された痕跡。破壊的、ないしカオスとも言えるかもしれません。紙や色はまるで爆発したように散乱しては、空間の全てを埋め尽くしています。
AAS OpenSquareProject MAEKO SATO
それにしても一体どのように制作されたのでしょうか。そのヒントは公開制作の動画にありました。そこで佐藤はコントラバスの刻むリズムに乗りながら、紙を広げ、ないし束ね、腕を振って色をつけては、また激しく乱していきます。服も手も絵具まみれ。顔にもこびりついています。紙に身を委ね、ないし格闘し、色を無心につけて、いや絵具を擦り付けていく作家。もはや何かに取り憑かれたと呼んでも良いかもしれません。鬼気迫る光景が映し出されています。

佐藤は旧作と新作を織り交ぜて展示を構成。会期初めに場内に滞在しては制作を続けました。
無数の描線は、決まったかたちや意味を持たない「言葉」とも言えます。言葉の連なりはやがて手紙となり、「机の下」という親密な空間の力を借りて「ラブレター」へと変容していきます。*公式サイトより

増殖する描線と紙。確かに留まることを知りません。佐藤はかつて一度、絵が描けなくなってしまったことがあったそうです。そこからの展開。今度は何か意を決したように絵画と全身で対峙してもいます。思わず息をのんで見入ってしまいました。
なお会期は2期制です。1期は制作プロセスを公開していました。そして現在は第2期。いわゆる完成作が展示されています。
私は2期の初日に出かけましたが、係りの方に伺うと、まだ一部手直しなどがなされているそうです。チケットは500円のパスポート制です。1期、2期の如何に関わらず何度でも入場出来ます。
会場のアサヒ・アートスクエアは「老朽化」(公式サイトより)のため、本年3月末で閉館します。
「アサヒ・アートスクエア閉館のご連絡」@アサヒ・アートスクエア

全てを呑みこもうとばかりに広がるペインティング、ドローイングの数々。天井高もあるスペースだからこそ可能なインスタレーションと言えるかもしれません。そろそろ見納めともなるアサヒ・アートスクエア。やはりどこか名残惜しくも感じられました。
1月30日まで開催されています。
「佐藤万絵子展 机の下でラブレター(ポストを焦がれて)」 アサヒ・アートスクエア(@AsahiArtSquare)
会期:1月9日(土)~1月30日(土)
第1期:1月9日(土)~1月22日(金)
第2期:1月23日(土)~1月30日(土)
休館:1月13日(水)~1月15日(金)
時間:18:00~21:00(1/9~22)、11:00~21:00(1/23~24、1/29~1/30)、11:00~21:00(1/29~30)。
料金:500円。(パスポート制。会期中再入場可。)
住所:墨田区吾妻橋1-23-1 スーパードライホール4階
交通:東京メトロ銀座線浅草駅4、5番出口より徒歩5分。都営浅草線本所吾妻橋駅A3出口より徒歩6分。東武線浅草駅より徒歩6分。
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