都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「ワイン展」 国立科学博物館
国立科学博物館
「ワイン展ーぶどうから生まれた奇跡」
2015/10/31~2016/2/21
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/ee/6780c79090e448f7e97c5ec04eb50699.jpg)
世界的にも極めて古い歴史を持つお酒ことワイン。しかしながらワインにまつわる文化や詳細な製造方法は意外と知られていないかもしれません。
会場は3部構成です。最初にワインの製造工程を踏まえた上で、その歴史を俯瞰、最後に「ワインを楽しむ」として味覚のほか、酒器やアートラベル、また世界最古のシャンパーニュなどを紹介しています。
「ワインの歴史コーナー」以外の撮影が出来ました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/e1/759aa4e5ac3ec9701316e0905c69787c.jpg)
プロローグは「ワインの世界へようこそ」。ごく簡単なワインのおさらいです。スティルワインにスパークリング。そしてスティルから赤に白にロゼワイン。私は断然に赤派ですが、ワインには幾つかの種類があることが分かります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/c3/568709fb0357d2e49d1650d8c8d60559.jpg)
ついではワインの製造プロセスです。ぶどう畑から収穫、粉砕、醸造、さらに瓶詰めまで。いかにしてワインが仕上がる出来上がるのかを学ぶことが出来ます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/90/de55fee19d51e79156614b88d297ebeb.jpg)
場内はワイナリー風。必ずしも凝ったセットではありませんが、なかなか臨場感のある展示です。一部にハンズオンのコーナーもありました。例えば収穫体験です。日本ではほとんどのぶどうの収穫を手作業で行っているそうですが、その際に「選果」、すなわち病気や腐っている粒などを取り除く作業をしています。それをタッチパネルで体験出来るわけです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/ca/ebd993ebde9851439369fe7c85a08401.jpg)
ぶどう踏み体験も面白い。今でこそ電動の破砕機が用いられますが、かつては人の足でぶどうを潰していました。もちろんぶどうはレプリカ。本物ではありません。それでも弾力などが足にダイレクトに伝わってくる体験はなかなか新鮮です。思わず何度もぶどうを踏んでしまいます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/7a/ff25f3e7b227cfddea9e97f22fed1adc.jpg)
発酵中の液は成分が均一になるよう、かき混ぜたりしなくてはなりません。ピジャージュと呼ばれる工程です。棒を持ってぐいと押し込みましょう。思いの外に力がいります。しかしながらしばらく押し込むとすっと奥にまで突き刺さりました。これは上部にぶどうの皮の層が溜まっているからです。一方、下はほぼ液体です。だから違和感なく棒が落ちていきます。この工程を擬似的に楽しむことが出来ました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/c0/f59e1796f3f53ce6edc5dc3020cf4d7a.jpg)
さらにプロセスは圧搾、熟成、出荷と続きます。最後は瓶詰めです。ワインボトルにも様々な形状があります。よく見かけるのはボルドー型です。これはグラスに注ぐ際、瓶の肩の部分で澱が止まるため、熟成に際し、澱の生じやすいワインに多く用いるそうです。知りませんでした。
ワイナリーを散歩した後は本格的な学習コーナー。ワインの歴史です。実はここが最も充実しています。撮影は叶いませんが、貴重な資料も少なくありません。また世界のみならず、明治以降の日本のワイン史についても言及があります。その中でも興味深かったのは、第二次世界大戦中、ワインの生産が軍事目的に奨励された経緯があることです。というのも製造の副次品から生成される結晶が兵器に利用されたからでした。ワインと戦争の関係。意外な接点とも言えるのではないでしょうか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/7f/1369c416939738717877e85783a7d457.jpg)
ラストはワインを楽しむためのコーナーです。香りや味覚の分析ほか、グラスにラベルなど、ワインにまつわる様々な展示が続きます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/61/c1e680466608b7ae9efded9dbc44b306.jpg)
基本はワインラベル、つまりエチケットの読み方です。図はEU法に基づくもの。さらにご丁寧にもワインの選び方や飲む時の温度の指南まであります。ワインはデリケートなお酒です。なかなか料理に合わせるのが難しい場合もありますが、ここは色々と参考になりそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/e8/620243d52022aa4ceee3f584f1e3ab93.jpg)
展示の一つの目玉と言えるのではないでしょうか。世界最古級のシャンパーニュです。2010年にフィンランドのバルト海沖に沈む船から見つかりました。時は今から170年も前、1840年頃に生産されたものと推定されています。日本初公開でもあります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/8b/7a22e3d035248e2652a8e88b498cfdc5.jpg)
ビンデージワインもずらり。古いものでは1903年のシャトー・ラフィット・ロートシルト。また1929年のロマネ・コンティもありました。ラベルを見ているだけでも楽しい。いずれも国内のコレクターから借りたものだそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/89/1eabd08575cc85c8287e2c0c6345ea00.jpg)
そのシャトー・ラフィット・ロートシルトで1924年から続いているのがオリジナルラベルです。中でも1945年からは毎年、画家にデザインを依頼。いわゆるアートラベルとして知られています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/09/53f47e4cd961361fe8adab73bc1717da.jpg)
ラインナップが豪華です。ピカソにデルヴォー、そしてベーコン。昨年の回顧展の記憶も新しいニキ・ド・サンファルのラベルもあります。いずれも魅惑的です。お気に入りのラベルを見つけるのにもさほど時間はかかりません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/33/04285dec98957bed16e289a028c472b5.jpg)
ショップはエノテカでした。さすがに世界のワインが揃います。お値段はそこそこ。かごを手にとっては何本も買い求めている方も見受けられました。配送も可能です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/23/7d8a8766b23b4ee916a621c3a38e14a4.jpg)
どちらかと言えば展示物よりもパネルや映像が多く、見るよりも読ませるような内容でした。ただそれでも意外と馴染みのないワインの製造、また歴史に文化などを体感的に知ることの出来る機会ではあります。飲む一辺倒だった私のワインに対する意識も多少なりとも変わったかもしれません
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/a4/bc0f7fe6801fe4248a2ff2f73c1f368d.jpg)
展示を見ている際にはさほど感じませんでしたが、不思議と感想を書いているうちに、無性にワインが飲みたくなってきました。次回の晩酌は久々にワインを楽しみたいと思います。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/5c/55b0ea7fe96c02e456bf75dc08c34e87.jpg)
2月21日まで開催されています。
「ワイン展ーぶどうから生まれた奇跡」 国立科学博物館
会期:2015年10月31日(土)~2016年2月21日(日)
休館:毎週月曜日。月曜日が祝日の場合は火曜日。年末年始(12月28日~1月1日)。ただし11月2日(月)と1月4日(月)は開館。
時間:9:00~17:00。
*毎週金曜日は20時まで。
*特別開館延長:10月31日(土)~11月2日(月)は20時まで開館。
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般・大学生1500(1300)円、小・中・高校生500(400)円。
*( )内は20名以上の団体料金。金曜限定ペア得ナイト券2000円。(2名同時入場。17時以降。)
住所:台東区上野公園7-20
交通:JR線上野駅公園口徒歩5分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成線京成上野駅徒歩10分。
「ワイン展ーぶどうから生まれた奇跡」
2015/10/31~2016/2/21
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/ee/6780c79090e448f7e97c5ec04eb50699.jpg)
世界的にも極めて古い歴史を持つお酒ことワイン。しかしながらワインにまつわる文化や詳細な製造方法は意外と知られていないかもしれません。
会場は3部構成です。最初にワインの製造工程を踏まえた上で、その歴史を俯瞰、最後に「ワインを楽しむ」として味覚のほか、酒器やアートラベル、また世界最古のシャンパーニュなどを紹介しています。
「ワインの歴史コーナー」以外の撮影が出来ました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/e1/759aa4e5ac3ec9701316e0905c69787c.jpg)
プロローグは「ワインの世界へようこそ」。ごく簡単なワインのおさらいです。スティルワインにスパークリング。そしてスティルから赤に白にロゼワイン。私は断然に赤派ですが、ワインには幾つかの種類があることが分かります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/c3/568709fb0357d2e49d1650d8c8d60559.jpg)
ついではワインの製造プロセスです。ぶどう畑から収穫、粉砕、醸造、さらに瓶詰めまで。いかにしてワインが仕上がる出来上がるのかを学ぶことが出来ます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/90/de55fee19d51e79156614b88d297ebeb.jpg)
場内はワイナリー風。必ずしも凝ったセットではありませんが、なかなか臨場感のある展示です。一部にハンズオンのコーナーもありました。例えば収穫体験です。日本ではほとんどのぶどうの収穫を手作業で行っているそうですが、その際に「選果」、すなわち病気や腐っている粒などを取り除く作業をしています。それをタッチパネルで体験出来るわけです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/ca/ebd993ebde9851439369fe7c85a08401.jpg)
ぶどう踏み体験も面白い。今でこそ電動の破砕機が用いられますが、かつては人の足でぶどうを潰していました。もちろんぶどうはレプリカ。本物ではありません。それでも弾力などが足にダイレクトに伝わってくる体験はなかなか新鮮です。思わず何度もぶどうを踏んでしまいます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/7a/ff25f3e7b227cfddea9e97f22fed1adc.jpg)
発酵中の液は成分が均一になるよう、かき混ぜたりしなくてはなりません。ピジャージュと呼ばれる工程です。棒を持ってぐいと押し込みましょう。思いの外に力がいります。しかしながらしばらく押し込むとすっと奥にまで突き刺さりました。これは上部にぶどうの皮の層が溜まっているからです。一方、下はほぼ液体です。だから違和感なく棒が落ちていきます。この工程を擬似的に楽しむことが出来ました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/c0/f59e1796f3f53ce6edc5dc3020cf4d7a.jpg)
さらにプロセスは圧搾、熟成、出荷と続きます。最後は瓶詰めです。ワインボトルにも様々な形状があります。よく見かけるのはボルドー型です。これはグラスに注ぐ際、瓶の肩の部分で澱が止まるため、熟成に際し、澱の生じやすいワインに多く用いるそうです。知りませんでした。
ワイナリーを散歩した後は本格的な学習コーナー。ワインの歴史です。実はここが最も充実しています。撮影は叶いませんが、貴重な資料も少なくありません。また世界のみならず、明治以降の日本のワイン史についても言及があります。その中でも興味深かったのは、第二次世界大戦中、ワインの生産が軍事目的に奨励された経緯があることです。というのも製造の副次品から生成される結晶が兵器に利用されたからでした。ワインと戦争の関係。意外な接点とも言えるのではないでしょうか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/7f/1369c416939738717877e85783a7d457.jpg)
ラストはワインを楽しむためのコーナーです。香りや味覚の分析ほか、グラスにラベルなど、ワインにまつわる様々な展示が続きます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/61/c1e680466608b7ae9efded9dbc44b306.jpg)
基本はワインラベル、つまりエチケットの読み方です。図はEU法に基づくもの。さらにご丁寧にもワインの選び方や飲む時の温度の指南まであります。ワインはデリケートなお酒です。なかなか料理に合わせるのが難しい場合もありますが、ここは色々と参考になりそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/e8/620243d52022aa4ceee3f584f1e3ab93.jpg)
展示の一つの目玉と言えるのではないでしょうか。世界最古級のシャンパーニュです。2010年にフィンランドのバルト海沖に沈む船から見つかりました。時は今から170年も前、1840年頃に生産されたものと推定されています。日本初公開でもあります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/8b/7a22e3d035248e2652a8e88b498cfdc5.jpg)
ビンデージワインもずらり。古いものでは1903年のシャトー・ラフィット・ロートシルト。また1929年のロマネ・コンティもありました。ラベルを見ているだけでも楽しい。いずれも国内のコレクターから借りたものだそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/89/1eabd08575cc85c8287e2c0c6345ea00.jpg)
そのシャトー・ラフィット・ロートシルトで1924年から続いているのがオリジナルラベルです。中でも1945年からは毎年、画家にデザインを依頼。いわゆるアートラベルとして知られています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/09/53f47e4cd961361fe8adab73bc1717da.jpg)
ラインナップが豪華です。ピカソにデルヴォー、そしてベーコン。昨年の回顧展の記憶も新しいニキ・ド・サンファルのラベルもあります。いずれも魅惑的です。お気に入りのラベルを見つけるのにもさほど時間はかかりません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/33/04285dec98957bed16e289a028c472b5.jpg)
ショップはエノテカでした。さすがに世界のワインが揃います。お値段はそこそこ。かごを手にとっては何本も買い求めている方も見受けられました。配送も可能です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/23/7d8a8766b23b4ee916a621c3a38e14a4.jpg)
どちらかと言えば展示物よりもパネルや映像が多く、見るよりも読ませるような内容でした。ただそれでも意外と馴染みのないワインの製造、また歴史に文化などを体感的に知ることの出来る機会ではあります。飲む一辺倒だった私のワインに対する意識も多少なりとも変わったかもしれません
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/a4/bc0f7fe6801fe4248a2ff2f73c1f368d.jpg)
展示を見ている際にはさほど感じませんでしたが、不思議と感想を書いているうちに、無性にワインが飲みたくなってきました。次回の晩酌は久々にワインを楽しみたいと思います。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/5c/55b0ea7fe96c02e456bf75dc08c34e87.jpg)
2月21日まで開催されています。
「ワイン展ーぶどうから生まれた奇跡」 国立科学博物館
会期:2015年10月31日(土)~2016年2月21日(日)
休館:毎週月曜日。月曜日が祝日の場合は火曜日。年末年始(12月28日~1月1日)。ただし11月2日(月)と1月4日(月)は開館。
時間:9:00~17:00。
*毎週金曜日は20時まで。
*特別開館延長:10月31日(土)~11月2日(月)は20時まで開館。
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般・大学生1500(1300)円、小・中・高校生500(400)円。
*( )内は20名以上の団体料金。金曜限定ペア得ナイト券2000円。(2名同時入場。17時以降。)
住所:台東区上野公園7-20
交通:JR線上野駅公園口徒歩5分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成線京成上野駅徒歩10分。
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