都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「ホイッスラー展」 横浜美術館
横浜美術館
「ホイッスラー展」
2014/12/6-2015/3/1
横浜美術館で開催中の「ホイッスラー展」を見て来ました。
アメリカに生まれ、ロシアで幼少期を過ごした後、フランスやイギリスで活動した画家、ジェームズ・マクニール・ホイッスラー(1834-1903)。西欧では唯美主義やジャポニスムの画家として評価されているそうですが、日本では必ずしも知名度の高い画家とは言えません。
ただホイッスラーの絵画に接する機会がなかったわけではありません。例えば昨年のオルセー展です。「灰色と黒のアレンジメント第1番」が出ていました。黒いドレスを纏って横向けに座る母の姿、壁のグレーの効果もあってか物静かな印象を受ける作品でした。
また一号館美術館での「ザ・ビューティフル」や世田谷美術館の「ジャポニスム展」にも出品がありました。版画や幻想的な「ノクターン」のシリーズです。いずれも昨年の開催でした。
では何故にあまり知られていないのでしょうか。端的にまとめて見ることがなかったからかもしれません。何と日本では27年ぶりの回顧展です。初期から晩年までの作品、全130点超にてホイッスラーの画業を総覧します。
さて今回の回顧展、観覧にあたって注意すべきポイントがあります。それは時系列での展開ではないということです。つまりテーマ別です。作品は「人物画」、「風景画」、「ジャポニスム」の括りの元に展示されています。
冒頭は人物画です。先の「灰色と黒のアレンジメント第1番」と同様、横向きの全身肖像画がありました。「トーマス・カーライルの肖像」、アレンジメントの第2番とも題された作品です。
「灰色と黒のアレンジメント No.2:トーマス・カーライルの肖像」 1872-73年 グラスゴー美術館
© CSG CIC Glasgow Museums Collection
モデルは当時の代表的な批評家のトーマス・カーライル。ホイッスラー邸にて第1番を見ては感銘し、モデルになることを快諾しました。椅子に深く腰掛け、少し斜めを向いてはやや気怠そうな表情をしています。重厚です。構図としては安定感もあります。
「ライム・リジスの小さなバラ」 1895年 ボストン美術館
Museum of Fine Arts, Boston, Warren Collection-William Wilkins Warren Fund, 96.950.
Photograph ©2014 MFA, Boston
「ライム・リジスの小さなバラ」はどうでしょうか。ライム・リジスの市長の娘を描いた一枚、口をやや引き締めてはこちらを向いています。大きな瞳は愛くるしいもの。実に甘美ですが、ラファエル前派の物語的な画風とはやや異なっています。モデルはあくまでも実直に捉えられていました。
なおホイッスラーは当初、クールベらのレアリスムに傾倒し、後にイギリスでラファエル前派の運動に関わったそうです。そしてスペインのベラスケスの影響も受けています。さらには古代ギリシャと日本の要素をあわせもった「グレコ=ジャパニーズ」と呼ばれる作品も描きました。
ようはかなり多彩な画家なのです。作品も年代によって思いがけないほど変化しています。唯美主義、ジャポニスムという言葉でも語られがちなホイッスラーですが、もう一歩踏み込み、一点一点の作風の違いなどに注目していくと、より興味深く見られるかもしれません。
「肌色と緑色の黄昏:バルパライソ」 1866年 テート美術館
© Tate, London 2014
風景画では「肌色と緑色の黄昏:バルパライソ」が秀逸です。南米チリへと旅した時に描いた作品、ともかく美しいのは透明感のある水面とやや紫がかった空の色彩です。夕暮れ時の船溜まり。波はなく、終始穏やかです。船は帆を広げて休んでいます。まるで影絵のようです。全てが黄昏に染まっています。
一方、風景画では版画も重要です。中でも「テムズ・セット」と「ヴェニス・セット」は目を引くのではないでしょうか。
「テムズ・セット」では線を際立たせた写実的な表現が極めて充実しています。停泊する船のマストの一本一本の線までが明瞭に浮き上がる。川を背にした建物の質感も一つ一つ異なります。屋根、外壁、庇、それらが巧みに描き分けられていました。
一方で「ヴェニス・セット」はもはや水墨画の世界と言えないでしょうか。幽玄的で美しい。水面を大きくとっては空を見上げ、ヴェニスの街の姿を何とも儚げに表しています。甲乙付け難いものではありますが、先の「テムズ・セット」と同じ画家とは思えません。
実のところ今回の出品の半数以上は版画です。ただしこの版画がいずれも魅惑的。見飛ばせません。しかも絵画同様、版画でもホイッスラーは芸達者です。彼のやりたいことは全て版画で為したのではないかと思うほどにバリエーションが豊か。銅版やリトグラフなど異なった技法を駆使しています。
最後のテーマはジャポニスムです。いわゆるシノワズリー、東洋趣味的な作品も並びます。またここでは参考出品として、清長や広重などの浮世絵も引用されていました。
「ノクターン:青と金色ーオールド・バターシー・ブリッジ」 1872-75年 テート美術館
©Tate, London 2014
浮世絵の影響下にある作品を挙げましょう。「ノクターン:青と金色」です。テムズにかかる橋の欄干を大きくクローズアップして描いた一枚、橋の下では小舟がシルエット状になって浮かんでいます。どっぷり日も暮れた夜の景色、彼方で金色に煌めくのは花火です。建物の窓からは明かりも漏れていました。そしてこれが構図しかり、広重の「名所江戸百景 京橋竹がし」と良く似ているのです。
「紫とバラ色:6つのマークのランゲ・ライゼン」 1864年 フィラデルフィア美術館
©Philadelphia Museum of Art
「紫とバラ色:6つのマークのランゲ・ライゼン」も面白いのではないでしょうか。中国服に身を纏ったのは愛人のジョーです。はじめは腰掛けながら染付を愛でているのかと思いきや、良く見ると右手に絵筆を持っています。つまり絵付けをしているのです。しかも磁器はホイッスラー自身のコレクション。いかにも東洋趣味、画家の関心の在りかが伺えます。
「白のシンフォニー No.2:小さなホワイト・ガール」 1864年 テート美術館
©Tate, London 2014
またこのジョーは「白のシンフォニーNo.2:小さなホワイト・ガール」でもモデルをつとめています。暖炉の前に立っては寂しげな表情を見せる姿、何でも別れる少し前の出来事だそうです。暖炉の上にはやはり染付が置かれ、ジョーの手には団扇が添えられてもいます。
ちなみにジョーはホイッスラー不在の際にクールベと関係をもったとされ、それに対するホイッスラーの疑念から、後に仲違いする原因になったとも言われています。真相は如何なるものなのでしょうか。
実際にもホイッスラーは「ダンディ」とも讃えられ、相当にもてたそうです。ただし友人と口論したり、画商と喧嘩するなど、時にわがままで激情的な性格を見せたとも言われています。そうしたエピソードの一つの表れが「ピーコック・ルーム」です。
「灰色のアレンジメント:自画像」 1872年 デトロイト美術館
© Detroit Institute of Arts, USA / Gift of Henry Glover Stevens / The Bridgeman Art Library
ホイッスラーのパトロンのレイランドのためにデザインされたダイニング、彼の手による唯一の室内装飾ですが、何とホイッスラーはレイランドの留守中にデザイナーの仕事を奪い、青海波や孔雀のモチーフを取り込んだ室内に仕上げてしまいます。しかも先に無断で内覧会まで開催してしまったのだそうです。おそらくパトロンは大いに驚いたことでしょう。*会場では現在、アメリカに移されたピーコック・ルームを映像で紹介しています。
ホイッスラーを酷評した批評家ラスキンと裁判沙汰になったエピソードもあります。結局、画家は裁判に勝訴したそうですが、裁判費用がかさんで破産。著書には「敵を作る優美な方法」という作品もあるそうです。クールであるのにある意味で喧嘩っ早い。一筋縄ではいきません。
「バルコニーの傍で」 1896年 シカゴ美術館
Photography © The Art Institute of Chicago
しかしながら54歳の時に結婚した妻、ベアトリクスはこよなく愛していたそうです。(17歳年下でした。)残念ながら癌で先に亡くしてしまいますが、病に冒されてゆく妻を描いたリトグラフの「バルコニーの傍で」なども残されています。ベットに横たわっては窓の外を細目で眺める妻、眼下に広がるのはテムズです。頭部に差し込むカーテンの暗い影が彼女の運命を暗示します。ちなみにこの作品はホイッスラー自身が受けられず、試し刷りのみが作成されたに過ぎません、ゆえに現在4点しか確認していないそうです。
「青と銀色のノクターン」 1872-78年 イェール英国芸術センター
Yale Center for British Art, Paul Mellon Fund
ホイッスラーは最終的には絵画に調和、そして平穏を求めていたのではないでしょうか。胸を打つのは夢幻的な「青と銀色のノクターン」などの風景画です。夕闇のテムズ、風景は溶けてしまいそうに朧げです。もはや形象は明瞭ではない。水墨、いやターナーの晩年の作品を連想しました。全ては微睡むかのように静まり返っています。明かりは僅かです。闇は全ての光を包み込んでいました。
「音楽が音の詩であるように、絵画は視覚の詩である。」 ホイッスラー
また「ノクターン」シリーズしかり、先の「バルパライソ」や版画の「テムズ・セット」など、ホイッスラーは水を見つめ続けた画家でもあります。繊細でかつ趣き深い水面の表現、ぐっと惹き付けられるものがありました。
1月号のミュージアムカフェマガジンがホイッスラー特集です。誌上では辛酸なめ子さんが漫画でホイッスラーのダンディズムを面白く描いています。是非ともご覧下さい。(館内ではカフェ小倉山のチラシコーナーに置かれています。)
ミュージアムカフェマガジン1月号「ホイッスラー特集」
画面の小さな版画のコーナーに若干の列がありましたが、館内にはおおむね余裕がありました。じっくり作品と向き合えます。
ホイッスラー展割引券(デザインが画家の髭でした。)
お馴染みEテレの「日曜美術館」でホイッスラーのアンコール放送があります。
「色と形が奏でるハーモニー 革新の画家・ホイッスラー」 日曜美術館
2015年1月11日9時~ 再放送:1月18日20時~
出演:千住明(作曲家)
ホイッスラー展に続くコレクション展(第2期)が見応え満点でした。また別のエントリでまとめます。
3月1日まで開催されています。
「ホイッスラー展」 横浜美術館(@yokobi_tweet)
会期:2014年12月6日(土)~2015年3月1日(日)
休館:木曜日。但し12/25は開館。年末年始(12/29~1/2)。
時間:10:00~18:00
*入館は17時半まで。
*12/22~24は20時まで開館。(入館は19時半まで。)
料金:一般1500(1400)円、大学・高校生1100(1000)円、中学生600(500)円。小学生以下無料。
*( )内は20名以上の団体。要事前予約。
*毎週土曜日は高校生以下無料。
*当日に限り、横浜美術館コレクション展も観覧可。
住所:横浜市西区みなとみらい3-4-1
交通:みなとみらい線みなとみらい駅5番出口から徒歩5分。JR線、横浜市営地下鉄線桜木町駅より徒歩約10分。
「ホイッスラー展」
2014/12/6-2015/3/1
横浜美術館で開催中の「ホイッスラー展」を見て来ました。
アメリカに生まれ、ロシアで幼少期を過ごした後、フランスやイギリスで活動した画家、ジェームズ・マクニール・ホイッスラー(1834-1903)。西欧では唯美主義やジャポニスムの画家として評価されているそうですが、日本では必ずしも知名度の高い画家とは言えません。
ただホイッスラーの絵画に接する機会がなかったわけではありません。例えば昨年のオルセー展です。「灰色と黒のアレンジメント第1番」が出ていました。黒いドレスを纏って横向けに座る母の姿、壁のグレーの効果もあってか物静かな印象を受ける作品でした。
また一号館美術館での「ザ・ビューティフル」や世田谷美術館の「ジャポニスム展」にも出品がありました。版画や幻想的な「ノクターン」のシリーズです。いずれも昨年の開催でした。
では何故にあまり知られていないのでしょうか。端的にまとめて見ることがなかったからかもしれません。何と日本では27年ぶりの回顧展です。初期から晩年までの作品、全130点超にてホイッスラーの画業を総覧します。
さて今回の回顧展、観覧にあたって注意すべきポイントがあります。それは時系列での展開ではないということです。つまりテーマ別です。作品は「人物画」、「風景画」、「ジャポニスム」の括りの元に展示されています。
冒頭は人物画です。先の「灰色と黒のアレンジメント第1番」と同様、横向きの全身肖像画がありました。「トーマス・カーライルの肖像」、アレンジメントの第2番とも題された作品です。
「灰色と黒のアレンジメント No.2:トーマス・カーライルの肖像」 1872-73年 グラスゴー美術館
© CSG CIC Glasgow Museums Collection
モデルは当時の代表的な批評家のトーマス・カーライル。ホイッスラー邸にて第1番を見ては感銘し、モデルになることを快諾しました。椅子に深く腰掛け、少し斜めを向いてはやや気怠そうな表情をしています。重厚です。構図としては安定感もあります。
「ライム・リジスの小さなバラ」 1895年 ボストン美術館
Museum of Fine Arts, Boston, Warren Collection-William Wilkins Warren Fund, 96.950.
Photograph ©2014 MFA, Boston
「ライム・リジスの小さなバラ」はどうでしょうか。ライム・リジスの市長の娘を描いた一枚、口をやや引き締めてはこちらを向いています。大きな瞳は愛くるしいもの。実に甘美ですが、ラファエル前派の物語的な画風とはやや異なっています。モデルはあくまでも実直に捉えられていました。
なおホイッスラーは当初、クールベらのレアリスムに傾倒し、後にイギリスでラファエル前派の運動に関わったそうです。そしてスペインのベラスケスの影響も受けています。さらには古代ギリシャと日本の要素をあわせもった「グレコ=ジャパニーズ」と呼ばれる作品も描きました。
ようはかなり多彩な画家なのです。作品も年代によって思いがけないほど変化しています。唯美主義、ジャポニスムという言葉でも語られがちなホイッスラーですが、もう一歩踏み込み、一点一点の作風の違いなどに注目していくと、より興味深く見られるかもしれません。
「肌色と緑色の黄昏:バルパライソ」 1866年 テート美術館
© Tate, London 2014
風景画では「肌色と緑色の黄昏:バルパライソ」が秀逸です。南米チリへと旅した時に描いた作品、ともかく美しいのは透明感のある水面とやや紫がかった空の色彩です。夕暮れ時の船溜まり。波はなく、終始穏やかです。船は帆を広げて休んでいます。まるで影絵のようです。全てが黄昏に染まっています。
一方、風景画では版画も重要です。中でも「テムズ・セット」と「ヴェニス・セット」は目を引くのではないでしょうか。
「テムズ・セット」では線を際立たせた写実的な表現が極めて充実しています。停泊する船のマストの一本一本の線までが明瞭に浮き上がる。川を背にした建物の質感も一つ一つ異なります。屋根、外壁、庇、それらが巧みに描き分けられていました。
一方で「ヴェニス・セット」はもはや水墨画の世界と言えないでしょうか。幽玄的で美しい。水面を大きくとっては空を見上げ、ヴェニスの街の姿を何とも儚げに表しています。甲乙付け難いものではありますが、先の「テムズ・セット」と同じ画家とは思えません。
実のところ今回の出品の半数以上は版画です。ただしこの版画がいずれも魅惑的。見飛ばせません。しかも絵画同様、版画でもホイッスラーは芸達者です。彼のやりたいことは全て版画で為したのではないかと思うほどにバリエーションが豊か。銅版やリトグラフなど異なった技法を駆使しています。
最後のテーマはジャポニスムです。いわゆるシノワズリー、東洋趣味的な作品も並びます。またここでは参考出品として、清長や広重などの浮世絵も引用されていました。
「ノクターン:青と金色ーオールド・バターシー・ブリッジ」 1872-75年 テート美術館
©Tate, London 2014
浮世絵の影響下にある作品を挙げましょう。「ノクターン:青と金色」です。テムズにかかる橋の欄干を大きくクローズアップして描いた一枚、橋の下では小舟がシルエット状になって浮かんでいます。どっぷり日も暮れた夜の景色、彼方で金色に煌めくのは花火です。建物の窓からは明かりも漏れていました。そしてこれが構図しかり、広重の「名所江戸百景 京橋竹がし」と良く似ているのです。
「紫とバラ色:6つのマークのランゲ・ライゼン」 1864年 フィラデルフィア美術館
©Philadelphia Museum of Art
「紫とバラ色:6つのマークのランゲ・ライゼン」も面白いのではないでしょうか。中国服に身を纏ったのは愛人のジョーです。はじめは腰掛けながら染付を愛でているのかと思いきや、良く見ると右手に絵筆を持っています。つまり絵付けをしているのです。しかも磁器はホイッスラー自身のコレクション。いかにも東洋趣味、画家の関心の在りかが伺えます。
「白のシンフォニー No.2:小さなホワイト・ガール」 1864年 テート美術館
©Tate, London 2014
またこのジョーは「白のシンフォニーNo.2:小さなホワイト・ガール」でもモデルをつとめています。暖炉の前に立っては寂しげな表情を見せる姿、何でも別れる少し前の出来事だそうです。暖炉の上にはやはり染付が置かれ、ジョーの手には団扇が添えられてもいます。
ちなみにジョーはホイッスラー不在の際にクールベと関係をもったとされ、それに対するホイッスラーの疑念から、後に仲違いする原因になったとも言われています。真相は如何なるものなのでしょうか。
実際にもホイッスラーは「ダンディ」とも讃えられ、相当にもてたそうです。ただし友人と口論したり、画商と喧嘩するなど、時にわがままで激情的な性格を見せたとも言われています。そうしたエピソードの一つの表れが「ピーコック・ルーム」です。
「灰色のアレンジメント:自画像」 1872年 デトロイト美術館
© Detroit Institute of Arts, USA / Gift of Henry Glover Stevens / The Bridgeman Art Library
ホイッスラーのパトロンのレイランドのためにデザインされたダイニング、彼の手による唯一の室内装飾ですが、何とホイッスラーはレイランドの留守中にデザイナーの仕事を奪い、青海波や孔雀のモチーフを取り込んだ室内に仕上げてしまいます。しかも先に無断で内覧会まで開催してしまったのだそうです。おそらくパトロンは大いに驚いたことでしょう。*会場では現在、アメリカに移されたピーコック・ルームを映像で紹介しています。
ホイッスラーを酷評した批評家ラスキンと裁判沙汰になったエピソードもあります。結局、画家は裁判に勝訴したそうですが、裁判費用がかさんで破産。著書には「敵を作る優美な方法」という作品もあるそうです。クールであるのにある意味で喧嘩っ早い。一筋縄ではいきません。
「バルコニーの傍で」 1896年 シカゴ美術館
Photography © The Art Institute of Chicago
しかしながら54歳の時に結婚した妻、ベアトリクスはこよなく愛していたそうです。(17歳年下でした。)残念ながら癌で先に亡くしてしまいますが、病に冒されてゆく妻を描いたリトグラフの「バルコニーの傍で」なども残されています。ベットに横たわっては窓の外を細目で眺める妻、眼下に広がるのはテムズです。頭部に差し込むカーテンの暗い影が彼女の運命を暗示します。ちなみにこの作品はホイッスラー自身が受けられず、試し刷りのみが作成されたに過ぎません、ゆえに現在4点しか確認していないそうです。
「青と銀色のノクターン」 1872-78年 イェール英国芸術センター
Yale Center for British Art, Paul Mellon Fund
ホイッスラーは最終的には絵画に調和、そして平穏を求めていたのではないでしょうか。胸を打つのは夢幻的な「青と銀色のノクターン」などの風景画です。夕闇のテムズ、風景は溶けてしまいそうに朧げです。もはや形象は明瞭ではない。水墨、いやターナーの晩年の作品を連想しました。全ては微睡むかのように静まり返っています。明かりは僅かです。闇は全ての光を包み込んでいました。
「音楽が音の詩であるように、絵画は視覚の詩である。」 ホイッスラー
また「ノクターン」シリーズしかり、先の「バルパライソ」や版画の「テムズ・セット」など、ホイッスラーは水を見つめ続けた画家でもあります。繊細でかつ趣き深い水面の表現、ぐっと惹き付けられるものがありました。
1月号のミュージアムカフェマガジンがホイッスラー特集です。誌上では辛酸なめ子さんが漫画でホイッスラーのダンディズムを面白く描いています。是非ともご覧下さい。(館内ではカフェ小倉山のチラシコーナーに置かれています。)
ミュージアムカフェマガジン1月号「ホイッスラー特集」
画面の小さな版画のコーナーに若干の列がありましたが、館内にはおおむね余裕がありました。じっくり作品と向き合えます。
ホイッスラー展割引券(デザインが画家の髭でした。)
お馴染みEテレの「日曜美術館」でホイッスラーのアンコール放送があります。
「色と形が奏でるハーモニー 革新の画家・ホイッスラー」 日曜美術館
2015年1月11日9時~ 再放送:1月18日20時~
出演:千住明(作曲家)
ホイッスラー展に続くコレクション展(第2期)が見応え満点でした。また別のエントリでまとめます。
3月1日まで開催されています。
「ホイッスラー展」 横浜美術館(@yokobi_tweet)
会期:2014年12月6日(土)~2015年3月1日(日)
休館:木曜日。但し12/25は開館。年末年始(12/29~1/2)。
時間:10:00~18:00
*入館は17時半まで。
*12/22~24は20時まで開館。(入館は19時半まで。)
料金:一般1500(1400)円、大学・高校生1100(1000)円、中学生600(500)円。小学生以下無料。
*( )内は20名以上の団体。要事前予約。
*毎週土曜日は高校生以下無料。
*当日に限り、横浜美術館コレクション展も観覧可。
住所:横浜市西区みなとみらい3-4-1
交通:みなとみらい線みなとみらい駅5番出口から徒歩5分。JR線、横浜市営地下鉄線桜木町駅より徒歩約10分。
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映画「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」
2015-01-09 / 映画
Bunkamuraル・シネマほか
「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」
1/17-
映画「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」の試写会に参加してきました。
1月17日(土)よりBunkamuraル・シネマほか、全国順次公開予定の映画、「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」。
舞台は言うまでもなくロンドンの中心部、トラファルガー広場に面した「ナショナル・ギャラリー」です。英国初の国立美術館として1824年に開館。現在ではルネサンスやフランドル絵画、それに印象派から近代絵画など2300点余のコレクションを有しています。
そのナショナル・ギャラリーの全貌に迫った映画です。監督は「第71回ヴェネチア国際映画祭」で栄誉金獅子賞を受賞したフレデリック・ワイズマン。構想段階を含めると30年越しの企画です。制作に際しても3ヶ月間にわたって美術館に潜入、取材を行いました。
© 2014 Gallery Film LLC and Ideale Audience. All Rights Reserved.
冒頭に映し出されるのは静まりかえった美術館内。すると遠くから物音が聞こえてきました。掃除機のうなり声です。開館前でしょうか。一般の観客が入り込めない開館前、その意味では館の裏側です。その姿を何ら包み隠すことなく見せています。
© 2014 Gallery Film LLC and Ideale Audience. All Rights Reserved.
開館です。ナショナル・ギャラリーは英国を代表する美術館、老若男女問わず、年間500万名もの人々が訪れます。観客らはさも感心したように頷きながら、ある時には怪訝そうに首をひねりながら、絵画の前で立ち止まり、または過ぎ去っていきます。その姿は千差万別です。中には疲れたように椅子に座り込む人もいます。絵画に同じ作品が一点とないのと同様、観客の絵に対するスタンスも一つとして同じものはありません。
ギャラリートークが始まりました。スタッフは身振り手振りを交えて熱心に絵について語り出します。実に雄弁です。冒頭であれほど静寂に包まれていた美術館は、いつしか観客の出す足音や物音、さらにはギャラリートークの声も巻き込み、大いに活気を帯びていきました。
© 2014 Gallery Film LLC and Ideale Audience. All Rights Reserved.
館の裏側へ潜り込んだワイズマン、会議室で館長と話し合うスタッフの様子までも捉えています。観客のニーズにどこまで寄りそうべきなのか、また外部のイベントにどれほど関わるべきなのかについて議論は沸騰。互いに遠慮はありません。喧々諤々、時に鋭く対立してぶつかり合います。
© 2014 Gallery Film LLC and Ideale Audience. All Rights Reserved.
一方で修復家たちの地道な活動も重要です。X線で作品調査をするスタッフや、額縁の制作家の活動を丹念に追いかけています。また展示室の設営、照明のスタッフも登場。ワークショップでしょうか。ヌードデッサンに取り組む人たちの姿も記録しています。
© 2014 Gallery Film LLC and Ideale Audience. All Rights Reserved.
映画においてナレーションは一切入らず、例えば登場する人物に対しての説明もありません。ただし彼ら彼女らはギャラリートークに会議しかり、いずれも何らかの「声」をあげています。それをワイズマンは驚くほど丁寧に拾い上げています。つまり我々見る側は「声」を聞くことで、美術館の置かれている状況を知ることが出来るわけです。
もちろんナショナル・ギャラリーの誇る名画群もじっくりと紹介しています。ファン・エイクやレオナルド、カラヴァッジョにベラスケスからルーベンス。「岩窟の聖母」しかり、誰もが知る作品も少なくありません。また美術館内で行われたピアノリサイタルやバレエのシーンも目を引きました。
ただしそれでもワイズマンの視点は美術館の中の人々に強く向けられていると言えるでしょう。清掃員、教育プログラムの講師、修復師、学芸員、ガイド、それに館長。主人公は美術館のスタッフ全員です。美術館の歴史や価値は何も作品のみが作り上げているわけではありません。
「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」特別試写会&トークセッション 12月23日(火・祝) 国立西洋美術館
試写会を終えた後は、馬渕明子氏(国立西洋美術館館長)、岩井希久子氏(絵画保存修復家)、寺島洋子氏(国立西洋美術館 教育普及室長)、新藤淳氏(国立西洋美術館 研究員)の4氏を迎えての簡単なトークセッションがありました。
うち興味深かったのが、馬渕館長が「この映画を見ると日本の美術館に何が足りないか分かる。」と述べられたことです。また新藤氏も「まず美術館の中にあれほど多様な『声』があるのに驚いた。」と話し、岩井氏も「ナショナル・ギャラリーは世界で初めて修復を体系化した美術館。そもそも日本の国公立美術館には修復部門がない。」との発言をされました。
つまり日本の立場から見ればナショナル・ギャラリーは色々な意味で恵まれた美術館とも言えるわけです。とすれば逆に映画を見ることで、日本の美術館の問題点や学ぶべき点も浮かび上がってきます。新藤氏の「日本の美術館はあれほど充実していない。我々も美術館をもっと良くするために議論をするべきだ。」という言葉も胸に響きました。
なおトークの詳細は映画の公式フェイスブックにまとまっています。そちらもあわせてご覧下さい。
ナショナル・ギャラリー 英国の至宝 | Facebook(トークセッションレポート)
上映は全3時間。映画としてやや長い部類ではあります。ただこの巨大な美術館の中にある多様な「声」を拾うのにはひょっとすると3時間ですら足りないのかもしれません。かつてこれほど美術館に正面から向き合った映画があったのでしょうか。まさにドキュメンタリーの極致ともいうべき作品でした。
『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』予告編
映画「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」。1月17日(土)より東京・渋谷のBunkamura ル・シネマのほか、全国の映画館で上映されます。(劇場公開情報)
「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」(@treasuremovie)
監督・編集・録音:フレデリック・ワイズマン
出演:ナショナル・ギャラリーのスタッフのほか、エドワード・ワトソン&リアン・ベンジャミン(英国ロイヤル・バレエ団)
原題:National Gallery
製作年:2014年
製作国:フランス・アメリカ合作(英語)
時間:181分
日本語字幕:金関いな
後援:英国政府観光庁
配給:セテラ・インターナショナル
「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」
1/17-
映画「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」の試写会に参加してきました。
1月17日(土)よりBunkamuraル・シネマほか、全国順次公開予定の映画、「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」。
舞台は言うまでもなくロンドンの中心部、トラファルガー広場に面した「ナショナル・ギャラリー」です。英国初の国立美術館として1824年に開館。現在ではルネサンスやフランドル絵画、それに印象派から近代絵画など2300点余のコレクションを有しています。
そのナショナル・ギャラリーの全貌に迫った映画です。監督は「第71回ヴェネチア国際映画祭」で栄誉金獅子賞を受賞したフレデリック・ワイズマン。構想段階を含めると30年越しの企画です。制作に際しても3ヶ月間にわたって美術館に潜入、取材を行いました。
© 2014 Gallery Film LLC and Ideale Audience. All Rights Reserved.
冒頭に映し出されるのは静まりかえった美術館内。すると遠くから物音が聞こえてきました。掃除機のうなり声です。開館前でしょうか。一般の観客が入り込めない開館前、その意味では館の裏側です。その姿を何ら包み隠すことなく見せています。
© 2014 Gallery Film LLC and Ideale Audience. All Rights Reserved.
開館です。ナショナル・ギャラリーは英国を代表する美術館、老若男女問わず、年間500万名もの人々が訪れます。観客らはさも感心したように頷きながら、ある時には怪訝そうに首をひねりながら、絵画の前で立ち止まり、または過ぎ去っていきます。その姿は千差万別です。中には疲れたように椅子に座り込む人もいます。絵画に同じ作品が一点とないのと同様、観客の絵に対するスタンスも一つとして同じものはありません。
ギャラリートークが始まりました。スタッフは身振り手振りを交えて熱心に絵について語り出します。実に雄弁です。冒頭であれほど静寂に包まれていた美術館は、いつしか観客の出す足音や物音、さらにはギャラリートークの声も巻き込み、大いに活気を帯びていきました。
© 2014 Gallery Film LLC and Ideale Audience. All Rights Reserved.
館の裏側へ潜り込んだワイズマン、会議室で館長と話し合うスタッフの様子までも捉えています。観客のニーズにどこまで寄りそうべきなのか、また外部のイベントにどれほど関わるべきなのかについて議論は沸騰。互いに遠慮はありません。喧々諤々、時に鋭く対立してぶつかり合います。
© 2014 Gallery Film LLC and Ideale Audience. All Rights Reserved.
一方で修復家たちの地道な活動も重要です。X線で作品調査をするスタッフや、額縁の制作家の活動を丹念に追いかけています。また展示室の設営、照明のスタッフも登場。ワークショップでしょうか。ヌードデッサンに取り組む人たちの姿も記録しています。
© 2014 Gallery Film LLC and Ideale Audience. All Rights Reserved.
映画においてナレーションは一切入らず、例えば登場する人物に対しての説明もありません。ただし彼ら彼女らはギャラリートークに会議しかり、いずれも何らかの「声」をあげています。それをワイズマンは驚くほど丁寧に拾い上げています。つまり我々見る側は「声」を聞くことで、美術館の置かれている状況を知ることが出来るわけです。
もちろんナショナル・ギャラリーの誇る名画群もじっくりと紹介しています。ファン・エイクやレオナルド、カラヴァッジョにベラスケスからルーベンス。「岩窟の聖母」しかり、誰もが知る作品も少なくありません。また美術館内で行われたピアノリサイタルやバレエのシーンも目を引きました。
ただしそれでもワイズマンの視点は美術館の中の人々に強く向けられていると言えるでしょう。清掃員、教育プログラムの講師、修復師、学芸員、ガイド、それに館長。主人公は美術館のスタッフ全員です。美術館の歴史や価値は何も作品のみが作り上げているわけではありません。
「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」特別試写会&トークセッション 12月23日(火・祝) 国立西洋美術館
試写会を終えた後は、馬渕明子氏(国立西洋美術館館長)、岩井希久子氏(絵画保存修復家)、寺島洋子氏(国立西洋美術館 教育普及室長)、新藤淳氏(国立西洋美術館 研究員)の4氏を迎えての簡単なトークセッションがありました。
うち興味深かったのが、馬渕館長が「この映画を見ると日本の美術館に何が足りないか分かる。」と述べられたことです。また新藤氏も「まず美術館の中にあれほど多様な『声』があるのに驚いた。」と話し、岩井氏も「ナショナル・ギャラリーは世界で初めて修復を体系化した美術館。そもそも日本の国公立美術館には修復部門がない。」との発言をされました。
つまり日本の立場から見ればナショナル・ギャラリーは色々な意味で恵まれた美術館とも言えるわけです。とすれば逆に映画を見ることで、日本の美術館の問題点や学ぶべき点も浮かび上がってきます。新藤氏の「日本の美術館はあれほど充実していない。我々も美術館をもっと良くするために議論をするべきだ。」という言葉も胸に響きました。
なおトークの詳細は映画の公式フェイスブックにまとまっています。そちらもあわせてご覧下さい。
ナショナル・ギャラリー 英国の至宝 | Facebook(トークセッションレポート)
上映は全3時間。映画としてやや長い部類ではあります。ただこの巨大な美術館の中にある多様な「声」を拾うのにはひょっとすると3時間ですら足りないのかもしれません。かつてこれほど美術館に正面から向き合った映画があったのでしょうか。まさにドキュメンタリーの極致ともいうべき作品でした。
『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』予告編
映画「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」。1月17日(土)より東京・渋谷のBunkamura ル・シネマのほか、全国の映画館で上映されます。(劇場公開情報)
「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」(@treasuremovie)
監督・編集・録音:フレデリック・ワイズマン
出演:ナショナル・ギャラリーのスタッフのほか、エドワード・ワトソン&リアン・ベンジャミン(英国ロイヤル・バレエ団)
原題:National Gallery
製作年:2014年
製作国:フランス・アメリカ合作(英語)
時間:181分
日本語字幕:金関いな
後援:英国政府観光庁
配給:セテラ・インターナショナル
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「燕子花と紅白梅」 記者発表会
没後300年忌を迎えた琳派を代表する尾形光琳(1658-1716)。何と56年の出来事です。国宝「燕子花図屏風」と国宝「紅白梅図屏風」が同時に展示されます。
会場は2つ。熱海のMOA美術館と東京の根津美術館です。先行するのがMOA美術館。期間は2月4日から3月3日までの1ヶ月間です。その後、4月18日から根津美術館で同じく1ヶ月ほど開催されます。
「燕子花と紅白梅 光琳アート 光琳と現代美術」@MOA美術館 2/4~3/3
「燕子花と紅白梅 光琳デザインの秘密」@根津美術館 4/18~5/17
さて「燕子花と紅白梅」展、サブタイトルが異なっているように、内容は必ずしも同一ではありません。
[尾形光琳300年忌記念特別展 燕子花と紅白梅 光琳アート 光琳と現代美術]
MOA美術館
2月4日(水)~3月3日(火)
http://www.moaart.or.jp/
まずはMOA美術館です。表題は「光琳アート 光琳と現代美術」。ここでは光琳100年忌・200年忌で紹介された光琳の作品、並びに光琳の影響が伺える近現代美術を展観します。
「波に白鷺図」 尾形光琳
100年忌を取り仕切ったのは酒井抱一です。光琳を私淑した抱一は百年忌に際して遺墨展と法要を行いました。そして「光琳百図」を編纂します。本展に出品されるのも「光琳百図」に載った作品です。代表的な「白楽天図屏風」や「紫式部図」のほか、近年あまり公開されていない「波に白鷺図」や「方形絵皿盆」などが展示されます。
右:「光琳画聖二百年忌記念 光琳図録」 大正4年
左:「光琳百図」 文化12年
200年忌が行われたのは大正4年です。中心となったのは三越呉服店。追善法会や遺作展を開催しました。またその時に「光琳二百年忌記念光琳遺品展覧会出品目録」が作られ、「紅白梅図屏風」も掲載されました。それに三越は近代以降、特に西洋で評価された光琳風模様も積極的に取り上げます。
「紅白梅図屏風」 尾形光琳 江戸時代・18世紀 MOA美術館
メインの「紅白梅図屏風」を考える上でポイントになるのは「捨象性」、「複数の視点」、「枝垂れの構図」、「文様化」、「対立した要素」、「主題の持つ季節感」の6点です。
中でもよく知られるのは対立のキーワードです。同屏風では「黒と金」、「老と若」、「紅と白」、「静と動」、「直線と曲線」といった要素がモチーフや構図において対立しています。
近代における光琳画の受容も重要です。日本美術院の画家や工芸、またさらに一歩先を見据えてデザインの分野も取り上げられます。菱田春草の「落葉」(福井本)をはじめ、神坂雪佳の「杜若図屏風」、下村観山の「弱法師」(展示期間:2/18~3/3)や福田平八郎の「漣」、それに田中一光の「ミュージック・トゥディ」などが展示されます。
上段:「美しい旗」 会田誠
下段:「風神雷神図屏風」 尾形光琳
また現代美術では、福田美蘭の「風神雷神図」や村上隆の「ルイ・ヴィトンのお花畑」、それに会田誠の「美しい旗」や「群娘図」も目を引くのではないでしょうか。
「月下紅白梅図」 杉本博司 平成26(2014)年 個人蔵 *制作中図版
さらに6名の現代作家が本展にあわせて新作を発表します。うち杉本博司は「月下紅白梅図」です。かの「紅白梅図屏風」を夜に置き換えた作品、満月を波紋の右上にあることを想定し、銀のかわりにプラチナを用いて月明かりを表現しました。
杉本は日本美術の本質が「本歌とり」にあるとした上で、琳派を「平安の美意識から結集した、現代の美に繋がる軸である。」と捉えています。その系譜を平家納経から宗達、光琳、さらには近代以降の春草や福田平八郎に見定め、「日本のアートのムーブメントは琳派なしには語れない。」とも述べています。*「」内は発表時の杉本の発言より。
*「燕子花と紅白梅」(MOA美術館)の主な展示作品(上記以外)
「四季草花図巻」、「紫式部図」、「白楽天図屏風」、「秋草模様小袖」、「琴高仙人図」、「方形絵替盆」。以上、尾形光琳。
「群鶴図」(加山又造)、「梅」(須田悦弘)、「池の海」(平松礼二)、「レース(燕子花)」(高田安規子・政子)。
[尾形光琳300年忌記念特別展 燕子花と紅白梅 光琳デザインの秘密]
根津美術館
4月18日(土)~5月17日(日)
http://www.nezu-muse.or.jp/
続いては根津美術館です。見るべきは光琳のデザイン性。テーマは3つです。はじめは「模様の屏風の系譜」。先のMOA美術館が時代を進むのに対し、根津美術館では歴史を遡ります。そこで重要なのが宗達の「蔦の細道図屏風」です。
上段:「蔦の細道図屏風」 俵屋宗達
下段:「燕子花図屏風」 尾形光琳
いわゆる伊勢物語を主題とした作品、振り返れば「燕子花」も同様です。そして「燕子花」もある種の模様とすれば、「蔦の細道」もデザイン的だと言えるのではないでしょうか。またここでは「槇楓図屏風」(伝宗達を含む)、それに「孔雀立葵図屏風」などを参照し、光琳の屏風の変遷を追いかけます。
2つ目は「衣裳図案と光悦謡本」です。光琳の写生や画稿からなる「小西家文書」には、おそらくは「燕子花図屏風」には元となるスケッチがいくつか残されています。
「燕子花図」 尾形光琳 京都国立博物館 *展示期間:5/4~5/17
これらの資料によれば光琳はいわゆる版画的なパターンの反復や生成などを好んでいました。また光悦に関わりのある雲母や金銀泥の木版摺も光琳に影響を与えています。そこで「光悦謡本」の写しなども参照しながら、どのように光琳が画風を完成させたのかについて探っていきます。
右上:「紅白梅図屏風」(部分) 尾形光琳
左下:「銹絵梅図角皿」 尾形乾山・尾形光琳(画)
最後のテーマは「ジャンルを越える意匠」です。光琳を画家ではなくデザイナーと捉え、光琳が得意とした紅葉や水流のモチーフ、また乾山との合作などから、光琳画の特質などを見る内容となります。
「燕子花図屏風」 尾形光琳 江戸時代・18世紀 根津美術館
*「燕子花と紅白梅」(根津美術館)の主な展示作品(上記以外)
「孔雀立葵図屏風」、「楓図」(小西家文書)、「扇面貼交手箱」、「流水図乱箱」、「夏草図屏風」、「桔梗図扇面」、「蔦図香包」。作者は全て尾形光琳。
「芦舟蒔絵硯箱」(本阿弥光悦)、「扇面散貼付屏風」(俵屋宗達)。
抱一による100年忌、さらには大正時代の200年忌を経て、新たに行われる300年忌の光琳展。デザインや現代美術への展開など、新たな視点を盛り込んだ展覧会でもあります。
上段:「群娘図」 会田誠
下段:「燕子花図屏風」 尾形光琳 *展示はMOA美術館
ちょうど梅が咲く頃にはじまり、燕子花が群れる時期に終える「燕子花と紅白梅」。今年は琳派400年とも言われる琳派のメモリアルイヤーです。琳派好きのみならず、日本美術を語る上でも重要な機会になるのではないでしょうか。
かの大琳派展でも叶わなかった「燕子花図屏風」と「紅白梅図屏風」の同時展示。MOAでは光琳から現代美術までの系譜を辿り、根津では宗達や光悦を参照しながら光琳デザインの営みを探ります。アプローチの異なる両展示、共通券の設定こそありませんが、事実上、二つで一つの企画展としても差し支えありません。
先行する「光琳アート 光琳と現代美術」はMOA美術館で2月4日から、「光琳デザインの秘密」は根津美術館で4月18日から開催されます。
「尾形光琳300年忌記念特別展 燕子花と紅白梅 光琳アート 光琳と現代美術」 MOA美術館
会期:2月4日(水)~3月3日(火)
休館:会期中無休。
時間:9:30~16:30 *入館は16時まで。
料金:一般1600円、65歳以上1200円、大学・高校生800円、中学生以下無料。
*団体割引1300円。
住所:静岡県熱海市桃山町26-2
交通:JR線熱海駅8番乗り場より伊豆東海バスMOA美術館行にて終点下車。熱海駅よりタクシー5分。
「尾形光琳300年忌記念特別展 燕子花と紅白梅 光琳デザインの秘密」 根津美術館(@nezumuseum)
会期:4月18日(土)~5月17日(日)
休館:月曜日。但し5月4日(月・祝)は開館。
時間:10:00~17:00。
*5月12日(火)~5月17日(日)は午後7時まで開館。
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1200円、学生1000円、中学生以下無料。
*20名以上の団体は200円引き。
*前売券は各100円引きにて販売。*販売期間:3/7~4/6
住所:港区南青山6-5-1
交通:東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅A5出口より徒歩8分。
会場は2つ。熱海のMOA美術館と東京の根津美術館です。先行するのがMOA美術館。期間は2月4日から3月3日までの1ヶ月間です。その後、4月18日から根津美術館で同じく1ヶ月ほど開催されます。
「燕子花と紅白梅 光琳アート 光琳と現代美術」@MOA美術館 2/4~3/3
「燕子花と紅白梅 光琳デザインの秘密」@根津美術館 4/18~5/17
さて「燕子花と紅白梅」展、サブタイトルが異なっているように、内容は必ずしも同一ではありません。
[尾形光琳300年忌記念特別展 燕子花と紅白梅 光琳アート 光琳と現代美術]
MOA美術館
2月4日(水)~3月3日(火)
http://www.moaart.or.jp/
まずはMOA美術館です。表題は「光琳アート 光琳と現代美術」。ここでは光琳100年忌・200年忌で紹介された光琳の作品、並びに光琳の影響が伺える近現代美術を展観します。
「波に白鷺図」 尾形光琳
100年忌を取り仕切ったのは酒井抱一です。光琳を私淑した抱一は百年忌に際して遺墨展と法要を行いました。そして「光琳百図」を編纂します。本展に出品されるのも「光琳百図」に載った作品です。代表的な「白楽天図屏風」や「紫式部図」のほか、近年あまり公開されていない「波に白鷺図」や「方形絵皿盆」などが展示されます。
右:「光琳画聖二百年忌記念 光琳図録」 大正4年
左:「光琳百図」 文化12年
200年忌が行われたのは大正4年です。中心となったのは三越呉服店。追善法会や遺作展を開催しました。またその時に「光琳二百年忌記念光琳遺品展覧会出品目録」が作られ、「紅白梅図屏風」も掲載されました。それに三越は近代以降、特に西洋で評価された光琳風模様も積極的に取り上げます。
「紅白梅図屏風」 尾形光琳 江戸時代・18世紀 MOA美術館
メインの「紅白梅図屏風」を考える上でポイントになるのは「捨象性」、「複数の視点」、「枝垂れの構図」、「文様化」、「対立した要素」、「主題の持つ季節感」の6点です。
中でもよく知られるのは対立のキーワードです。同屏風では「黒と金」、「老と若」、「紅と白」、「静と動」、「直線と曲線」といった要素がモチーフや構図において対立しています。
近代における光琳画の受容も重要です。日本美術院の画家や工芸、またさらに一歩先を見据えてデザインの分野も取り上げられます。菱田春草の「落葉」(福井本)をはじめ、神坂雪佳の「杜若図屏風」、下村観山の「弱法師」(展示期間:2/18~3/3)や福田平八郎の「漣」、それに田中一光の「ミュージック・トゥディ」などが展示されます。
上段:「美しい旗」 会田誠
下段:「風神雷神図屏風」 尾形光琳
また現代美術では、福田美蘭の「風神雷神図」や村上隆の「ルイ・ヴィトンのお花畑」、それに会田誠の「美しい旗」や「群娘図」も目を引くのではないでしょうか。
「月下紅白梅図」 杉本博司 平成26(2014)年 個人蔵 *制作中図版
さらに6名の現代作家が本展にあわせて新作を発表します。うち杉本博司は「月下紅白梅図」です。かの「紅白梅図屏風」を夜に置き換えた作品、満月を波紋の右上にあることを想定し、銀のかわりにプラチナを用いて月明かりを表現しました。
杉本は日本美術の本質が「本歌とり」にあるとした上で、琳派を「平安の美意識から結集した、現代の美に繋がる軸である。」と捉えています。その系譜を平家納経から宗達、光琳、さらには近代以降の春草や福田平八郎に見定め、「日本のアートのムーブメントは琳派なしには語れない。」とも述べています。*「」内は発表時の杉本の発言より。
*「燕子花と紅白梅」(MOA美術館)の主な展示作品(上記以外)
「四季草花図巻」、「紫式部図」、「白楽天図屏風」、「秋草模様小袖」、「琴高仙人図」、「方形絵替盆」。以上、尾形光琳。
「群鶴図」(加山又造)、「梅」(須田悦弘)、「池の海」(平松礼二)、「レース(燕子花)」(高田安規子・政子)。
[尾形光琳300年忌記念特別展 燕子花と紅白梅 光琳デザインの秘密]
根津美術館
4月18日(土)~5月17日(日)
http://www.nezu-muse.or.jp/
続いては根津美術館です。見るべきは光琳のデザイン性。テーマは3つです。はじめは「模様の屏風の系譜」。先のMOA美術館が時代を進むのに対し、根津美術館では歴史を遡ります。そこで重要なのが宗達の「蔦の細道図屏風」です。
上段:「蔦の細道図屏風」 俵屋宗達
下段:「燕子花図屏風」 尾形光琳
いわゆる伊勢物語を主題とした作品、振り返れば「燕子花」も同様です。そして「燕子花」もある種の模様とすれば、「蔦の細道」もデザイン的だと言えるのではないでしょうか。またここでは「槇楓図屏風」(伝宗達を含む)、それに「孔雀立葵図屏風」などを参照し、光琳の屏風の変遷を追いかけます。
2つ目は「衣裳図案と光悦謡本」です。光琳の写生や画稿からなる「小西家文書」には、おそらくは「燕子花図屏風」には元となるスケッチがいくつか残されています。
「燕子花図」 尾形光琳 京都国立博物館 *展示期間:5/4~5/17
これらの資料によれば光琳はいわゆる版画的なパターンの反復や生成などを好んでいました。また光悦に関わりのある雲母や金銀泥の木版摺も光琳に影響を与えています。そこで「光悦謡本」の写しなども参照しながら、どのように光琳が画風を完成させたのかについて探っていきます。
右上:「紅白梅図屏風」(部分) 尾形光琳
左下:「銹絵梅図角皿」 尾形乾山・尾形光琳(画)
最後のテーマは「ジャンルを越える意匠」です。光琳を画家ではなくデザイナーと捉え、光琳が得意とした紅葉や水流のモチーフ、また乾山との合作などから、光琳画の特質などを見る内容となります。
「燕子花図屏風」 尾形光琳 江戸時代・18世紀 根津美術館
*「燕子花と紅白梅」(根津美術館)の主な展示作品(上記以外)
「孔雀立葵図屏風」、「楓図」(小西家文書)、「扇面貼交手箱」、「流水図乱箱」、「夏草図屏風」、「桔梗図扇面」、「蔦図香包」。作者は全て尾形光琳。
「芦舟蒔絵硯箱」(本阿弥光悦)、「扇面散貼付屏風」(俵屋宗達)。
抱一による100年忌、さらには大正時代の200年忌を経て、新たに行われる300年忌の光琳展。デザインや現代美術への展開など、新たな視点を盛り込んだ展覧会でもあります。
上段:「群娘図」 会田誠
下段:「燕子花図屏風」 尾形光琳 *展示はMOA美術館
ちょうど梅が咲く頃にはじまり、燕子花が群れる時期に終える「燕子花と紅白梅」。今年は琳派400年とも言われる琳派のメモリアルイヤーです。琳派好きのみならず、日本美術を語る上でも重要な機会になるのではないでしょうか。
かの大琳派展でも叶わなかった「燕子花図屏風」と「紅白梅図屏風」の同時展示。MOAでは光琳から現代美術までの系譜を辿り、根津では宗達や光悦を参照しながら光琳デザインの営みを探ります。アプローチの異なる両展示、共通券の設定こそありませんが、事実上、二つで一つの企画展としても差し支えありません。
先行する「光琳アート 光琳と現代美術」はMOA美術館で2月4日から、「光琳デザインの秘密」は根津美術館で4月18日から開催されます。
「尾形光琳300年忌記念特別展 燕子花と紅白梅 光琳アート 光琳と現代美術」 MOA美術館
会期:2月4日(水)~3月3日(火)
休館:会期中無休。
時間:9:30~16:30 *入館は16時まで。
料金:一般1600円、65歳以上1200円、大学・高校生800円、中学生以下無料。
*団体割引1300円。
住所:静岡県熱海市桃山町26-2
交通:JR線熱海駅8番乗り場より伊豆東海バスMOA美術館行にて終点下車。熱海駅よりタクシー5分。
「尾形光琳300年忌記念特別展 燕子花と紅白梅 光琳デザインの秘密」 根津美術館(@nezumuseum)
会期:4月18日(土)~5月17日(日)
休館:月曜日。但し5月4日(月・祝)は開館。
時間:10:00~17:00。
*5月12日(火)~5月17日(日)は午後7時まで開館。
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1200円、学生1000円、中学生以下無料。
*20名以上の団体は200円引き。
*前売券は各100円引きにて販売。*販売期間:3/7~4/6
住所:港区南青山6-5-1
交通:東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅A5出口より徒歩8分。
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「黒田記念館リニューアルオープン」 東京国立博物館
東京国立博物館
「黒田記念館リニューアルオープン」
1/2-2/1
東京国立博物館の黒田記念館を見てきました。
洋画家、黒田清輝(1866~1924)の遺言によって昭和3年に竣工した黒田記念館。長らく東京文化財研究所の所屋として使われたものの、2007年に東京国立博物館へと移管。その後、しばらく公開されていましたが、ともかく古い建物です。2012年より耐震改修工事のために休館していました。
黒田記念館全景(左手が上島珈琲。右奥が入口です。)
この年明け、1月2日のリニューアルオープンです。場所は東博の西側、ちょうど上野駅側から見て正門のさらに奥、芸大方向の右手です。本館や東洋館のある東博の構内ではありません。目印は1階にカフェとして併設された上島珈琲です。スクラッチタイル張りの建物が堂々たる姿を見せています。
建物は地下1階、地上2階の3層。うち2階が展示室です。計4室。右手に黒田記念室、左に特別室があり、その間に資料室と映像室があります。当然ながらいずれも黒田清輝に関する展示が行われています。
館内の撮影が出来ました。(禁止マークのある作品は撮影が出来ません。)
「故子爵黒田清輝胸像」 高村光太郎 昭和7年(1932)
まずは記念室です。こちらは開館当初から黒田の画業を顕彰するために使われていたというスペース、入口には高村光太郎による黒田の胸像も控えています。
「黒田記念室」会場風景
中には黒田の油画に写生帖、また画稿などが並んでいました。いずれも黒田の遺族から寄贈されたコレクションです。いわゆる常設展ということでしょう。その数30点ほどでした。(6週間毎に展示替えがあります。)
「祈祷」 黒田清輝 明治22年(1899)
魅惑的な1枚に出会いました。「祈祷」です。まだ20代の若き黒田の手による一枚、女性が胸の前で手を組んで祈る姿が描かれています。衣服の白い質感も美しく、全体としても赴き深いものがあります。私はどこかコローを連想しましたが、実際には黒田がレンブラントに関心を寄せていた頃の作品だそうです。
黒田清輝愛用の画材道具
また愛用のイーゼルや絵具箱といった遺品のほか、「雲」の連作も目を引きました。ちなみにこの「雲」はいずれも鎌倉で制作されたもの。空を見上げては夕刻の雲などを描いた作品だそうです。
「雲」(6枚組) 黒田清輝 大正3~10年(1914~21)
一方で特別室です。こちらは何とも壮観、代表作のそろい踏みです。重文の「湖畔」をはじめ、同じく重文の「智・感・情」に「舞妓」、さらに「読書」などが一堂に展示されています。
重要文化財「智・感・情」 黒田清輝 明治32年(1899)
中でも目立つのは「智・感・情」です。黒田が理想的な裸婦像を表そうとした作品、さも宗教画を思わせる三幅対の構成です。元々は白馬会展に出品しましたが、当時の社会から風紀上に問題があるとして批判にもさらされます。
しかしながら後に出展したパリの万国博覧会では銀賞を受賞するなどの栄誉にも輝きました。言わば黒田の代表作であり、また問題作とも言えるでしょう。私がこれを見たのは東京国立近代美術館の「ぬぐ絵画」展以来のことかもしれません。赤い輪郭線が思いの外に強く描かれています。また照明の落ちた特別室の空間でより映える裸婦像、背景に金地を用いているからでしょうか。何とも言い難いオーラ、迫力も感じられました。
右:「読書」 黒田清輝 明治24年(1891)
なおこの特別室のみ公開日が限定されています。以下の計3期間のみの公開です。ご注意下さい。(特別室の現会期の公開は1/12まで。)
[特別室の2015年の公開日]
第1回:2015年1月2日(金)~1月12日(月・祝)
第2回:2015年3月23日(月)~4月5日(日)
第3回:2015年10月27日(火)~11月8日(日)
特別室以外は基本的に東京国立博物館の開館日に準じて公開されるそうです。(記念室の現展示の会期は2/1まで。)
黒田記念館正面
外観しかり、内部のアールヌーヴォ風の装飾など、建物自体にも見るべき点の多い黒田記念館。入場は何と無料です。
博物館の観覧の際には是非とも立ち寄られることをおすすめします。
「黒田記念館リニューアルオープン」 東京国立博物館(@TNM_PR)
会期:1月2日(金)~2月1日(日)
休館:月曜日。但し1月12日(月・祝)は開館。
料金:無料。
時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR上野駅公園口より徒歩12分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩17分。
「黒田記念館リニューアルオープン」
1/2-2/1
東京国立博物館の黒田記念館を見てきました。
洋画家、黒田清輝(1866~1924)の遺言によって昭和3年に竣工した黒田記念館。長らく東京文化財研究所の所屋として使われたものの、2007年に東京国立博物館へと移管。その後、しばらく公開されていましたが、ともかく古い建物です。2012年より耐震改修工事のために休館していました。
黒田記念館全景(左手が上島珈琲。右奥が入口です。)
この年明け、1月2日のリニューアルオープンです。場所は東博の西側、ちょうど上野駅側から見て正門のさらに奥、芸大方向の右手です。本館や東洋館のある東博の構内ではありません。目印は1階にカフェとして併設された上島珈琲です。スクラッチタイル張りの建物が堂々たる姿を見せています。
建物は地下1階、地上2階の3層。うち2階が展示室です。計4室。右手に黒田記念室、左に特別室があり、その間に資料室と映像室があります。当然ながらいずれも黒田清輝に関する展示が行われています。
館内の撮影が出来ました。(禁止マークのある作品は撮影が出来ません。)
「故子爵黒田清輝胸像」 高村光太郎 昭和7年(1932)
まずは記念室です。こちらは開館当初から黒田の画業を顕彰するために使われていたというスペース、入口には高村光太郎による黒田の胸像も控えています。
「黒田記念室」会場風景
中には黒田の油画に写生帖、また画稿などが並んでいました。いずれも黒田の遺族から寄贈されたコレクションです。いわゆる常設展ということでしょう。その数30点ほどでした。(6週間毎に展示替えがあります。)
「祈祷」 黒田清輝 明治22年(1899)
魅惑的な1枚に出会いました。「祈祷」です。まだ20代の若き黒田の手による一枚、女性が胸の前で手を組んで祈る姿が描かれています。衣服の白い質感も美しく、全体としても赴き深いものがあります。私はどこかコローを連想しましたが、実際には黒田がレンブラントに関心を寄せていた頃の作品だそうです。
黒田清輝愛用の画材道具
また愛用のイーゼルや絵具箱といった遺品のほか、「雲」の連作も目を引きました。ちなみにこの「雲」はいずれも鎌倉で制作されたもの。空を見上げては夕刻の雲などを描いた作品だそうです。
「雲」(6枚組) 黒田清輝 大正3~10年(1914~21)
一方で特別室です。こちらは何とも壮観、代表作のそろい踏みです。重文の「湖畔」をはじめ、同じく重文の「智・感・情」に「舞妓」、さらに「読書」などが一堂に展示されています。
重要文化財「智・感・情」 黒田清輝 明治32年(1899)
中でも目立つのは「智・感・情」です。黒田が理想的な裸婦像を表そうとした作品、さも宗教画を思わせる三幅対の構成です。元々は白馬会展に出品しましたが、当時の社会から風紀上に問題があるとして批判にもさらされます。
しかしながら後に出展したパリの万国博覧会では銀賞を受賞するなどの栄誉にも輝きました。言わば黒田の代表作であり、また問題作とも言えるでしょう。私がこれを見たのは東京国立近代美術館の「ぬぐ絵画」展以来のことかもしれません。赤い輪郭線が思いの外に強く描かれています。また照明の落ちた特別室の空間でより映える裸婦像、背景に金地を用いているからでしょうか。何とも言い難いオーラ、迫力も感じられました。
右:「読書」 黒田清輝 明治24年(1891)
なおこの特別室のみ公開日が限定されています。以下の計3期間のみの公開です。ご注意下さい。(特別室の現会期の公開は1/12まで。)
[特別室の2015年の公開日]
第1回:2015年1月2日(金)~1月12日(月・祝)
第2回:2015年3月23日(月)~4月5日(日)
第3回:2015年10月27日(火)~11月8日(日)
特別室以外は基本的に東京国立博物館の開館日に準じて公開されるそうです。(記念室の現展示の会期は2/1まで。)
黒田記念館正面
外観しかり、内部のアールヌーヴォ風の装飾など、建物自体にも見るべき点の多い黒田記念館。入場は何と無料です。
博物館の観覧の際には是非とも立ち寄られることをおすすめします。
「黒田記念館リニューアルオープン」 東京国立博物館(@TNM_PR)
会期:1月2日(金)~2月1日(日)
休館:月曜日。但し1月12日(月・祝)は開館。
料金:無料。
時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR上野駅公園口より徒歩12分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩17分。
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損保ジャパン日本興亜美術館にて「クインテット2ー五つ星の作家たち」が開催されます
1月10日(土)より損保ジャパン日本興亜美術館にて「クインテット2ー五つ星の作家たち」展が始まります。
「クインテット」とは「将来有望な5人の作家たちを紹介する」(公式サイトより)という現代美術の企画展シリーズ。2014年に続いての第二弾です。
参加するのは以下の5名。全て女性、いわゆる絵画の表現をとる作家たちです。またいずれも過去にVOCAやDOMANI展などへ出展した経験を持っています。
富岡直子(1966年、神奈川県生まれ。)
平体文枝(1966年、石川県生まれ。)
岩尾恵都子(1968年、東京都生まれ。)
水村綾子(1969年、群馬県生まれ。)
山本晶(1969年、東京都生まれ。)
今回のテーマは「風景」です。日常生活の中で捉えた光や色、それに景色を作家なりの視点で描いていく。注意すべきは必ずしも具象ではないことです。いわゆる心象風景を捉えています。
水村綾子「scale」 2013年 油彩・キャンバス
チラシの画像を見る限りでは色彩豊かな作品が多いのではないかと思いました。また透けるような色合いも美しい。その意味では実際の画肌、質感を会場で味わいたいところでもあります。
富岡直子「resonance-2」 2008年 アクリル・麻布・パネル 長塚秀人撮影、個人蔵
今活動中の作家によるグループ展です。ゆえに作家の生の声を聞くことが出来るのもポイントです。会期中には出品作家によるトークも行われます。
[アーティスト・トーク](当日自由参加。いずれも14時より)
1月10日(土) 富岡直子・平体文枝・岩尾恵都子
1月17日(土) 水村綾子・山本晶
岩尾恵都子「赤岳」 2013年 油彩・キャンバス 佐々木敏晴撮影
また前回展に続いて会場内の撮影が来ます。(収蔵品コーナーは不可)写真は非営利目的のみ、ブログやSNSで利用することも可能です。
平体文枝「池のおもてをみつめていると」 2012年 油彩・キャンバス 佐々木敏晴撮影
昨年の第一回クインテットでは、かねてより展示を追ってきた浅見貴子の作品を見られたのがとても印象的でした。
「クインテットー五つ星の作家たち」 損保ジャパン東郷青児美術館(はろるど)
「心象風景」は画家の心の中の景色であるとともに、見る者一人一人の心を投影するようなことがあります。
山本晶「Soughing」 2012年 油彩・キャンバス 長塚秀人撮影
作品の前に立ち、互いの響きあう様に身を委ねてみる。静かに絵画と向きあえる展示となりそうです。
[2015年 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館 展覧会スケジュール]
「クインテット2 五つ星の画家たち」
会期:1月10日(土)~2月15日(日)
5人の現代作家を紹介するシリーズ企画第2弾。富岡直子、平体文枝、岩尾恵都子、水村綾子、山本晶の近作・新作約70点を展示する。
「FACE展2015」
会期:2月21日(土)~3月29日(日)
第3回目となる公募コンクール展。入選した作品70点を展示。オーディエンス賞も授与する。
「ユトリロ&ヴァラドン展:母と子の物語」(仮称)
会期:4月18日(土)~6月28日(日)
ユトリロ、及びユトリロの母で画家でもあるスュザンヌ・ヴァラドンの作品を紹介する。ユトリロ40~45点、ヴァラドン25~30点の作品を展示。
「安野光雅展:ヨーロッパ周遊旅行」(仮称)
会期:7月7日(火)~8月23日(日)
画家や絵本作家として活動する安野光雅の主に風景を描いた作品に着目する展覧会。津和野町立安野光雅美術館コレクションの風景画や「旅の絵本」などの水彩原画113点を展示する。
「ベル・エポックの時代の画家たち~カリエール、ル・シダネル、アマン・ジャン」(仮称)
会期:9月5日(土)~11月8日(日)
20世紀初頭のフランスにおいて結成された「画家彫刻家新協会」の画家を紹介する。カリエール、クラウス、ローラン、マルタン、シダネル、コッテなど。全60~70点を予定。
「クインテット2ー五つ星の作家たち」は西新宿の東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館にて1月10日から始まります。
「クインテット2ー五つ星の作家たち」 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
会期:1月10日(土)~2月15日(日)
休館:月曜日。但し1/12は開館。翌13日も開館。
時間:10:00~18:00 毎週金曜日は20時まで。 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般500(400)円、大学・高校生300(200)円、中学生以下無料。
*( )は20名以上の団体料金。
住所:新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン日本興亜本社ビル42階
交通:JR線新宿駅西口、東京メトロ丸ノ内線新宿駅・西新宿駅、都営大江戸線新宿西口駅より徒歩5分。
「クインテット」とは「将来有望な5人の作家たちを紹介する」(公式サイトより)という現代美術の企画展シリーズ。2014年に続いての第二弾です。
参加するのは以下の5名。全て女性、いわゆる絵画の表現をとる作家たちです。またいずれも過去にVOCAやDOMANI展などへ出展した経験を持っています。
富岡直子(1966年、神奈川県生まれ。)
平体文枝(1966年、石川県生まれ。)
岩尾恵都子(1968年、東京都生まれ。)
水村綾子(1969年、群馬県生まれ。)
山本晶(1969年、東京都生まれ。)
今回のテーマは「風景」です。日常生活の中で捉えた光や色、それに景色を作家なりの視点で描いていく。注意すべきは必ずしも具象ではないことです。いわゆる心象風景を捉えています。
水村綾子「scale」 2013年 油彩・キャンバス
チラシの画像を見る限りでは色彩豊かな作品が多いのではないかと思いました。また透けるような色合いも美しい。その意味では実際の画肌、質感を会場で味わいたいところでもあります。
富岡直子「resonance-2」 2008年 アクリル・麻布・パネル 長塚秀人撮影、個人蔵
今活動中の作家によるグループ展です。ゆえに作家の生の声を聞くことが出来るのもポイントです。会期中には出品作家によるトークも行われます。
[アーティスト・トーク](当日自由参加。いずれも14時より)
1月10日(土) 富岡直子・平体文枝・岩尾恵都子
1月17日(土) 水村綾子・山本晶
岩尾恵都子「赤岳」 2013年 油彩・キャンバス 佐々木敏晴撮影
また前回展に続いて会場内の撮影が来ます。(収蔵品コーナーは不可)写真は非営利目的のみ、ブログやSNSで利用することも可能です。
平体文枝「池のおもてをみつめていると」 2012年 油彩・キャンバス 佐々木敏晴撮影
昨年の第一回クインテットでは、かねてより展示を追ってきた浅見貴子の作品を見られたのがとても印象的でした。
「クインテットー五つ星の作家たち」 損保ジャパン東郷青児美術館(はろるど)
「心象風景」は画家の心の中の景色であるとともに、見る者一人一人の心を投影するようなことがあります。
山本晶「Soughing」 2012年 油彩・キャンバス 長塚秀人撮影
作品の前に立ち、互いの響きあう様に身を委ねてみる。静かに絵画と向きあえる展示となりそうです。
[2015年 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館 展覧会スケジュール]
「クインテット2 五つ星の画家たち」
会期:1月10日(土)~2月15日(日)
5人の現代作家を紹介するシリーズ企画第2弾。富岡直子、平体文枝、岩尾恵都子、水村綾子、山本晶の近作・新作約70点を展示する。
「FACE展2015」
会期:2月21日(土)~3月29日(日)
第3回目となる公募コンクール展。入選した作品70点を展示。オーディエンス賞も授与する。
「ユトリロ&ヴァラドン展:母と子の物語」(仮称)
会期:4月18日(土)~6月28日(日)
ユトリロ、及びユトリロの母で画家でもあるスュザンヌ・ヴァラドンの作品を紹介する。ユトリロ40~45点、ヴァラドン25~30点の作品を展示。
「安野光雅展:ヨーロッパ周遊旅行」(仮称)
会期:7月7日(火)~8月23日(日)
画家や絵本作家として活動する安野光雅の主に風景を描いた作品に着目する展覧会。津和野町立安野光雅美術館コレクションの風景画や「旅の絵本」などの水彩原画113点を展示する。
「ベル・エポックの時代の画家たち~カリエール、ル・シダネル、アマン・ジャン」(仮称)
会期:9月5日(土)~11月8日(日)
20世紀初頭のフランスにおいて結成された「画家彫刻家新協会」の画家を紹介する。カリエール、クラウス、ローラン、マルタン、シダネル、コッテなど。全60~70点を予定。
「クインテット2ー五つ星の作家たち」は西新宿の東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館にて1月10日から始まります。
「クインテット2ー五つ星の作家たち」 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
会期:1月10日(土)~2月15日(日)
休館:月曜日。但し1/12は開館。翌13日も開館。
時間:10:00~18:00 毎週金曜日は20時まで。 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般500(400)円、大学・高校生300(200)円、中学生以下無料。
*( )は20名以上の団体料金。
住所:新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン日本興亜本社ビル42階
交通:JR線新宿駅西口、東京メトロ丸ノ内線新宿駅・西新宿駅、都営大江戸線新宿西口駅より徒歩5分。
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「博物館に初もうで」 東京国立博物館
東京国立博物館
「博物館に初もうで」
1/2~1/12
東京国立博物館で開催中の「博物館に初もうで」を見て来ました。
すっかり東博の新春イベントとして定着した「博物館に初もうで」。干支に因む文物を集めた特集展示のほか、「松林図屏風」をはじめとした新春特別公開、さらには和太鼓や獅子舞の演舞(1/2、1/3限定)などが行われています。
まずは2階の国宝室です。恒例の「松林図屏風」のお披露目。ご覧の通りの人出、さすがの人気ぶりを伺わせます。
国宝「松林図屏風」長谷川等伯 安土桃山時代・16世紀 本館2室(国宝室) *展示期間:1/12まで
とは言うもの、別に観覧の際に列が出来ているわけでもありません。最前列で等伯一流の筆致を味わうことも可能です。改めてこの屏風の独特の空気感、その仄かな光の移ろいに感心させられました。
「ひつじと吉祥」展示風景 本館特別1室
同じく2階の特別1室では「ひつじと吉祥」が開催中です。言うまでもなく羊をモチーフとした作品を集めたものですが、興味深いのは思いの外に日本の品が少ないことです。つまり中東や中国といった地域の考古品や美術品が多いのです。
重要文化財「羊図(唐絵手鑑「筆耕園」のうち)」 趙福 明時代・16世紀 *展示期間:1/12まで
それもそのはず、羊は本来、日本には生息しなかった動物です。実物が持ち込まれたのは近代、明治時代のことでした。もちろんそれ以前にも図像なりで認識されていましたが、あくまでも想像上の動物に過ぎません。また羊と山羊を混同することも少なくない。羊を吉祥のモチーフとして捉えることもなかったそうです。
「よきことを菊の十二支」 歌川国芳 江戸時代・19世紀 本館特別1室 *展示期間:1/12まで
とは言え国芳の発想力は素晴らしい。「よきことを菊の十二支」では何と干支の動物を菊の花に見立てて描いています。羊の毛も菊の花の一部でした。
「色絵荒磯文鉢」 伊万里 江戸時代・17~18世紀 本館8室 *展示期間:2/22まで
「新春特別公開」は何も松林図だけではありません。例えば伊万里の「色絵荒磯文鉢」も艶やかで美しいもの。豪華絢爛とはこのことでしょうか。波濤と鯉の紋様が目を引きます。元禄期には明の景徳鎮の流行を受け、このような金欄手の伊万里が多く作られたそうです。
「東行記」 烏丸光広 江戸時代・17世紀 本館8室 *展示期間:1/12まで
烏丸光広の「東行記」はどうでしょうか。和歌とスケッチによる旅日記です。公卿である彼は、朝廷と幕府の斡旋役として度々京都から江戸へと通ったとか。本作でもその際の紀行文が元になっています。
「十二支図三所物」 後藤延乗 江戸時代・18世紀 本館13室 *展示期間:2/15まで
出展作品中、一番小さな羊かもしれません。江戸時代の「十二支図三所物」です。いわゆる刀の飾りである三所物、十二支の動物が象られていますが、その中にも確かに羊がいます。よくよく目を凝らさないと分かりません。
「揺銭樹」 後漢時代・1~2世紀 東洋館5室 *展示期間:5/10まで
東洋館にも羊がいました。中国の「揺銭樹」です。いわゆるお目出度い金のなる木。青銅製の樹木には龍や鳳凰、仙人などがあしらわれていますが、はじめ羊がどこにいるか分かりませんでした。答えは下部、台座の部分です。こちらは陶器製。上に仙人が乗っています。実のところこれまでも何度か見て来たつもりでしたが、羊がいることには今回初めて気がつきました。
なお本館を含め、羊の作品は東洋館や法隆寺宝物館にも点在します。見つけるのも大変という声も聞こえてきそうですが、それを手軽に補ってくれたのが、ワークシート「羊めぐりマップ」でした。
「羊めぐりマップ」パネル
マップには羊の作品の一部が紹介されています。しかも裏はカレンダーという優れもの。先着10000名の配布です。館内を廻るのに重宝しました。
新春イベント「獅子舞」
本館前の特設ステージでは太鼓や獅子舞の演舞も行われていました。お正月気分を盛り上げてくれます。(1月2日、3日のみ)
「いけばな」 蔵重伸 本館エントランスホール *展示期間:1/12まで
私自身も年明けは「初もうで展」からスタートするのが習慣と化したような気がします。今年も楽しめました。
東京国立博物館正門チケットブース(1/2、14時頃)
さて混雑の情報です。私は初日2日の14時前に博物館に入りましたが、それなりに盛況でした。また正門のチケットブースでは約10分ほどの入場待ちの列も出来ていました。
東京国立博物館正門付近より
ただ館内は「松林図屏風」を除けば、凄く混んでいるというわけでもありません。思っていたよりもスムーズでした。
なおチケットはJR上野駅構内、公園口近くにある「MUSEUM TICKETS」(上野の美術館や博物館の入場券を販売しているブースです。)でも購入出来ます。
こちらは行列も皆無です。JR線を利用される方は、事前に構内ブースでチケットを買っておいた方が良さそうです。
黒田記念館
2日には長らく耐震改修工事を行っていた黒田記念館も全面リニューアルオープンしました。新設の特別室では現在、期間限定にて「湖畔」や「読書」、それに「智・感・情」などの名品も公開されています。(現公開会期は1月12日まで。)
「初もうで展」観覧の折には黒田記念館も見て回ることをおすすめします。(記念館については別エントリでまとめます。)
「羊石像」 朝鮮時代・18~19世紀 屋外 展示期間:通年
1月12日まで開催されています。
「博物館に初もうで」 東京国立博物館(@TNM_PR)
会期:1月2日(金)~1月12日(月)
休館:月曜日。但し1月12日(月・祝)は開館。
料金:一般620円(520円)、大学生410円(310円)、高校生以下無料。
* ( )内は20名以上の団体料金。
時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩15分。
「博物館に初もうで」
1/2~1/12
東京国立博物館で開催中の「博物館に初もうで」を見て来ました。
すっかり東博の新春イベントとして定着した「博物館に初もうで」。干支に因む文物を集めた特集展示のほか、「松林図屏風」をはじめとした新春特別公開、さらには和太鼓や獅子舞の演舞(1/2、1/3限定)などが行われています。
まずは2階の国宝室です。恒例の「松林図屏風」のお披露目。ご覧の通りの人出、さすがの人気ぶりを伺わせます。
国宝「松林図屏風」長谷川等伯 安土桃山時代・16世紀 本館2室(国宝室) *展示期間:1/12まで
とは言うもの、別に観覧の際に列が出来ているわけでもありません。最前列で等伯一流の筆致を味わうことも可能です。改めてこの屏風の独特の空気感、その仄かな光の移ろいに感心させられました。
「ひつじと吉祥」展示風景 本館特別1室
同じく2階の特別1室では「ひつじと吉祥」が開催中です。言うまでもなく羊をモチーフとした作品を集めたものですが、興味深いのは思いの外に日本の品が少ないことです。つまり中東や中国といった地域の考古品や美術品が多いのです。
重要文化財「羊図(唐絵手鑑「筆耕園」のうち)」 趙福 明時代・16世紀 *展示期間:1/12まで
それもそのはず、羊は本来、日本には生息しなかった動物です。実物が持ち込まれたのは近代、明治時代のことでした。もちろんそれ以前にも図像なりで認識されていましたが、あくまでも想像上の動物に過ぎません。また羊と山羊を混同することも少なくない。羊を吉祥のモチーフとして捉えることもなかったそうです。
「よきことを菊の十二支」 歌川国芳 江戸時代・19世紀 本館特別1室 *展示期間:1/12まで
とは言え国芳の発想力は素晴らしい。「よきことを菊の十二支」では何と干支の動物を菊の花に見立てて描いています。羊の毛も菊の花の一部でした。
「色絵荒磯文鉢」 伊万里 江戸時代・17~18世紀 本館8室 *展示期間:2/22まで
「新春特別公開」は何も松林図だけではありません。例えば伊万里の「色絵荒磯文鉢」も艶やかで美しいもの。豪華絢爛とはこのことでしょうか。波濤と鯉の紋様が目を引きます。元禄期には明の景徳鎮の流行を受け、このような金欄手の伊万里が多く作られたそうです。
「東行記」 烏丸光広 江戸時代・17世紀 本館8室 *展示期間:1/12まで
烏丸光広の「東行記」はどうでしょうか。和歌とスケッチによる旅日記です。公卿である彼は、朝廷と幕府の斡旋役として度々京都から江戸へと通ったとか。本作でもその際の紀行文が元になっています。
「十二支図三所物」 後藤延乗 江戸時代・18世紀 本館13室 *展示期間:2/15まで
出展作品中、一番小さな羊かもしれません。江戸時代の「十二支図三所物」です。いわゆる刀の飾りである三所物、十二支の動物が象られていますが、その中にも確かに羊がいます。よくよく目を凝らさないと分かりません。
「揺銭樹」 後漢時代・1~2世紀 東洋館5室 *展示期間:5/10まで
東洋館にも羊がいました。中国の「揺銭樹」です。いわゆるお目出度い金のなる木。青銅製の樹木には龍や鳳凰、仙人などがあしらわれていますが、はじめ羊がどこにいるか分かりませんでした。答えは下部、台座の部分です。こちらは陶器製。上に仙人が乗っています。実のところこれまでも何度か見て来たつもりでしたが、羊がいることには今回初めて気がつきました。
なお本館を含め、羊の作品は東洋館や法隆寺宝物館にも点在します。見つけるのも大変という声も聞こえてきそうですが、それを手軽に補ってくれたのが、ワークシート「羊めぐりマップ」でした。
「羊めぐりマップ」パネル
マップには羊の作品の一部が紹介されています。しかも裏はカレンダーという優れもの。先着10000名の配布です。館内を廻るのに重宝しました。
新春イベント「獅子舞」
本館前の特設ステージでは太鼓や獅子舞の演舞も行われていました。お正月気分を盛り上げてくれます。(1月2日、3日のみ)
「いけばな」 蔵重伸 本館エントランスホール *展示期間:1/12まで
私自身も年明けは「初もうで展」からスタートするのが習慣と化したような気がします。今年も楽しめました。
東京国立博物館正門チケットブース(1/2、14時頃)
さて混雑の情報です。私は初日2日の14時前に博物館に入りましたが、それなりに盛況でした。また正門のチケットブースでは約10分ほどの入場待ちの列も出来ていました。
東京国立博物館正門付近より
ただ館内は「松林図屏風」を除けば、凄く混んでいるというわけでもありません。思っていたよりもスムーズでした。
なおチケットはJR上野駅構内、公園口近くにある「MUSEUM TICKETS」(上野の美術館や博物館の入場券を販売しているブースです。)でも購入出来ます。
こちらは行列も皆無です。JR線を利用される方は、事前に構内ブースでチケットを買っておいた方が良さそうです。
黒田記念館
2日には長らく耐震改修工事を行っていた黒田記念館も全面リニューアルオープンしました。新設の特別室では現在、期間限定にて「湖畔」や「読書」、それに「智・感・情」などの名品も公開されています。(現公開会期は1月12日まで。)
「初もうで展」観覧の折には黒田記念館も見て回ることをおすすめします。(記念館については別エントリでまとめます。)
「羊石像」 朝鮮時代・18~19世紀 屋外 展示期間:通年
1月12日まで開催されています。
「博物館に初もうで」 東京国立博物館(@TNM_PR)
会期:1月2日(金)~1月12日(月)
休館:月曜日。但し1月12日(月・祝)は開館。
料金:一般620円(520円)、大学生410円(310円)、高校生以下無料。
* ( )内は20名以上の団体料金。
時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩15分。
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1月の展覧会・ギャラリーetc
1月中に見たい展覧会をリストアップしてみました。
展覧会
・「博物館に初もうで」 東京国立博物館(1/2~1/12)
・「雪と月と花 『雪松図』と四季の草花」 三井記念美術館(~1/24)
・「没後15年記念 東山魁夷と日本の四季」 山種美術館(~2/1)
・「ヂョン・ヨンドゥ 地上の道のように」 水戸芸術館(~2/1)
・「岡田美術館所蔵 琳派名品展 日本橋三越本店(1/21~2/2)
・「難波田史男の世界 イメージの冒険」 世田谷美術館(~2/8)
・「クインテット2ー五つ星の作家たち」 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(1/10~2/15)
・「動物礼讃ー大英博物館から双羊尊がやってきた」 根津美術館(1/10~2/22)
・「ホイッスラー展」 横浜美術館(~3/1)
・「天才陶工 仁阿弥道八」 サントリー美術館(~3/1)
・「3.11大津波と文化財の再生」 東京国立博物館(1/14~3/15)
・「THE 琳派ー極めつきの畠山コレクション」 畠山記念館(1/17~3/15)
・「スサノヲの到来ーいのち、いかり、いのり」 DIC川村記念美術館(1/24~3/22)
・「菅木志雄展 置かれた存在性/未見の星座(コンステレーション)」 東京都現代美術館(1/24~3/22)
・「スイスデザイン展」 東京オペラシティ アートギャラリー(1/17~3/29)
・「パスキン展」 パナソニック汐留ミュージアム(1/17~3/29)
・「新印象派ー光と色のドラマ」 東京都美術館(1/24~3/29)
・「みちのくの仏像」 東京国立博物館(1/14~4/5)
・「幻想絶佳:アール・デコと古典主義」 東京都庭園美術館(1/17~4/7)
・「ガブリエル・オロスコ展」 東京都現代美術館(1/24~5/10)
・「蜷川実花:Self-image」 原美術館(1/24~5/10)
ギャラリー
・「開発好明 日の出・月の出 印象」 ギャラリー・ハシモト(~1/17)
・「第9回シセイドウアートエッグ 川内理香子」 資生堂ギャラリー(1/9~2/1)
・「木村崇人個展ーテーブルの上/下から」 アートフロントギャラリー(1/9~2/1)
・「末永史尚 放課後リミックス」 Maki Fine Arts(1/10~2/1)
・「高橋大輔 アメシヤボ 見たいものがある」 アルマスギャラリー(~2/7)
・「土屋仁応 新作彫刻展」 メグミオギタギャラリー(1/9~2/7)
・「パランプセストー重ね書きされた記憶/記憶の重ね書き vol.6 西原功織」 ギャラリーαM(1/10~2/7)
・「鬼頭健吾 Reflection 反映」 ケンジタキギャラリー(1/16~2/28)
1月は新たな年の幕開けです。新しく始まる展覧会がいくつもあります。
まず楽しみなのは日本橋三越の琳派展です。箱根は岡田美術館のコレクションがやって来ます。
「岡田美術館所蔵 琳派名品展」@日本橋三越本店(1/21~2/2)
私も昨年、岡田美術館に行く機会があり、琳派を含め、実に見事な作品に驚いたものですが、さすがに箱根となると頻繁には通えません。それを都心の日本橋で手軽に堪能出来るわけです。
「大観・春草・御舟と日本美術院の画家たち」 岡田美術館(はろるど)
そして今年は何と言っても光悦が高峯の土地を拝領してから400年、光琳没後300年という琳派のメモリアルイヤーでもあります。
「琳派四百年記念祭 RIMPA2015」公式サイト
2月には熱海のMOA、4月の根津のほか、秋には京博でも琳派展が企画されていますが、今回はそのトップバッターとも言うべき展覧会ではないでしょうか。17日から畠山記念館で始まる「THE 琳派」とあわせて出かけたいと思います。
いわゆる「もの派」の作家として知られる菅木志雄の個展が東京都現代美術館で行われます。
「菅木志雄展 置かれた存在性」@東京都現代美術館(1/24~3/22)
石や木に金属を用いたオブジェ、もしくはインスタレーションともとれる作品を展開する菅ですが、実は私が現代美術を見始めた頃から不思議と好きになった作家の一人でした。
都現美の広大なスペースをどう利用するのか。その辺りの展開にも期待したいと思います。
三井記念の「雪と月と花」展において1月4日より国宝の「雪松図」が公開されます。
「雪と月と花 『雪松図』と四季の草花」@三井記念美術館(2014/12/11~2015/1/24)
応挙の「雪松図」、毎年お正月になると見ている気がします。今年も早々に行くつもりです。
それでは今月もどうぞ宜しくお願いします。
展覧会
・「博物館に初もうで」 東京国立博物館(1/2~1/12)
・「雪と月と花 『雪松図』と四季の草花」 三井記念美術館(~1/24)
・「没後15年記念 東山魁夷と日本の四季」 山種美術館(~2/1)
・「ヂョン・ヨンドゥ 地上の道のように」 水戸芸術館(~2/1)
・「岡田美術館所蔵 琳派名品展 日本橋三越本店(1/21~2/2)
・「難波田史男の世界 イメージの冒険」 世田谷美術館(~2/8)
・「クインテット2ー五つ星の作家たち」 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(1/10~2/15)
・「動物礼讃ー大英博物館から双羊尊がやってきた」 根津美術館(1/10~2/22)
・「ホイッスラー展」 横浜美術館(~3/1)
・「天才陶工 仁阿弥道八」 サントリー美術館(~3/1)
・「3.11大津波と文化財の再生」 東京国立博物館(1/14~3/15)
・「THE 琳派ー極めつきの畠山コレクション」 畠山記念館(1/17~3/15)
・「スサノヲの到来ーいのち、いかり、いのり」 DIC川村記念美術館(1/24~3/22)
・「菅木志雄展 置かれた存在性/未見の星座(コンステレーション)」 東京都現代美術館(1/24~3/22)
・「スイスデザイン展」 東京オペラシティ アートギャラリー(1/17~3/29)
・「パスキン展」 パナソニック汐留ミュージアム(1/17~3/29)
・「新印象派ー光と色のドラマ」 東京都美術館(1/24~3/29)
・「みちのくの仏像」 東京国立博物館(1/14~4/5)
・「幻想絶佳:アール・デコと古典主義」 東京都庭園美術館(1/17~4/7)
・「ガブリエル・オロスコ展」 東京都現代美術館(1/24~5/10)
・「蜷川実花:Self-image」 原美術館(1/24~5/10)
ギャラリー
・「開発好明 日の出・月の出 印象」 ギャラリー・ハシモト(~1/17)
・「第9回シセイドウアートエッグ 川内理香子」 資生堂ギャラリー(1/9~2/1)
・「木村崇人個展ーテーブルの上/下から」 アートフロントギャラリー(1/9~2/1)
・「末永史尚 放課後リミックス」 Maki Fine Arts(1/10~2/1)
・「高橋大輔 アメシヤボ 見たいものがある」 アルマスギャラリー(~2/7)
・「土屋仁応 新作彫刻展」 メグミオギタギャラリー(1/9~2/7)
・「パランプセストー重ね書きされた記憶/記憶の重ね書き vol.6 西原功織」 ギャラリーαM(1/10~2/7)
・「鬼頭健吾 Reflection 反映」 ケンジタキギャラリー(1/16~2/28)
1月は新たな年の幕開けです。新しく始まる展覧会がいくつもあります。
まず楽しみなのは日本橋三越の琳派展です。箱根は岡田美術館のコレクションがやって来ます。
「岡田美術館所蔵 琳派名品展」@日本橋三越本店(1/21~2/2)
私も昨年、岡田美術館に行く機会があり、琳派を含め、実に見事な作品に驚いたものですが、さすがに箱根となると頻繁には通えません。それを都心の日本橋で手軽に堪能出来るわけです。
「大観・春草・御舟と日本美術院の画家たち」 岡田美術館(はろるど)
そして今年は何と言っても光悦が高峯の土地を拝領してから400年、光琳没後300年という琳派のメモリアルイヤーでもあります。
「琳派四百年記念祭 RIMPA2015」公式サイト
2月には熱海のMOA、4月の根津のほか、秋には京博でも琳派展が企画されていますが、今回はそのトップバッターとも言うべき展覧会ではないでしょうか。17日から畠山記念館で始まる「THE 琳派」とあわせて出かけたいと思います。
いわゆる「もの派」の作家として知られる菅木志雄の個展が東京都現代美術館で行われます。
「菅木志雄展 置かれた存在性」@東京都現代美術館(1/24~3/22)
石や木に金属を用いたオブジェ、もしくはインスタレーションともとれる作品を展開する菅ですが、実は私が現代美術を見始めた頃から不思議と好きになった作家の一人でした。
都現美の広大なスペースをどう利用するのか。その辺りの展開にも期待したいと思います。
三井記念の「雪と月と花」展において1月4日より国宝の「雪松図」が公開されます。
「雪と月と花 『雪松図』と四季の草花」@三井記念美術館(2014/12/11~2015/1/24)
応挙の「雪松図」、毎年お正月になると見ている気がします。今年も早々に行くつもりです。
それでは今月もどうぞ宜しくお願いします。
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謹賀新年 2015
新年明けましておめでとうございます。
今年も皆さまにとって素晴らしい一年となりますよう、心からお祈り申し上げます。
お正月は如何お過ごしでしょうか。私は寝正月ならぬ地味な正月になりそうです。まずは近場の神社にご挨拶した後、2日か3日に東京国立博物館の「初もうで展」へ行くつもりです。
都内近郊で年明け早々(10日まで)に新しくスタートする展覧会は以下の通りです。
「西洋絵画の世界 山寺 後藤美術館コレクション展」 そごう美術館(1/1~1/25)
「博物館に初もうで」 東京国立博物館(1/2~1/12)
「生誕120年 時代小説の挿絵画家 小田富弥展」 弥生美術館(1/3~3/29)
「ブラティスラヴァ世界絵本原画展」 千葉市美術館(1/4~3/1)
「新春太田コレクション展」 太田記念美術館(1/6~1/28)
「信長からの手紙~細川コレクションの信長文書59通一挙公開!」 永青文庫(1/6~3/15)
「江戸の暮らしと伊万里焼展」 戸栗美術館(1/6~3/22)
「わたしの好きなシロカネ・アート Vol.1 あなたが選ぶ、松岡コレクション」 松岡美術館(1/6~3/29)
「物語絵ー〈ことば〉と〈かたち〉」 出光美術館(1/10~2/15)
「クインテット2ー五つ星の作家たち」 損保ジャパン日本興亜美術館(1/10~2/15)
「動物礼讃ー大英博物館から双羊尊がやってきた」 根津美術館(1/10~2/22)
「横山大観と『富士百趣』を描いた日本画家たち」 講談社野間記念館(1/10~3/1)
「文字の美ー工芸的な文字の世界」 日本民藝館(1/10~3/22)
「もっと知りたい!イスラーム展」 東洋文庫ミュージアム(1/10~4/12)
4日が日曜ということもあり、3が日+1日お休みという方も多いのではないでしょうか。美術館や博物館での新春企画といえば、東京国立博物館の「初もうで展」と東京都写真美術館の「写美でお正月」が良く知られていますが、写美に関しては現在、大規模改修工事のため長期休館中(2016年秋まで)です。イベントはありません。
2日は東京国立近代美術館の所蔵作品展が完全無料です。さらに数量限定でオリジナルグッズや図録やポスターのプレゼントもあります。
「2015年1月2日(金)無料観覧日、お年玉プレゼントのお知らせ」@東京国立近代美術館
東京都現代美術館の所蔵作品展「MOTコレクション」も2、3日とも無料で観覧出来ます。
「【年末年始】12/28-1/1は休館し、1/2から開館します。」@東京都現代美術館
「東山魁夷と日本の四季」展の開催中の山種美術館も、新春開館初日の1月3日、先着100名に限りプチギフトがプレゼントされるそうです。
「2015年開館初日1月3日(土)ご来館の方先着100名様限定プレゼント」@山種美術館
今年も見たものや聞いたものの印象を率直に記していくつもりです。
それでは本年も「はろるど」をどうぞ宜しくお願い致します。
*上の図版は干支に因み古代中国で儀式に用いられた「双羊尊」(大英博物館蔵)です。1月10日より根津美術館で始まる「動物礼讃」展で公開されます。
今年も皆さまにとって素晴らしい一年となりますよう、心からお祈り申し上げます。
お正月は如何お過ごしでしょうか。私は寝正月ならぬ地味な正月になりそうです。まずは近場の神社にご挨拶した後、2日か3日に東京国立博物館の「初もうで展」へ行くつもりです。
都内近郊で年明け早々(10日まで)に新しくスタートする展覧会は以下の通りです。
「西洋絵画の世界 山寺 後藤美術館コレクション展」 そごう美術館(1/1~1/25)
「博物館に初もうで」 東京国立博物館(1/2~1/12)
「生誕120年 時代小説の挿絵画家 小田富弥展」 弥生美術館(1/3~3/29)
「ブラティスラヴァ世界絵本原画展」 千葉市美術館(1/4~3/1)
「新春太田コレクション展」 太田記念美術館(1/6~1/28)
「信長からの手紙~細川コレクションの信長文書59通一挙公開!」 永青文庫(1/6~3/15)
「江戸の暮らしと伊万里焼展」 戸栗美術館(1/6~3/22)
「わたしの好きなシロカネ・アート Vol.1 あなたが選ぶ、松岡コレクション」 松岡美術館(1/6~3/29)
「物語絵ー〈ことば〉と〈かたち〉」 出光美術館(1/10~2/15)
「クインテット2ー五つ星の作家たち」 損保ジャパン日本興亜美術館(1/10~2/15)
「動物礼讃ー大英博物館から双羊尊がやってきた」 根津美術館(1/10~2/22)
「横山大観と『富士百趣』を描いた日本画家たち」 講談社野間記念館(1/10~3/1)
「文字の美ー工芸的な文字の世界」 日本民藝館(1/10~3/22)
「もっと知りたい!イスラーム展」 東洋文庫ミュージアム(1/10~4/12)
4日が日曜ということもあり、3が日+1日お休みという方も多いのではないでしょうか。美術館や博物館での新春企画といえば、東京国立博物館の「初もうで展」と東京都写真美術館の「写美でお正月」が良く知られていますが、写美に関しては現在、大規模改修工事のため長期休館中(2016年秋まで)です。イベントはありません。
2日は東京国立近代美術館の所蔵作品展が完全無料です。さらに数量限定でオリジナルグッズや図録やポスターのプレゼントもあります。
「2015年1月2日(金)無料観覧日、お年玉プレゼントのお知らせ」@東京国立近代美術館
東京都現代美術館の所蔵作品展「MOTコレクション」も2、3日とも無料で観覧出来ます。
「【年末年始】12/28-1/1は休館し、1/2から開館します。」@東京都現代美術館
「東山魁夷と日本の四季」展の開催中の山種美術館も、新春開館初日の1月3日、先着100名に限りプチギフトがプレゼントされるそうです。
「2015年開館初日1月3日(土)ご来館の方先着100名様限定プレゼント」@山種美術館
今年も見たものや聞いたものの印象を率直に記していくつもりです。
それでは本年も「はろるど」をどうぞ宜しくお願い致します。
*上の図版は干支に因み古代中国で儀式に用いられた「双羊尊」(大英博物館蔵)です。1月10日より根津美術館で始まる「動物礼讃」展で公開されます。
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