昨日紹介した教龍寺には二口の流転の梵鐘がみられる。鐘楼に吊り下げられている梵鐘は刻銘によると寛政11年(1799)に広島城下の妙慶院の梵鐘として芸備両国鋳物師筆頭植木直昌によって鋳造されたようである。戦時供出されていた梵鐘が戦後の混乱期に当寺へ移ったようである。
本堂脇に置かれている梵鐘は明徳5年(1394)に筑前州遠賀庄(現福岡県遠賀郡)の黒山千手寺の鐘として鋳造されたもので、その後京都の西本願寺に移り江戸末期に太秦広隆寺の鐘となった。その後どのような経路を辿ったのかは定かでないが、当寺に辿りついた流転の梵鐘で、広島県の重要文化財に指定されている。