沿露目に初めて行ったのは14年2月だから1年半前。実はその日は東京は雪でしかも夜にかけ本降り。滑らずに門前仲町駅までそろそろと歩いた記憶がある。
それから1年半、今回で4回目の訪問。市ヶ谷の『あて』という店にいたマスターが始めた日本酒×バーカウンターという店だが、今はマスターの蝶ネクタイもすっかり板についている。今回は男2人で行くが、女性比率が高いのに驚く。店はやや分かりにくく、電話も迷う人からの電話が相次ぐが、マスターは分かりにくい方がいい、何れは玄関の店の看板も取りたいとの話だった。
まずはビールで乾杯。8月後半から雨ばかりだったため、急に晴れ間が出て、ビールが美味い。お通しはコンニャクのしぐれ煮、空芯菜とジャンボナメコの和え物。特に空芯菜が山菜のようで癖のなさに驚く。
酒はひやおろしの中から春霞(秋田県)をチョイス、つまみは3品+1汁物のおまかせを注文。
最初は沖縄モズク・ただちゃのお浸し・ミョウガとさっぱりスタート。春霞は飲みやすく、すぐに空いてしまう。
2品目はムカゴのトウモロコシ味噌和え・鯖の燻製粒からし添えが登場。3品目はいくらのしょうゆ漬け。酒はたかちよ(新潟県)の活性にごり。しっかりした味のつまみに絡みつくようなネットリ感とその割に後味の良い『たかちよ』がよく合う。さらに海苔のたっぷりかかった豆腐の澄まし汁が落ち着かせてくれる。
新たに『小イカと半熟卵の煮物』『牛スジと根菜の煮物』を頼む。小イカの方は冷たく、半熟卵を崩し、土生姜と一緒に食べると思いの外アッサリ。
酒は王禄(島根県)の渓。いつもはうすにごりを呑むが、濁らない方がすっきりしている。牛スジは暖かく、しっかりした味付け。大根が美味い。
次に金目の昆布締め、煎り酒で食べると本来の魚の味が強く出て、アミノ酸か、グルタミン酸かわからないが梅が効いてあじわい深い。酒は獅子の里(京都府)の秋あがり。爽やかに味を楽しむ。
最後に万願寺とうがらしとじゃことの煎り煮、酒は少し強めに賀茂金秀(広島県)。最後はやや煮物が重なったが、温度や味付けが異なり、何れも楽しめた。
カウンターの中も一人人が増えて余裕ができたのか、ゆったり会話も愉しめるようになった気がした。それにしても酒はよく揃い、しかもリーズナブルなまさに隠れ家にしたい名店である。
沿露目(ぞろめ)
江東区富岡1ー12ー6
0358758382