このところの「刺客」報道を見るにゲームのルールが変わったと思わざるを得ない。従来のゲームのルールは大雑把に言うと政策は異なっても先ず政権を取れる政党(自民党しかない)に所属し、票を稼げる有力団体の支援を受け選挙に勝ち抜き、当選後は族議員として省益最優先の官僚と一致して支援団体の既得権益を守っていくというものであった。民も官も形を変えてこの政策決定プロセスを使って既得権益を守ってきた。
今回の衆院選では選挙の段階で政策を掲げその是非を問うものに変化した。反対候補は横暴・独裁などと過激な言葉で非難しているが、政党が政策を明確にし国民が選挙で選択するという政策決定プロセスは、日本もごく当たり前の普通の民主主義国家になったということである。争点になっている政策について政権を握る自民党が公約した政策に反対する議員に対立候補を立てるのは至極当然である。国民が判断して賛成するか否か決めるのだから横暴とはいえない。それが郵政民営化だけでよいのかという議論はあるが。
国民の意思が直接反映され政策になっていく新しいゲームのルールで戦うことの意味を理解しない政治家や報道の発言が依然として多い。郵政民営化を政局としか捉えず刺客を扇情的に伝える報道が異常に多いのは、JR西日本の事故報道の姿勢が「情」に偏り「理」を忘れ根本解決を求めないのと同じ体質を感じる。しかし、極端に言えば長期的には新ルールが定着することの意味は選挙の勝敗以上に重要なことになると私は思う。
新ルールが今回限りで後退する恐れが全くないわけではない。自公民、民主ともに過半数を取れず小泉首相は退陣、郵政民営化反対議員がキャスティング・ボートを握り、自民が政権維持のため反対議員を取り込み、新政権が従来政策決定プロセスを復活させる可能性がある。小泉政権は大博打を打ったと見る海外論調が多いのもこのシナリオを予測してのことである。しかし今回も自民、民主ともに有能な若手官僚が参画し徐々に大きな勢力を作りつつある。この選挙後彼等の影響力を無視し得ない新しい勢力分布が出現する可能性がある。政局が流動的になった場合、彼らは従来プロセスをベースにした政治グループ形成に対抗する勢力になるであろう。
現在までの報道を見ると従来プロセスの中で生きてきた反対議員は、新ルールの下での戦い方を知らず準備不十分で右往左往している。今回敗れることは、議員としては支援団体に報いる政策を決める過程での重要な役割を失い、政治的な力を失うことを意味する。以降政治の場に新しいルールの定着が進んでいく第一歩となるであろう。今回の選挙は我が国が図らずもこのような重大な転機にたち、国民が選択できる稀有な機会なのである。■
今回の衆院選では選挙の段階で政策を掲げその是非を問うものに変化した。反対候補は横暴・独裁などと過激な言葉で非難しているが、政党が政策を明確にし国民が選挙で選択するという政策決定プロセスは、日本もごく当たり前の普通の民主主義国家になったということである。争点になっている政策について政権を握る自民党が公約した政策に反対する議員に対立候補を立てるのは至極当然である。国民が判断して賛成するか否か決めるのだから横暴とはいえない。それが郵政民営化だけでよいのかという議論はあるが。
国民の意思が直接反映され政策になっていく新しいゲームのルールで戦うことの意味を理解しない政治家や報道の発言が依然として多い。郵政民営化を政局としか捉えず刺客を扇情的に伝える報道が異常に多いのは、JR西日本の事故報道の姿勢が「情」に偏り「理」を忘れ根本解決を求めないのと同じ体質を感じる。しかし、極端に言えば長期的には新ルールが定着することの意味は選挙の勝敗以上に重要なことになると私は思う。
新ルールが今回限りで後退する恐れが全くないわけではない。自公民、民主ともに過半数を取れず小泉首相は退陣、郵政民営化反対議員がキャスティング・ボートを握り、自民が政権維持のため反対議員を取り込み、新政権が従来政策決定プロセスを復活させる可能性がある。小泉政権は大博打を打ったと見る海外論調が多いのもこのシナリオを予測してのことである。しかし今回も自民、民主ともに有能な若手官僚が参画し徐々に大きな勢力を作りつつある。この選挙後彼等の影響力を無視し得ない新しい勢力分布が出現する可能性がある。政局が流動的になった場合、彼らは従来プロセスをベースにした政治グループ形成に対抗する勢力になるであろう。
現在までの報道を見ると従来プロセスの中で生きてきた反対議員は、新ルールの下での戦い方を知らず準備不十分で右往左往している。今回敗れることは、議員としては支援団体に報いる政策を決める過程での重要な役割を失い、政治的な力を失うことを意味する。以降政治の場に新しいルールの定着が進んでいく第一歩となるであろう。今回の選挙は我が国が図らずもこのような重大な転機にたち、国民が選択できる稀有な機会なのである。■