先月末に人口減少社会の到来について書き、その後世界の老齢化が長短金利差の縮小を招いているという「桶屋理論」を紹介した。実際のところ数年前頃から老齢化社会についての記事が目立って増えてきた。というより私自身がそういう記事に目が行くようになったというほうが正確かもしれない。必ずしも悲観的になる必要はないが少なくとも社会全体がゆっくりと老人化(老化ではない)しているという楽しくない印象を受ける。
7日のWポストの署名入り記事によると医者であるWinakur氏の86歳の父親が人生最期の時をどう過ごさせるのか、重い現実について長文の投稿をしている。氏は我々団塊の世代が「老人」になり、「老老人」の親の最後をどう見届けるか、団塊の世代が今後共通に迎える答えのない問題を解くような重苦しい厳しい現実を淡々と報告している。氏が老人医療専門の医者であり事情を良く知っているので非常に現実味がある記事であった。
アメリカでは4,500人が65歳以上の老人、450万人が85歳以上の老老人で、2020年までには夫々 5,300万人と650万人になるそうである。日本社会はもっと速いスピード老齢化が進んでいるが、米国でも絶対数では日本より圧倒的に多くその影響はより大きい。団塊の世代は自らが老いていきながら両親の最期を看取る現実に向き合う運命にあるのである。団塊の世代は生まれたときから最後まで「初めてXXする世代」の役割を務める運命にある。
12日のNYタイムスに面白い記事を見つけた。近年本が売れなくなった。過去5年間で売り上げが7%減少、特に日本で文庫本にあたるペーパバックが11%減少した。米国の団塊の世代(ベビー・ブーマーといわれている)が引退年齢に近づき視力が低下し小さい字が読めなくなったことがその背景にある。2大出版会社のペンギンブックスとサイモン&シャスターは一部の人気作家のペーパバック活字を大きくし行間を広げた。2、3ドル値上げしたにもかかわらず出足は好調で対象を増やしていくらしい。
これは常に市場トレンドをつくって来た団塊の世代が、引退を真近に控えても市場をリードする世代であるという分かりやすい例であると思う。堺屋太一氏は団塊の世代はこれから「黄金の10年」を迎えるという。私が先日「人口減少社会」で提案したように、子供に金をやらないことを説いている。同時に年金を上げると保険料が高くなるので若い世代は益々高齢者の金をあてにする。それより自分自身のために金を使い60歳代の需要を増やし新しい市場を作ろうと主張している。
冒頭のWinakur氏は米国は若者崇拝社会youth-worshiping societyであるが、日本は子供(私風に言うと“ガキ”)回帰願望文化であったと思う。団塊の世代がお金を使って消費スタイルを変えれば日本文化をもっと成熟させ、更に若者文化と合わせ多様化・活性化させ、老人の資産を次世代に循環させ新しい日本を作っていく基盤つくりに貢献できるのである。
私の田舎の愛媛県大洲市のWebサイトでチェックすると、合併後周辺の山村地区が組み入れられ65歳以上の人口は既に27%を超えているという。日本の多くの農村部はすでに高齢化社会に入っている。会社勤めをしている時、同じ世代の同僚と休憩時間に郷里の両親をどうするのかについて情報交換することが多かった。私も田舎に一人暮らしの母がいていつかはWinakur氏と同じ経験をすることになると覚悟はしているものの明確なプランがあるわけではない。何とか母親に元気でいて欲しいと願うしかないが、いつかはそのときが来る。何とか「黄金の10年」になるよう知恵を絞って行きたい。■
7日のWポストの署名入り記事によると医者であるWinakur氏の86歳の父親が人生最期の時をどう過ごさせるのか、重い現実について長文の投稿をしている。氏は我々団塊の世代が「老人」になり、「老老人」の親の最後をどう見届けるか、団塊の世代が今後共通に迎える答えのない問題を解くような重苦しい厳しい現実を淡々と報告している。氏が老人医療専門の医者であり事情を良く知っているので非常に現実味がある記事であった。
アメリカでは4,500人が65歳以上の老人、450万人が85歳以上の老老人で、2020年までには夫々 5,300万人と650万人になるそうである。日本社会はもっと速いスピード老齢化が進んでいるが、米国でも絶対数では日本より圧倒的に多くその影響はより大きい。団塊の世代は自らが老いていきながら両親の最期を看取る現実に向き合う運命にあるのである。団塊の世代は生まれたときから最後まで「初めてXXする世代」の役割を務める運命にある。
12日のNYタイムスに面白い記事を見つけた。近年本が売れなくなった。過去5年間で売り上げが7%減少、特に日本で文庫本にあたるペーパバックが11%減少した。米国の団塊の世代(ベビー・ブーマーといわれている)が引退年齢に近づき視力が低下し小さい字が読めなくなったことがその背景にある。2大出版会社のペンギンブックスとサイモン&シャスターは一部の人気作家のペーパバック活字を大きくし行間を広げた。2、3ドル値上げしたにもかかわらず出足は好調で対象を増やしていくらしい。
これは常に市場トレンドをつくって来た団塊の世代が、引退を真近に控えても市場をリードする世代であるという分かりやすい例であると思う。堺屋太一氏は団塊の世代はこれから「黄金の10年」を迎えるという。私が先日「人口減少社会」で提案したように、子供に金をやらないことを説いている。同時に年金を上げると保険料が高くなるので若い世代は益々高齢者の金をあてにする。それより自分自身のために金を使い60歳代の需要を増やし新しい市場を作ろうと主張している。
冒頭のWinakur氏は米国は若者崇拝社会youth-worshiping societyであるが、日本は子供(私風に言うと“ガキ”)回帰願望文化であったと思う。団塊の世代がお金を使って消費スタイルを変えれば日本文化をもっと成熟させ、更に若者文化と合わせ多様化・活性化させ、老人の資産を次世代に循環させ新しい日本を作っていく基盤つくりに貢献できるのである。
私の田舎の愛媛県大洲市のWebサイトでチェックすると、合併後周辺の山村地区が組み入れられ65歳以上の人口は既に27%を超えているという。日本の多くの農村部はすでに高齢化社会に入っている。会社勤めをしている時、同じ世代の同僚と休憩時間に郷里の両親をどうするのかについて情報交換することが多かった。私も田舎に一人暮らしの母がいていつかはWinakur氏と同じ経験をすることになると覚悟はしているものの明確なプランがあるわけではない。何とか母親に元気でいて欲しいと願うしかないが、いつかはそのときが来る。何とか「黄金の10年」になるよう知恵を絞って行きたい。■