Topix.netを使って安倍新政権誕生の世界のニュースを追ってみた。米英およびアジアの英語新聞から昨日約80、今朝約50の記事があった。殆どの記事は安倍氏がhawkish、nationalist、outspoken-conservativeと言うレッテルを貼って書き出していた。安倍氏がタカ派というのは世界共通の見方のようだ。
政策的には日中関係の改善への期待する一方で、構造改革がスローダウンする懸念が経済界にあると報じられている。安倍氏の右翼的性格はワシントンには良いものの、中国との関係改善は容易ではないだろうと言う見方もある。尾身氏が竹中氏に比べ日銀の独立性を尊重する発言が意外と大きい扱いであった。
小泉氏に比べカリスマ性がなく改革が進まなくなる懸念があり構造改革の継続性が注目されている一方、格差問題には触れられていない。教育改革など国内に閉じる政策は注目されてないのは当然だろう。米国大統領型の補佐官を揃えた新しいスタイルも殆どの記事は触れていない。
日本のメディアがこぞって紹介したワシントンポストの社説は実にバランスが取れた見方だった。米国の地方紙でこの記事を引用しているところを1社見つけたが、その他はそれほど日本の政治事情に通じてないと思われコメントをつけず報道する姿勢だった。寧ろ興味があったのは日本のメディアの紹介の仕方だった。
それは要約すると次のような趣旨だった。戦後日本は二つの誤りの間を行き来した。左翼は過去に正直だったが、現在には無責任だった。右翼は平和国家を作ったが、過去に頬かむりした。安倍氏が過去の過ちを認めれば新政権が目指す世界に貢献する外交が近隣諸国から受け容れられるというものであった。
見た限りでは殆どの日本のメディアは「左翼が犯した誤り」を紹介してなかった。その一因として多くのメディアはかつて左翼を代弁し、今もその性格を引きずっていることを間接的に指摘されたからだと私は思う。悪く言うと都合のいいところだけつまみ食いした引用だ。
概して言うと安倍氏が小泉氏以上の右翼であることも含め事実をコメント抜きで報道するニュートラルな記事が殆どであった。■