リビー副大統領補佐官の起訴前の供述書が公表され、大統領が漏洩の許可を与えていたと4月に報じた。ところが最初に暴露記事を書いた右翼の論客でコラムニストのノバック氏の情報源の二人のうちの一人は、意外にも親日家で国務副長官のアーミテージ氏であることが日本の新聞にも報じられた。目立たない記事で気がつかなかった人も多いと思う。
もう一人は大統領の選挙参謀カール・ローブ補佐官だ。メディアは暗に大統領と側近がイラク戦争の正当性を守る為の陰謀であるかのような印象を与える報道をし、私もそういう印象を持っていた。ところがイラク戦争に慎重なアーミテージ氏なら陰謀説は成り立たない可能性が強い。
今回メディアが控えめな報道をしているのは大統領の失点にならない、つまりニュース価値がないと考えたのだろう。正直なところ私にもそういう先入観があった。勝負は最後に下駄をはかないと分らないという諺は何処にでも適用できるようだ。
話はもっと複雑なようだ。ポスト紙によればアーミテージ氏はうっかり喋って申し訳なかったと誤ったらしいが、ノバック氏はアーミテージ氏が漏洩事件の自分の役割を過小評価する言い訳をしていると非難している。
CIA職員と暴露されたウィルソン夫人は一昨日アーミテージ氏を訴えたが、漏洩事件担当のフィッツジェラルド特別検察官は2月に書簡でアーミテージ氏を訴えることはないだろうと伝えたと報じられている。アーミテージ氏は今まで黙っていたのは2003年から検察官に全面協力しており口外を禁じていたからだと説明したそうだ。
最初に秘密漏洩したアーミテージ氏とローブ氏、コラムに書いたノバック氏は訴追されることが無いとしたら、NYタイムズ記者が収監され、リビー補佐官が起訴される大義名分はなんだろうか。事件発覚から2年半経過したが、事件の全貌が何なのか益々分らなかった。■